これは“いつ”“どこで”写された写真だろう???
大正ロマンを感じさせる1枚の古い写真。食堂の新規開店のようで、左奥、建築に携わったと思われる“建清木工所”からの花輪が届いている。少しゴージャスな雰囲気の店内。正面のポップには“余興ノ内 演劇 午後一時・四時・六時・十時”と表記してある。下の文字が読めると良いのだが?難しい。どこで?なにがあるのか?正面カウンターのガラスが外からの明かりで反射しているところから昼の間に撮られたようだ。カウンターにはビール瓶だけが並ぶ。この時代は氷を入れる冷蔵庫だったか?その前に並ぶ従業員の内、女給さんは10名近く、多い。正面テーブルに座るのがここの女将さんだろう。その後ろには親子連れやラフな姿の人々が座る。出されているのはビールだけ。柱時計は13時40分を指しているか?であればビールだけでも納得がいく。食事の意気配は全くなし!記念写真を撮るために配置されたのか?しかしである、左端のオッサンは ビールに口をつけている。金は払ったのか?隙を見て飲んでしまったのか?
ここは、国鉄富田浜駅を降りて海水浴場へ向かう途中に建つ“海浜ホテル霞(かすみ)洋館 新館大食堂”の様子だ。時は、昭和初期とある。駅から土産物店が並ぶ道を海方向、東へ進む。ここいら一帯は別荘地帯で、そのなかに霞洋館、三藤、福寿館などの宿泊施設や療養できる富田浜病院が並んでいた。
時は、昭和初期とあったが 次の写真には“明治45年5月 富田浜煙火大会記念”の消印が押されて“伊勢富田浜海水旅舎霞洋館 雪月花の間”となっていた。
明治末期から大正・昭和にかけて富田浜海水浴場を中心とする一帯の賑わいが想像できる。大正から昭和初期の間の、良い時代の、良い風景、だった。この写真は当時の雰囲気が、色濃く出ていて、私の大好きな写真の一枚でゴザイマス。