ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則 | |
ジェームズ・C. コリンズ | |
日経BP社 |
私がこれから書こうとしていることと、わたしたちがこれから成そうとしていることは、まだまだとても先の長い話なので、連載の途中ではありますが、その長い道のりがどのようなものであるのか、本来は最後に書くべき文章かもしれませんが、それを理解していただくために、ここに格好の本の紹介をかねて割り込み原稿になりますが、少し記させていただきます。
ここで紹介する本『ビジョナリー カンパニー2 ―飛躍の法則』は、3巻までと別巻を含め計4冊が出ていますが、いずれも最近の私のイチオシの本です。
偉大な組織を築くとき、あるいは何かとても価値のあることを成し遂げるとき、
そこには、決定的な行動や壮大な計画、
画期的なイノベーション、
たったひとつの大きな幸運、
魔法の瞬間
といったようなものはありません。
本書のための調査であきらかになったのは、偉大な組織への飛躍を築く動きが社内の人たちにとっては、巨大な重い弾み車を回すように感じられるということだ。
巨大で重い弾み車を思い浮かべてみよう。
金属製の巨大な輪であり、水平に取り付けられていて中心には軸がある。
直径は10メートルほど、厚さは60センチほど、重さは2トンほどある。
(私がイメージする場合は、金属のようなスマートなものではなく、昔のアニメ「はじめ人間ギャートルズ」に出てきそうな巨大な石でできた輪ですが)
この弾み車をできるだけ速く、できるだけ長期にわたって回し続けるのが自分の仕事だと考えてみる。
弾み車を必死になって押していると、何日も、何週間も、何ヶ月も、ほとんど進歩らしい進歩がない状態が続くが、やがてほんの少しだけ何センチか動き出す。
だが、それで努力を止めるわけではない。
さらに努力をして押しつづけると、ようやく弾み車が一回転する。
さらに努力を続ける。
つねに同じ方向に押しつづけていると、弾み車の回転が少し速くなる。
まだまだ押し続ける。
二回転、四回転、八回転。徐々に回転が速くなる。
十六回転。まだ押しつづける。
三十二回転。
勢いがさらについてくる。
百回転。一回転ごとに速くなる。
一千回転、一万回転、十万回転。こうして押しつづけていると、どこかで突破の段階に入る。
どの回転もそれまでの努力によるものであり、努力の成果が積み重なった結果である。
こうして弾み車はほとんど止めようもない勢いで回転するようになる。
ここでだれかがやってきて、こう質問したとしよう。
「どんな一押しで、ここまで回転を速めたのか教えてくれないか」
この質問には答えようがない。意味をなさない質問なのだ。
1回目の押しだろうか。
2回目の押しだろうか。
50回目の押しだろうか、100回目の押しだろうか。
違う。
どれかひとつの押しが重要だったわけではない。
重要なのは、これまでのすべての押しであり、同じ方向への押しを積み重ねてきたことである。
偉大な組織はこのようにして築かれていくのだ。
(以上の文章は、ジェームズ・C・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー 2飛躍の法則』、『ビジョナリー・カンパニー(特別編)』(日経BP社)2冊の本の表現を勝手に折衷してまとめなおさせていただいたものです。)
これから書く話がまだ長いものになることを理解してもらうために、紹介した一文ですが、私たちはまだこの弾み車を回しだすところにまで至ったわけでもありません。
今はようやくこれまでの車の向いていた方向が違っていたのだということに気づき、その方向を数人の力だけでようやく押し曲げようとしたばかりのところです。
北海道の岩◯さん、中◯さんなどまだ私たち数人だけの力では、最初の数センチの変化すら容易には動かすことができません。
でもどちらに転がせば良いのかだけは鮮明に見えだしているので、これから成そうとしているとてつもない大仕事への期待と興奮は高まるばかりです。
いかなる画期的なアイデアであっても、ひとつふたつのことで成し遂げられるようなものではありません。
この連載タイトルを「どうして絶望的未来しか想像できないのか」としていますが、かといって私が簡単な「楽観的未来」を想像しているわけでもありません。「悲観的」であるわけでもありません。
それは、とてつもない作業の積み重ねによるものかもしれませんが、目指すべき方向が見えている今は、なんら不安に陥るようなことではなく、ワクワクと胸躍るプロセスであることは間違いないのです。
この連載記事は、そうした先の長い道のりのほんの序盤、入り口の話にすぎないことをどうかご了承ください。
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