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2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】安定してさえいればいい  ~官僚の掟(15)~

2019年03月22日 | ●佐藤優
 改めて「安倍政権は事実上の超然内閣だ」と私が考える要素をまとめてみます。
 安倍政権は、国会運営において議席数の優位から、その気になれば数の力でかなりのことができます。そんな安倍政権の強引さや政策の矛盾を国民にうまく伝え、政権交代を狙える力量のある野党もなければ、自民党内に安倍首相の求心力に対抗できる有力議員もいませんから、メディアや世論の非難は一時的なダメージにしかならないのです。小選挙区制も安倍政権に有利に作用しています。2017年の衆院選小選挙区での自民党の得票率は48%なのに、75%もの議席を獲得できたのです。
 つまり、安倍政権は、野党や自民党との関係において摩擦係数が「ほとんど0」という状況にあると言えます。そして世論は、政治への関心が薄く、混乱を望んでいませんから、他の選択肢に比べて、安定をもたらしてくれるように思える安倍政権の継続を容認している。
 これだけの条件がそろい「自分が理解したい形で世界を理解する」タイプの首相が政権を担えば、超然内閣になってしまうのも、仕方ないことなのかもしれません。決して、受け入れることはできませんが。
 そんな「一強」政権のもと、官僚たちは「一部の奉仕者」として、不祥事を繰り返しながらも、競争なき世界を享受し、新自由主義社会の中で容易に統治を進めているのが、現代の日本の状況と言えるのです。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「安定してさえいればいい」を引用

 【参考】
【佐藤優】混乱にはうんざり ~官僚の掟(14)~
【佐藤優】ロシアと似た無関心  ~官僚の掟(13)~
【佐藤優】安倍政権は事実上の超然内閣 ~官僚の掟(12)~
【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次



【佐藤優】混乱にはうんざり ~官僚の掟(14)~

2019年03月21日 | ●佐藤優
 この構図を日本に移すと次のように描けます。日本経済は、戦後の混乱を経て朝鮮戦争の特需で立ち直ることができました。続く高度経済成長の過程で、分厚い中産階級が形成されていきました。一方で、東西冷戦という勢力均衡のもと、自民党政権がさまざまな腐敗を抱えながらも政権を維持し続けました。日本経済がピークを迎える1990年まで、国民生活は比較的安定していたと思います。しかし、冷戦構造が壊れ、バブルが崩壊し、景気が低迷。新自由主義改革とデフレ、さらにリーマン・ショックによって国民生活は不安定になりました。とどめは民主党政権の失敗です。国民はこうした混乱にうんざりして、不満はあっても他の選択肢よりマシに思える安倍政権を消極的に支持している。
 この現象は、日本において近代的な市民社会が完成していることの証なのかもしれません。内閣府が2018年8月26日に公表した「国民生活に関する世論調査」で、今の暮らしに満足している人とまあ満足している人を合計すると、73.9%にものぼり、過去最高を示しました。
 これは金銭的、物質的に満たされて満足しているということではなく、現状をとりあえず受け入れているということだと思います。「欲望の王国」の中で、誰もが自分に見合ったサイズの欲望を追求している姿が見えてくるように思います。その王国が崩れるほど世の中は混乱していないし、まだ欲望を追求するだけの余裕が日本にはある、ということを物語っている面もあります。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「混乱にはうんざり」を引用

 【参考】
【佐藤優】ロシアと似た無関心  ~官僚の掟(13)~
【佐藤優】安倍政権は事実上の超然内閣 ~官僚の掟(12)~
【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次


【佐藤優】ロシアと似た無関心  ~官僚の掟(13)~

2019年03月20日 | ●佐藤優
 自国のことは第三者的に冷静な目で捉えづらいのです。2018年3月に行われたロシア大統領選挙の結果が、安倍内閣と世論の関係に共通する部分が多く、我々にとっても参考になると思います。ロシアでは、プーチン大統領は国民から好かれていません。それでも7割以上の得票率で大統領に当選しました。
 プーチンの政策のポイントは、ロシアに中産階級を作り出すことにあります。90年代、ソ連崩壊に伴って、急激なインフレが起きました。国有財産の民営化が進められる過程で貧富の差が極度に拡大し、社会が大混乱に陥りました。この混乱から脱却するには、分厚い中産階級を形成する必要がありました。プーチンはその政策を推し進め、中産階級の形成に成功した結果、人気を失ったのです。
 なぜならば、中産階級とは本質的に非政治的な存在だからです。これは代議制民主主義の根幹にかかわる話で、この制度下では、市民が政治家を投票によって選出します。すると、政治は職業政治家によって行われ、市民は政治に関して何をするかというと、何もしません。代わりに、「個の欲望」を追求するようになります。ヘーゲルやマルクスが市民社会を「欲望の王国」と呼んだのがこれに当たります。経済が順調である限り、市民は政治に無関心なのです。プーチン政権下でも、2014年までは経済が順調でしたから、市民の不満は少なかったのです。
 ところがこの年、プーチンがウクライナ南部のクリミア半島を併合したことで、欧米諸国はロシアに対する経済制裁を行い、ロシア経済は打撃を受けました。そのために中産階級の生活水準が低下し、プーチンに対する不満が高まりました。しかし、プーチン以外に受け皿になる人物が見当たらないし、プーチン以外の人間が政治の舵取りをしても大混乱が起きることが分かっている。だから、プーチンに不満を持っている市民も、混乱よりはプーチン政権が続くほうがマシだと判断して、大統領選挙で彼に投票したというわけです。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「ロシアと似た無関心」を引用

 【参考】
【佐藤優】安倍政権は事実上の超然内閣 ~官僚の掟(12)~
【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次

【佐藤優】安倍政権は事実上の超然内閣 ~官僚の掟(12)~

2019年03月19日 | ●佐藤優
 今の安倍政権の姿がよく見えてくる話を、この章の締めくくりとしてみましょう。安倍政権は、どれだけ筋が通っていることでも、自分にとって好ましくなければ「超然」とした態度をとることができるのです。1889年、大日本帝国憲法公布の翌日、首相の黒田清隆は、集まった地方長官を前に「超然政党の外に立ち」不偏不党の立場で政治にあたれと演説をしました。これがおそらく皆さんも社会科の授業で習った「超然主義」あるいは「超然内閣」の由来となるエピソードです。
 大日本帝国憲法には、首相や閣僚は国会議員から選ぶという決まりはありませんでした。ですから政党に左右されず「超然」として政策を実行できる超然内閣が成り立ちました。いまの安倍政権は事実上の超然内閣だと思います。
 その根幹にあるのが、反知性主義だと思いますが、反知性主義だけでは、現在の議院内閣制の下で超然内閣は成り立ちません。常識的に見れば、森友・加計学園問題で明らかになった国会軽視の姿勢で、与党内から「安倍おろし」が始まり、野党から激しい攻撃を受け、政権を維持できないか、支持率の低下で求心力を失っていることでしょう。
 安倍政権が事実上の超然内閣になっているのは、いくつかの追い風が同時に吹くという幸運にも恵まれたからだと思います。繰り返すようですが、野党の弱体化がまず挙げられます。むしろ衰弱と言いたいくらいです。衆参両院の議席数を見ると、自民党は衆議院で283議席を占め、単独過半数です。連立を組む公明党の議席と合わせれば、憲法改正を発議できる3分の2を超えています。参議院は125議席。公明党と合わせれば、3分の2には達しないものの150議席。通常の国会運営には支障はありません。
 さらに安倍首相の出身母体、自民党はかつてのように、派閥が政策を競い、それぞれの派閥の長が首相の座を狙う、合従連衡は日常茶飯事という緊張感がありません。議員も小粒になりました。政策と胆力のある政治家が果たしてどれほどいるでしょうか。小選挙区制では一人しか当選できません。党から公認をもらえなければ莫大な選挙費用を捻出できず、中堅議員以下の当選はおぼつきません。必然的に自民党所属議員は安倍氏の顔色をうかがうようになります。超然内閣にならない方がおかしいのかもしれません。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「超然内閣の根にある反知性主義」を引用

 【参考】
【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次



【佐藤優】中国を支配する秘密結社

2019年03月18日 | ●佐藤優
 ①楊海英『独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで』(文春新書 850円)
 ②井上ユリ『姉・米原万里』(文春文庫 700円)
 ③ケネス・ルオフ(木村剛久・訳)『天皇と日本人 ハーバード大学講義でみる「平成」と改元』(朝日新書 810円)

 (1)①は、中国について知るための必読書だ。
 <中国共産党を、西洋や日本の政党(ポリティカルパーティー)と同じものだと考えては、大きく誤ります。その本質は、社会のほとんどすべての領域で、国を支配する最高権力組織であり、体質的には監視と密告によって結束を維持する秘密結社なのです>
 と楊氏は指摘する。もっとも中国共産党員の数は約9,000万人なので、秘密結社としては空前の大きさと思う。中国共産党の機能を正確に理解することが、あの国の現在を分析し、将来を予測する際の鍵になる。

 (2)②は、作家でロシア語会議通訳の米原万里さん(1950~2005年)の妹である井上ユリ氏が、姉についてつづった愛情あふれるエッセーだ。
 <とにかく本が大好きで、いつも傍らに置いていた。万里の蔵書は、一部はロシア語関係者にお分けし、一部は売却した。でも五千冊を超える大切な本は、(引用者注…作家・井上ひさし氏の蔵書を収めた)遅筆堂文庫に置かせてもらっている。
 ちなみに万里は、歩いて三分の魚屋にネコ用のあらを買いに行くときも、バッグに辞書や、そのとき読んでいる本を詰め込んでいた。
 いつもあんなに重たいバッグを持ち歩いているから、肩こりが治らないのだ>
 と井上氏は記す。評者は、職業作家として第二の人生を始めるに当たって米原さんに助けてもらった。この恩は一生忘れない。評者が知る米原さんは、確かにいつも大きなかばんに本を何冊か入れていた。米原さんが生きていれば、日本の文壇と論壇はもっと活性化していたと思う。

 (3)③では、米国の大学教授による天皇の政治的、社会的機能に関する鋭い分析が展開されている。
 <日本の最右派は、とりわけ帝国の時代を中心とする歴史の解釈をはじめとして、日本は女性天皇を容認すべきではないという点にいたるまで、さまざまな主張をおこなっている。
 個人的にいうと、私はこうした主張に賛成しているわけではない。とはいえ、認識しておかなければならないのは、最右派が、そうした主張のもとに、しばしば実際に大衆の意見を結集させているということなのである。
 そして、政府がその主張に応じて動くときには、すでに状況は、人びとの好むと好まざるとにかかわらず、政権が上から政策を無理やり押しつけるといった段階ではなくなっている>
 と氏は警鐘を鳴らす。客観性、実証性を無視する歴史修正主義者について、有識者が反知性主義者の影響は限定的だと決め付け、無視していると、そういう人々が強い政治力を持ち、日本の進路を誤らせる危険がある。

□佐藤優「中国を支配する秘密結社  ~知を磨く読書 第288回~」(「週刊ダイヤモンド」2019年3月23日号)

 【参考】
【佐藤優】首相機関説で動く官邸ポリスが生み出された意図とは
【佐藤優】短期的利益にしか関心がない人
【佐藤優】司馬遼太郎作品に見る対人諜報活動の極意
【佐藤優】「影の総理」の生涯
【佐藤優】安倍長期政権を維持する鍵
【佐藤優】少しだけしか成長しない時代
【佐藤優】外交交渉にも当てはまる暗号通貨の経済学
【佐藤優】人生設計と価値観の転換
【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
【佐藤優】旧海軍将校たちが語った特攻
【佐藤優】良い情報を手に入れる早道
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
【佐藤優】少年少女期をどう振り返るか
【佐藤優】社内試験に使える究極の実用書
【佐藤優】米軍の教本に基づく意思決定
【佐藤優】転職の際にも資本主義の内在的論理を踏まえたほうがいい
【佐藤優】宗教の危険性に対する警鐘
【佐藤優】元防衛事務次官の憲兵隊構想
【佐藤優】補助科学としての数学の活用
【佐藤優】再び革命運動が起きる可能性
【佐藤優】職場にもやもやしている人
【佐藤優】フェイクニュースへの耐性
【佐藤優】プラハの憂鬱
【佐藤優】生き残るための教養主義
【佐藤優】ヨーロッパの論理を知る手引
【佐藤優】現代AI研究者の間にはびこる“物活論的AI論”の限界
【佐藤優】構造化された沖縄差別
【佐藤優】気になり始めた人生の残り時間
【佐藤優】“ロシアの皇帝”プーチンの断片が明らかになった見事な「プロパガンダ」
【佐藤優】21世紀に甦る人間機械論
【佐藤優】自由貿易に対立する関税同盟
【佐藤優】五木寛之氏の小説論が明かされた学生たちとの対話
【佐藤優】文化は操作可能な道具か
【佐藤優】孤独な作家にとっての憩い
【佐藤優】社会情勢を反映した長時間労働対応の特捜部隊「カトク」の実態
【佐藤優】野蛮な帝国への抵抗文学
【佐藤優】不確実な社会に対応する
【佐藤優】21世紀でも色あせない歴史的名著の新訳 ~『仕事としての学問/仕事としての政治』~
【佐藤優】「知の巨人」らの対談3本 ~『世界と日本と日本人』~
【佐藤優】“日本語高”に資する作品
【佐藤優】資本主義の本質が現れる定年後の再就職市場
【佐藤優】社会を覆う自己責任論が生んだ「発達障害ブーム」
【佐藤優】あのテロ事件の一級の史料
【佐藤優】幕末期思想家の影響力の源泉
【佐藤優】欧米列強 血みどろの20世紀
【佐藤優】「日中関係が好転」の理由
【佐藤優】「読書力」によって「知の天井」を形成せよ ~松岡正剛の千夜千冊~
【佐藤優】ポピュリズムに流されずに国会をウオッチする姿勢、「小さな政府」だった室町幕府、欧州諸国の外交における植民地支配の遺産
【佐藤優】内外政事情の全体像、読解術、精神科受診へのハードルを低くする努力
【佐藤優】理解し合えない家族という共同体の本質 ~細部の描写が秀逸~
【佐藤優】江戸時代の「鎖国」は反カトリシズムだった ~『「日本」論 --東西の“革命児”から考える』~
【佐藤優】「三回読み」という技法 ~『国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義』~
【佐藤優】外務省主流派による画策、バランスがとれた社会評論、社会変革に与える教育の重要性
【佐藤優】『日本を蝕む「極論」の正体』
【佐藤優】日本の政治エリートの本音、キリスト教の日本的変容、西部邁の思想書
【佐藤優】思考の「小島」を作る法、鬱病対策、自決・考
【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
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【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
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【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~


【佐藤優】安倍政権の反知性主義  ~官僚の掟(11)~

2019年03月17日 | ●佐藤優
 安倍総理は、2014年11月と2017年9月の2回、衆議院を解散し、その後行われた選挙で圧勝しました。現在は第4次安倍内閣となっています。
 安倍総理は、長く続くデフレ、円高で輸出企業の業績は上がらず、株価は低迷という、停滞していた経済を成長軌道に乗せることを目的に、アベノミクスと呼ばれる経済対策を目玉として打ち出しました。安倍政権発足とほぼ時を同じくして日本銀行総裁に就任した黒田東彦(はるひこ)さんは、デフレ脱却のため消費者物価を2年で2%上昇させることを目標に異次元緩和を行うと大見得を切りました。株価は上がり、失業率も改善されましたが、庶民に景気回復の実感は乏しいと言われています。「2年で2%」は、いまだ達成されることはなく、異次元の金融緩和の出口戦略を立てることもできず、副作用が心配され、いよいよ行き詰まりが見えてきています。
 振り返れば、この政権だって決して平たんな道のりではなかったはずです。ところが、何度か政権維持の危険水位まで低下した支持率は、いつの間にか回復しています。
 政権発足からしばらく、私は安倍政権を反知性主義だとして批判的な立場から論評してきました。反知性主義は「客観性や実証性を無視もしくは軽視して、自分が理解したい形で世界を理解する態度」と定義できると思います。平たく言うと、自分のことが好きで好きでしょうがない人には、そもそも周囲を見るという選択肢がない。国会のような公の場で、安倍総理は感情的になって、非論理的な言葉をまくし立ててすぐムキになります。野次もとばします。安倍総理は64歳です。この歳になっても自分の感情をコントロールできないのかもしれません。しかし、その感情が安倍さんの政治的原動力でもあるのです。
 ロシア文学者の内村剛介氏の著書に『ロシア無頼』(高木書房)があります。エッセイですが、内村氏が体験し、見聞きした事実に基づいた作品で、ロシア人の内面を深く見つめた作品です。この本の中にロシア人のものの考え方の特徴を言い表した「無法をもって法とする」という一文があります。これこそ安倍政権のあり方に重ね合わせて読むべきものと思います。権力の凄みは法的枠組みにとらわれないところにあります。
 反知性主義との戦いは非常に困難です。なぜなら、反知性主義者は知識が足りないだけではなく、知識や知性を憎んでいるからです。憲法をめぐる閣僚の答弁には、知識や知性に対する敬意が感じられません。このような人たちに対して啓蒙による説得は不可能です。しかし、そうだからこそ安倍政権は「強い」のだと思います。「自分が理解したい形で世界を理解する」ために都合のいい要素以外は、いくら正論であっても、雑音にしか聞こえないのでしょう。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「出口戦略も立てられず」を引用

 【参考】
【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次



【保健】大腸内視鏡検査の間隔 ~陰性だったら次は10年後~

2019年03月16日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)受けたくない検査の一つに大腸内視鏡検査がある。
 事前の食事制限や下剤の服用のほか、検査時に鎮静剤を使うので、検査後の自動車運転が禁じられるなどわずらわしい。
 さらに、頻度はまれだが検査に伴う“偶発症”として、出血や腸管穿孔(腸に穴が開くこと)、激しい腹痛などのリスクのほか、検査時の投薬による死亡例も報告されている。早期発見のためとはいえ、偶発症リスクに何度も曝されるのは勘弁してほしいものだ。どの程度の間隔で大腸内視鏡検査を受けるべきなのだろう。

 (2)先日、米国の保健維持組織の一つ「KPNC」から、この疑問に答える調査の結果が報告された。
 同調査は、1998~2015年の利用者のうち、平均的大腸がんリスクを有する50~75歳の1,251,318人(男女比は1対1、平均年齢55.6歳)が対象。大腸内視鏡検査で陰性とされた17,253人(陰性群)と、非検査群259,373人とで、大腸がんの発症と関連死を追跡した。
 ちなみに、平均的な大腸がんリスクとは、50歳以上、腸管の良性腫瘍やポリープ、炎症性腸疾患の既往なし、大腸がんの家族歴がない、である。
 追跡1年後、大腸がんの発症率は陰性群で、10万人・年当たり16.6、10年後は同133.2だった。一方、非検査群の追跡1年後の発症率は同62.9、12年以上で同224.8だった。

 (3)米国の診療ガイドラインでは、大腸内視鏡検査の結果が陰性だった場合、検査間隔を10年としている。その10年で区切って解析した結果、陰性群の大腸がん発症リスクは非検査群に対し46%、関連死リスクは88%低下していた。
 つまり、大腸内視鏡検査は死亡リスクを下げるという意味で有用であり、検査結果が陰性だった場合は、少なくとも10年間は非検査群より安心できるわけだ。
 がん化リスクが低い腺腫が1、2個ある、という場合もきちんと切除すれば陰性とほぼ同じ。
 平均的な大腸がんリスクの持ち主の大腸内視鏡検査は、がん化が疑われる病変が見つからない限り、10年に1回で十分である。

□井出ゆきえ(医学ライター)「陰性だったら次は10年後/大腸内視鏡検査の間隔 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.434~」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月16日号)

 【参考】
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【保健】糖尿病網膜症リスクを軽減 ~26メッツ・時/週以上の運動~
【保健】ヒアリにどう対処する? ~アナフィラキシーに注意~
【保健】鬱に効くボルダリング ~悲観的な自動思考を解消~
【保健】主食をしっかり食べると公平な判断ができる
【保健】梅雨明け~お盆は熱中症の季節 ~危ない人、予防と対応法~
【保健】塩分過剰で空腹に ~高血圧どころかメタボに~
【保健】満腹より栄養素に目を向けて ~収入が低い世帯は主食頼み~
【保健】だるいときほど階段昇降を ~カフェインより効果的~
【保健】成人ADHDの予備診断 ~六つの質問でクリーニング~
【保健】“ベンゾ系薬剤”に注意 ~常用量でも薬物依存を形成~
【保健】ギャンブル依存症ってなに? ~最新の定義は「プロセス依存」~
【保健】グルテンフリー食の功罪 ~結局、2型糖尿病に?~
【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
【保健】「男の更年期」改善効果に疑問符 ~テストステロン補充療法~
【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
【保健】ポケモンGOで運動量up! ~仲間でワイワイの効果~
【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

【佐藤優】首相機関説で動く官邸ポリスが生み出された意図とは

2019年03月16日 | ●佐藤優
★幕蓮『官邸ポリス 総理を支配する闇の集団』(講談社、2018)

 (1)最近、複数の政治部記者や編集者から「佐藤さん、『官邸ポリス』についてどう思うか」と尋ねられたので、読んでみた。小説としての完成度については見方が分かれる。ただし、「嘘のようなほんとうの話」と「ほんとうのような嘘の話」を適宜ブレンドした謀略的意図をもった著作であることは間違いない。文部科学事務次官の風俗店通い、大阪の市立小学校への国有地払い下げ問題など、登場人物が誰をモデルにしているかも、すぐわかる構成になっている。小説と言うよりも、怪文書に近いノンフィクションと性格づけた方がいい。

 (2)日本国家を実質的に運営するのは有象無象の国民によって選ばれた政治家ではなく、難しい採用試験に合格した頭脳明晰でかつしっかりした国家観を持つ警察官僚が行うべきだという「首相機関説」とも言うべき思想に依拠した、官邸の警察出身官僚が国家を牛耳っているという筋書きだ。元警察キャリア官僚という触れ込みの著者は、「首相機関説」に対して肯定的だが、警察出身の瀬戸弘和・内閣官房副長官と工藤茂雄・内閣情報官に対して「怖くて嫌な人間だ」という印象を植え付けるように腐心している。警察は大所帯なので、組織内の派閥抗争と嫉妬がこの本を生み出す原動力になっていると思う。
 (中略)

 (3)官僚は、主観的には国益のために仕事をしている。評者が外務官僚だったときも、北方領土返還という国家目標を実現するために文字通り命を捧げるつもりで取り組んでいた。時の政権が安定していることが、官僚が自ら国家のために正しいと考える政策を実現するための必要条件だ。警察官僚だけでなく、財務官僚や外務官僚も、「役人だろうが、マスコミだろうが、民間人だろうが、うまく我々の味方に付けて活用していく。逆に、逆らう人間は懲らしめて浮かび上がれないようにする」という発想で行動している。

 (4)東京地方検察庁特捜部の捜査能力に対する見方も面白い。(中略)本書では、尾行の仕方や、尾行の点検法についても記されている。具体的には読者から読書の楽しみを奪ってはならないので、ここでは記さない。この点検法は、評者もときどき使っている。もっとも尾行されていると気付いても、相手にその事実を察知させずに、行き先を変更するといった対応法をとることが多い。あるいは「どうぞ見てください」とオープンな場所で外国人と会うようにしている。

 (5)国外での情報について、著者は<警察も自衛隊も、以下のように考えている。治安・国防に疎く、それらに関する情報を扱うセンスのない外務省に知らせる必要はない、むしろ知らせたら外に漏れるので、百害あって一利なしだ、と>と記しているが、これは外務官僚にとって耳が痛い話だ。外務省にはときどき局長クラスでも、間抜けた幹部がいて、自分が重要人物であると認知されたいために秘密情報を新聞記者に漏洩する。首相官邸が直接、情報を入手する仕組みを作りたくなるのは当然と思う。

□佐藤優「首相機関説で動く官邸ポリスが生み出された意図とは ~ビジネスパーソンの教養講座 名著、再び 第118回~」(「週刊現代」2019年3月23日号)から引用

 【参考】
【佐藤優】短期的利益にしか関心がない人
【佐藤優】司馬遼太郎作品に見る対人諜報活動の極意
【佐藤優】「影の総理」の生涯
【佐藤優】安倍長期政権を維持する鍵
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【佐藤優】外交交渉にも当てはまる暗号通貨の経済学
【佐藤優】人生設計と価値観の転換
【佐藤優】中学数学に欠損があるか ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (3)~
【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~
【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)
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【佐藤優】外交でも問われるセンスと勇気
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【佐藤優】哲学者でもある筒井康隆、福祉から排除された人が刑務所に、神学からの教育論
【佐藤優】「アイロニー」と「ユーモア」の弁証法的技法で「真の学知」を手に入れよ
【佐藤優】弱者の「疑似福祉施設」 ~『刑務所しか居場所がない人たち』~
【佐藤優】親の収入・学歴と、子どもの学力の関係 ~いま生きる「資本論」(1)~
【佐藤優】日本社会の矛盾が詰まった「団塊ジュニア」はこんな苦労を強いられている
【佐藤優】修験道の論理、教育改革、東京の問題を解決する商品
【佐藤優】「書く」鍛錬が現代社会で自由になるための方法 ~『小論文 書き方と考え方』~
【佐藤優】コラム傑作選、ロシアのことがよく分かる小説家、官僚の考現学
【佐藤優】『思考法 教養講座「歴史とは何か」』の「新書版まえがき」
【佐藤優】堕ちたエリート、小説という代理経験 ~『桜の森の満開の下』~
【佐藤優】うつ状態を克服する道、知識人の団結、医学部の現状
【佐藤優】正しいことをしていると思い込む者の暴力、組織が個人に責任をいかにかぶせるか、投獄経験を描いた自伝の傑作
【佐藤優】トランプvs.インテリジェンス・コミュニティー ~『炎と怒り』(その2)~ 
【佐藤優】日本はトランプ大統領に命運を託せるのか? ~マイケル・ウォルフ『炎と怒り』~ 
【佐藤優】収入格差と教育環境、女性の負担が却って増す懸念、生命医科学と倫理
【佐藤優】英EU離脱と北アイルランド、文科省が進める教育改革に対する批判的検討、イスラエル独自のミサイル防衛システム

【佐藤優】職場ハラスメントを生む土壌、外務官僚の機密費疑惑、キリスト教の教義と思想の基本事項
【佐藤優】われわれの思考の鋳型、沖縄をめぐる知的に富む対談、高校で全科目を学ぶと社会に出てから役立つ
【佐藤優】文語訳聖書 ~キリスト教の魅力は死生観にある~
【佐藤優】北朝鮮がソウルと東京を攻撃したら、ウィスキーの美味しさの秘密、明治新政府の権力奪取法
【佐藤優】よりましなポピュリスト、「普通の人」が豹変するストーカー、規格外のトランプ米大統領
【佐藤優】人工知能は意味をまったく理解できない/数学者が説く「シンギュラリティ」の不可能
【佐藤優】トップリーダーの孤独、紛争地域や犯罪組織への武器拡散、精神科医と諜報工作員の共通点
【佐藤優】混乱する現代との類似性 ~『応仁の乱』~
【佐藤優】自死した保守派論客の思想の根源 ~『保守の真髄』~
【佐藤優】「当事者にとって」と「学理的反省者として」の二重の視座 ~『世界の共同主観的存在構造』~
【佐藤優】テロ対策に関する世界最高レベルの教科書、宇野弘蔵の経済学を取り入れたユニークな社会学演習書、シンギュラリティ神話の脱構築
【佐藤優】憲法改正は見せ球に終わるか
【佐藤優】日本と米国の社会病理
【佐藤優】消費者金融のインテリジェンス
【佐藤優】官僚を信用していない国民
【佐藤優】中国が台頭しつづけたら、仏教の末法思想と百王説、時計の歴史
【佐藤優】子どもや孫の世代への重荷
【佐藤優】日本のレアルポリティーク
【佐藤優】巨大さを追求する近代的思考
【佐藤優】アナキズムという思考実験
【佐藤優】AIとの付き合い方を知る手引、宗教と国体論の危険な関係、若手官僚の思想の底の浅さ」
【佐藤優】伊藤博文の天皇観と合理主義、歴史の戦略的奇襲から得る教訓、「知の巨人」井筒俊彦
【佐藤優】教育費の財源問題で政局化か
【佐藤優】ホワイトカラーの労働者化
【佐藤優】指導者たちの内在的論理を知る
【佐藤優】世界規模のポストモダン現象
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~
【佐藤優】カネとの付き合い方の秘訣、野外で生きる雑種ネコの魅力、前科者に冷たい日本社会
【佐藤優】着目すべき北極海の重要性、日本の政治文化に構造的に組み込まれている「甘え」、文明論と地政学を踏まえた時局評論
【佐藤優】リーダーが知るべき文明観、資本主義後の社会構想、刑務所暮らし経験者の本音
【佐藤優】地図から浮かぶ歴史のリアル、平成不況は金融政策のミス、実証的データに基づく貧困対策
【佐藤優】ケータイによる日本語の乱れ、翻訳の技術、ロシア人の内在的論理
【佐藤優】武蔵中高の教育、ルター宗教改革の根幹、獣医師にもっと競争原理を導入
【佐藤優】社会に活力をもたらす政策、具体的生活の上に立つ民族国家、開発至上主義が破壊する永久凍土の生態系
【佐藤優】日本のフリーメイソン陰謀論、ユニークな働き方改革、自衛隊元陸将によるリーダーシップ論
【佐藤優】ハプスブルク帝国史の「もし」、最新の進化論、神童の軌跡
【佐藤優】知識を本当に身に付けるには、テロ戦争におけるドローンの重要な役割、帰宅恐怖症
【佐藤優】北朝鮮との緊張の高まりに対して必要な姿勢、時間管理と量子力学、時間がかかるのは損
【佐藤優】川喜田二郎『発想法』 ~総合的思考と英国経験論哲学~
【佐藤優】日本の思想状況の貧しさ、頑丈にできている戦闘機、東方正教会に関する概説書
【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
【佐藤優】海上権力を維持するために必要な要素 ~イギリスの興亡の歴史を通して~
【佐藤優】女性の貧困を追跡したノンフィクション、師弟関係こそ教育の神髄、イランは国際基準から逸脱した国
【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~
【佐藤優】財政から読みとく日本社会、ラジオの魅力、高校レベルの基礎の大切さ
【佐藤優】嫌韓本と一線を画す韓国ルポ、セカンドパートナーの実態、日本人の死生観
【佐藤優】人間にとって「影」とは何か ~シャミッソー『影をなくした男』~
【佐藤優】文部省の歴史と現状、経済実務家のロシア情勢分析、中国の対日観
【佐藤優】学習効果が上がる「入門書」、応用地政学で見る日本、権力による輿論のコントロールを脱構築
【佐藤優】大川周明『復興亜細亜の諸問題』 ~イスラーム世界のルール~
【佐藤優】女性と話すのが怖くなる本、ネット情報から真実をつかみ取る技法、ソ連とロシアに共通する民族問題
【佐藤優】ヨーロッパ宗教改革の本質、相手にわかるように説明するトレーニング、ロシア・エリートの欧米観
【佐藤優】なぜ神父は独身で牧師は結婚できるのか? 500周年の「革命」を知る ~マルティン・ルター『キリスト者の自由』~
【佐藤優】政界汚職を描いた古典 ~石川達三『金環蝕』~
【佐藤優】生きた経済の教科書、バチカンというインテリジェンス機関、正しかった「型」の教育
【佐藤優】誰かを袋だたきにしたい欲望、正統派の書評家・武田鉄矢、追い込まれつつある正社員
【佐藤優】発達障害とどう向き合うか、アドルノ哲学の知的刺激、インターネットと「情報犯罪」
【佐藤優】後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考
【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想
【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ
【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~
【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて
【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用
【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求
【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~
【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ
【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~
【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ
【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系
【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方
【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~
【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人
【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密
【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム
【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下
【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~


【南雲つぐみ】薬を減らす工夫

2019年03月15日 | 医療・保健・福祉・介護
 必要な薬はきちんと使うべきだが、特に高齢者の中には本来は使わなくても済む薬を含め、毎日何種類もの薬を飲んでしまっている人もいるようだ。
 こうした、不要または重複した薬の投与は、「ポリファーマシー」という医療の問題として注目が集まっている。
 東京大学医学部付属病院老年病科の秋下雅弘医師の調査では、5割以上の薬を投与されている人は、転倒する発生頻度が高かったという。
 多くの薬を飲んでいるせいで、だるさやしびれ、便秘などの副作用が起きたことが一因。さらに、その不調に対して新たな薬が処方されているケースもあったという。
 とはいえ、処方薬を勝手に中断するのは危険だ。秋下氏は「まずは、薬を減らしたいという意思を、かかりつけ医や薬剤師に伝えてほしい」という。
 また「お薬手帳」を1冊にまとめることも大切。病院ごと、薬局ごとに何冊もあると、薬の重複が起こりやすいからだ。話しやすいかかりつけ薬局を決めて、薬の種類や量について相談できるようにしよう。

□南雲つぐみ(医学ライター)「薬を減らす工夫 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2019年1月10日)を引用

【言葉】政治家・知識人vs.大衆

2019年03月15日 | 社会
 心すべきは、一般大衆と、一般大衆の代表者ないし代弁者をもって任ずる人とを、不用意に同一視しないように、ということだ。この両者は多くの点でちがった行動を、いや、正反対の行動をさえとるのだから。

□G・W・F・ヘーゲル(長谷川宏訳)『精神現象学』(作品社、1998)から引用

【保健】孤独を感じる遺伝子 ~肥満との関連も示唆~

2019年03月15日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)2018年初め、孤独担当大臣を新設した英国から孤独と遺伝子に関する知見が報告された。
 英国では、人口の1割以上にあたる900万人が日常的に孤独を感じ、その3分の2が生きづらさを抱えているという。
 英ケンブリッジ大学の研究チームは、「英国バイオバンク研究」に登録されている48万7,647人分の遺伝子情報と、被験者へのアンケート調査から遺伝子変異と孤独感との関連を解析。

 (2)アンケートでは、「どれくらい友人、家族を訪ねているか」「身近な人に悩みを相談できるか」などの質問で孤独感を評価している。
 アンケートの回答から、孤独と分類された人の遺伝子を解析した結果、感情や行動をコントロールする脳の領域にある15の遺伝子座の変異が、孤独感と強く関連することが示された。
 この遺伝子変異は神経症的な傾向や抑うつ状態、肥満とも関係し、主観的な幸福感とは負の関係にあることもわかっている。

 (3)研究チームはさらに、日ごろの社交活動──「宗教活動」「スポーツジム通い」「パブ(実に英国らしい!)や社交クラブ通い」と遺伝子変異との関連も調べた。
 その結果、各行動パターンとそれぞれ強く関連する遺伝子座の変異も見つかっている。

 (4)研究者は「似たような状況で孤独を感じる人、感じない人がいるのは、遺伝子の違いが影響しているのかもしれない」と言う。
 その一方で、「遺伝要因と環境要因は複雑に絡み合っているので、安易に『孤独遺伝子がある』とはいえない」とし、「孤独=生まれつき」という短絡的な考えが独り歩きしないよう警告している。
 遺伝的な形質の影響を考える際、忘れてはならないのは、その遺伝子が淘汰をくぐり抜け、何万年もの間役立ってきた点だ。
 ネガティブに思われがちな孤独だが、適応力を高め、団結力を強化するともいわれている。
 人類が母なるアフリカから新世界へと広がる過程で、孤独感は集団の絆を強め、むしろ生き残る確率を高めてきたのかもしれない。
 孤独を生存リスクに変えるのは、現代社会の閉塞感なのだろう。

□井出ゆきえ(医学ライター)「孤独を感じる遺伝子/肥満との関連も示唆 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.410~」(「週刊ダイヤモンド」2018年8月11日号)

 【参考】
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【保健】ダイエットの根っこは抗炎症? ~食物炎症指数(DII)とは~
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【保健】痛風は"ぜいたく病"ではない ~遺伝子変異の影響が大~
【保健】ヒトの知能は低下しつつある? ~遺伝要素より環境要因が関係~
【保健】花粉が飛び始めた ~昨夏の猛暑で大量飛散か~
【保健】筋トレ直後・食間vs食事中 ~プロテインを摂るタイミング~
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【保健】ナッツを食べて心疾患を予防 ~1日30グラムのお手軽健康法~
【保健】ついに薬もIoT ~胃液センサーで服薬管理~
【保健】犬を飼うと長生きする ~特に、一人暮らしにお勧め~
【保健】何年禁煙したら帳消しになるか ~女性は11年、男性は~
【保健】食後の血糖値スパイク ~カーボ・ラストでまったり改善~
【保健】米砂糖業界の苦々しいお話 ~不利なデータを半世紀も隠蔽?~
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【保健】慢性便秘に「考える人」 ~全国1,000万人のお悩みに~
【保健】ストレスでがんリスク上昇 ~ただし、男性に限る~
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【保健】認知症と性格の関係 ~責任感は予防的に働く~
【保健】手洗い励行の季節 ~CDC推奨の方法は~
【保健】何を食べていましたか? ~認知良好な69~71歳の場合~
【保健】SNSに投稿した写真が鬱病診断の手がかりに?
【保健】もし妻が乳がんに罹患したら ~10月はピンクリボン月間~
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【保健】秋の登山でも水分補給を ~脱水係数で消費量を把握~
【保健】歯周病と全身疾患との関係
【保健】尿のpHで糖尿病の発症予測 ~酸性度が高いとリスクが上昇~
【保健】ビタミンB群の過剰摂取にご注意 ~男性の肺癌発症リスクが上昇~
【保健】長距離タイムは血液型しだいか ~影響は普段の練習に匹敵~
【保健】活動格差が肥満を招く ~72万人に対する調査で判明~
【保健】認知症の発症を予防する/10代から意識すべき9因子
【保健】10代の望まない妊娠を防ぐ ~長期間効果がある避妊法を選択~
【保健】糖尿病網膜症リスクを軽減 ~26メッツ・時/週以上の運動~
【保健】ヒアリにどう対処する? ~アナフィラキシーに注意~
【保健】鬱に効くボルダリング ~悲観的な自動思考を解消~
【保健】主食をしっかり食べると公平な判断ができる
【保健】梅雨明け~お盆は熱中症の季節 ~危ない人、予防と対応法~
【保健】塩分過剰で空腹に ~高血圧どころかメタボに~
【保健】満腹より栄養素に目を向けて ~収入が低い世帯は主食頼み~
【保健】だるいときほど階段昇降を ~カフェインより効果的~
【保健】成人ADHDの予備診断 ~六つの質問でクリーニング~
【保健】“ベンゾ系薬剤”に注意 ~常用量でも薬物依存を形成~
【保健】ギャンブル依存症ってなに? ~最新の定義は「プロセス依存」~
【保健】グルテンフリー食の功罪 ~結局、2型糖尿病に?~
【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
【保健】「男の更年期」改善効果に疑問符 ~テストステロン補充療法~
【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
【保健】ポケモンGOで運動量up! ~仲間でワイワイの効果~
【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
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【花】木瓜咲くや漱石拙を守るべく

2019年03月15日 | 小説・戯曲
 
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「先生、先生」
と二声(ふたこえ)掛けた。これはしたり、いつ目付(めっ)かったろう。
「何です」
と余は木瓜(ぼけ)の上へ顔を出す。帽子は草原へ落ちた。
「何をそんな所でしていらっしゃる」
「詩を作って寝(ね)ていました」
「うそをおっしゃい。今のを御覧でしょう」
「今の? 今の、あれですか。ええ。少々拝見しました」
「ホホホホ少々でなくても、たくさん御覧なさればいいのに」
「実のところはたくさん拝見しました」
「それ御覧なさい。まあちょっと、こっちへ出ていらっしゃい。木瓜の中から出ていらっしゃい」
 余は唯々(いい)として木瓜の中から出て行く。
「まだ木瓜の中に御用があるんですか」
「もう無いんです。帰ろうかとも思うんです」
「それじゃごいっしょに参りましょうか」
「ええ」
 余は再び唯々として、木瓜の中に退(しりぞ)いて、帽子を被(かぶ)り、絵の道具を纏(まと)めて、那美さんといっしょにあるき出す。
「画を御描きになったの」
「やめました」
「ここへいらしって、まだ一枚も御描きなさらないじゃありませんか」
「ええ」
「でもせっかく画をかきにいらしって、ちっとも御かきなさらなくっちゃ、つまりませんわね」
「なにつまってるんです」

□夏目漱石『草枕』の「十二」から引用

【佐藤優】内閣支持率42%の心理的根拠  ~官僚の掟(10)~

2019年03月14日 | ●佐藤優
 ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンの著書『信頼』(大庭健、正村俊之訳、勁草書房)によれば、多くの人から信頼を集めている人や団体に不信を招く言動があった場合、しばらくの間はその人や団体を信じようとします。信頼した対象からすぐ離れてしまうと、信用した自分がみじめに思えるからです。しかし不信を招く言動が重なり、ある閾値を超えると、とたんに人々の信頼を失い、信頼は回復することはない、といったことが書かれています。信じていた人に何度も裏切られたら、「いい加減、もう、あなたのことは信じられない」となるのが人間の心理というものでしょう。
 民主党から枝分かれした現在の野党各党は、民主党政権の失敗のため、すでに信頼に足る閾値を外れています。現在の野党の体たらくが、それを証明しています。つまり、42%という内閣支持率は、野党が国民から信頼されていないことの裏返しに過ぎないのです。実態としては、いつ政権が崩壊してもおかしくない状況です。しかし、何度も言いますが、安倍政権は崩壊の兆しすら見えません。
 国民は、この政権をどのように見ているでしょうか。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「信用した自分がみじめになる」を引用

 【参考】
【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次



【佐藤優】世論と信頼  ~官僚の掟(9)~

2019年03月13日 | ●佐藤優
 総理が、国会で森友・加計問題をめぐって曖昧な答弁を繰り返し、麻生太郎財務大臣の「セクハラ罪という罪はない」などの暴言・失言が止まらなくても、なぜ内閣支持率が、あるところまで下がっては上昇するのか。象徴的だったのが、2018年3月27日、森友学園の国有地売却問題をめぐり、衆参両院で行われた佐川前長官の証人喚問を受けての世論調査の結果です。佐川氏の説明に納得できた人はあまりいなかったと思います。それでも佐川氏の証言が野党の追及により、一枚も二枚も上手だったということもあってか、内閣支持率はどん底にまでは落ちませんでした。
 読売新聞が4月2日に発表した世論調査では、前回より6ポイント落ちて42%。共同通信が4月1日に発表した世論調査では、前回より3.7ポイント上昇して42.4%でした。読売と共同では前回調査の日付が異なりますから、支持率の上昇・下降は意味を持ちません。私はむしろ、いまだ42%も支持があるという事実に目を向けました。佐川氏の証人喚問に世論の大半は納得していないにもかかわらず、なぜ、自分党政権にとってプラスともいえる数字が出てきたのでしょうか。
 結論から言えば、国民が混乱を嫌っているからです。佐川氏の証人喚問について、野党は共産党を除いて、事実関係の精査さえせず、ただ政争の具として使っていました。こんな野党が安倍内閣を潰して政権の座についたとしても大混乱しか起きないことが、国民には直感的に分かっているのです。

□佐藤優『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』 (朝日新書、2018)の「第1章 こんなに統治しやすい国はない」の「世論と信頼」を引用

 【参考】
【佐藤優】「劣位」の元キャリアの特徴  ~官僚の掟(8)~
【佐藤優】どの上司に評価されたか  ~官僚の掟(7)~
【佐藤優】官僚は年次がすべて  ~官僚の掟(6)~
【佐藤優】官僚に「落選」はない  ~官僚の掟(5)~
【佐藤優】ソ連官僚の鉄のモラル   ~官僚の掟(4)~
【佐藤優】競争の土俵に上がらない  ~官僚の掟(3)~
【佐藤優】自殺の大蔵、汚職の通産、不倫の外務 ~官僚の掟(2)~
【佐藤優】『官僚の掟』の目次