
前に好評でした氏家幹人さんの「江戸の悪知恵」第2弾「人を裁くのは難しい」のお話。週刊文春より
幕末の町奉行所与力を勤めた佐久間長敬(おさひろ)は、鬼佐久間と呼ばれていたほどその取調べは厳しいものだったそうな。
彼が「吟味の口伝」と称する記録を残しております。・・・によると。
「女の責問」つまり女性への拷問には特に注意を要するとあります。
ここで読むのをやめていただいて結構です。
拷問にまでいく女性はしたたかで、一筋縄ではいかない者が多い。
ここでやめていただいて結構です。
一打ちされただけで「忽ち後ろへ倒れかかり両足をひろげ、陰部を憚りもなく現して」度肝を抜いたり、「大小便をなし、一時の責苦を逃げんとする者」が少なくないからだ。呪縛とスカトロ。まさに大江戸女囚残酷物語であります。
もうひとつ、とある尋問上手なベテラン与力。思うところありて、帰宅後与力の服装のまま下男を呼び出し。金を盗んでいないのを分かっていながら「盗んだな!」と設問した。
はじめは否定していたが、厳しい追及に、ついに罪を認めてしまう。
罪もない下男が白状するのを見て与力はショックを受けた。
自分はこれまでどんなに強情な囚人にも白状させてきたが、そのなかには免罪のものも多かったのではないか。
あまり厳しい尋問を受けると、あの下男のように、やってもない罪を認めてしまうのではないか。優秀な与力ほど免罪事件を起こしやすいのか・・・
その事実を目の当たりにした与力は、恐ろしくなり辞職をして隠居した。
裁判員制度や免罪事件が紙面をにぎわす今日この頃。
人を裁くのは難しい、というお話でした。