さて、2017年度の日本の一般職の国家公務員は、約28.5万人です。30万人にも満たない極めて狭い世界です。このほか国家公務員法が適用されない特別職が約29.9万人、その中では自衛官が24.7万人ぐらいいます。一方、地方公務員は約273.9万人。窓口業務などで直接、市民や社会と接する機会が圧倒的に多いからこのボリュームです。それと比べても、国家公務員はひとにぎりの特殊な世界の住民です。
さらに医師と比べてみると、その少なさは一目瞭然です。医師国家試験は約1万人が受験し、約9千人が合格しているから合格率は9割です(2018年3月)。するとこの9千人が、職業として医師を50年ぐらい務めるとすれば、ざっと40数万人の医師がいると考えられます。それに対して、外交官なら毎年約70人が試験に合格して、35年勤務するとして、在外公館でだいたい3,500人、国内の外務省本省で約2,500人いますから合わせて6千人ぐらい。ケタ違いに少ない職能集団です。財務省だって本省でのキャリア、ノンキャリアだけなら年間50人ぐらいしかいない。
しかも、官僚の仕事は、政治家なしには一日たりとも動きません。日常的にいちばん多く政治家に接する特異な職業でもあります。とくに外務省は政治家との接触が多い役所だったので分かるのですが、誰の目にも明らかなほどエキセントリックで非常識な人は、長く政治家で居続けることはできません。そんな人は選挙で選ばれず、淘汰されるからです。「このハゲ~っ!」などの暴言を吐く人もいましたけれど(あの議員も官僚出身でした)、少なくとも、次の選挙では落とされます。しかし、官僚に「落選」はありません。エキセントリックであろうと倫理観が欠如していようと、法令に違反しない限りクビにはならず、年功序列でそれなりに出世もできます。
□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「官僚に「落選」はない」を引用
【参考】
「【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル ~官僚の掟(4)~」
「【佐藤優】競争の土俵に上がらない ~官僚の掟(3)~」
「【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~」
「【佐藤優】『官僚の掟』の目次」
さらに医師と比べてみると、その少なさは一目瞭然です。医師国家試験は約1万人が受験し、約9千人が合格しているから合格率は9割です(2018年3月)。するとこの9千人が、職業として医師を50年ぐらい務めるとすれば、ざっと40数万人の医師がいると考えられます。それに対して、外交官なら毎年約70人が試験に合格して、35年勤務するとして、在外公館でだいたい3,500人、国内の外務省本省で約2,500人いますから合わせて6千人ぐらい。ケタ違いに少ない職能集団です。財務省だって本省でのキャリア、ノンキャリアだけなら年間50人ぐらいしかいない。
しかも、官僚の仕事は、政治家なしには一日たりとも動きません。日常的にいちばん多く政治家に接する特異な職業でもあります。とくに外務省は政治家との接触が多い役所だったので分かるのですが、誰の目にも明らかなほどエキセントリックで非常識な人は、長く政治家で居続けることはできません。そんな人は選挙で選ばれず、淘汰されるからです。「このハゲ~っ!」などの暴言を吐く人もいましたけれど(あの議員も官僚出身でした)、少なくとも、次の選挙では落とされます。しかし、官僚に「落選」はありません。エキセントリックであろうと倫理観が欠如していようと、法令に違反しない限りクビにはならず、年功序列でそれなりに出世もできます。
□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「官僚に「落選」はない」を引用
【参考】
「【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル ~官僚の掟(4)~」
「【佐藤優】競争の土俵に上がらない ~官僚の掟(3)~」
「【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~」
「【佐藤優】『官僚の掟』の目次」