花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

映画「秋刀魚の味」感想 その3

2011年08月06日 | 諏訪商店街振興組合のこと
映画会の二日後、Fさんからいただいた感想文です。

昭和37年(東京タワー完成4年後・東京オリンピック開催2年前)という時代が懐かしく、又当時は知り得なかった大人の世界を興味深く観ました。
今は亡き名優たちが、それぞれの役を生き生きと演じていたのが印象的でした。佐田啓二のクラブを振るシーン、とてもカッコよかったし、岸田今日子のバーのマダム、素敵でした。男の人なら一度は訪れてみたいと思うのでは?ぶどうを食べながらしゃべり続けるという難しいシーンを演じた美人女優の岡田茉莉子、見事でした。
この作品でも小津さんの、ローアングル、せりふの妙味(短い言葉のキャッチボール)が発揮され、場面設定、大道具、小道具(サントリーの瓶・ミシン・メジャー・紐等)の用い方等、決めの細かい心配りを感じました。
食べるシーンがたくさん出てきましたが、小津さんは食通だったのでしょうか?
それにしてもタイトルにある秋刀魚が出てこなかったのはなぜでしょう?大衆魚を食する善良な市民と、その平凡な幸せ?なのでしょうか
もうひとつの不思議は、路子の婚礼の日に亡き母の仏前(あるいは写真)に挨拶するという、ごく当たり前なシーンがなかったことです。
次回も楽しみにしています。

小津さんは食通で知られていたそうです。特に大勢が集まる宴会は大好きで、余興を楽しむ写真も見られます。
題の「秋刀魚の味」は、庶民の平凡な日常を描いたという意味だと思われます。平和に日常が繰り返されていく中で、ちょっとした出来事が起こり変化を遂げていく、吉田貴重(訂正 吉田喜重)監督は「繰り返しと ずれ」といっています。日常は繰り返しながら少しずつ ずれ を起こし変化して行くということだそうです。
母の写真は映し出されません。新郎の姿も出ません。披露宴も削除されています。あえて画像として映し出さなくても、画面に現れなくても観客の皆さんの想像している姿や状況で充分です ということを言いたいのではないでしょうか。
映画はあることすべてを、そのまま観客に押し付けます。ではなくて、想像の域を残して小津安二郎の作品を楽しんでください。ということを言いたかったのでは・・・と思われます。
次回8月26日金曜日午後6時30分からは「お早よう」です。
     
     
     
コメント
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