中村時広・愛媛県知事は、6月18日の定例記者会見で「いまの経済やエネルギー情勢からすれば、条件を整えたうえで再稼働は必要」と述べた。事実上の再稼働容認か、と大きく報じられた。
<「原発に関する発言となると、報道が大きくなります。従来と同じことを言ったつもりだったのですが、あたかも再稼働に同意のように報じられた。確かに再稼働は必要ですが、条件がある。そこが大切なのですよ」>と中村知事は語る。
<「福島原発事故後の国の政策を見ていると、安全対策に疑問がある。個々の原発で立地場所など条件が異なるはずなのに、なぜ国は画一的にやろうとするのか。伊方原発は立地的に、福島のような大津波の可能性はありません。一方で大切なのは、地震の揺れ対策です。国の示す基準はクリアしていましたが、四国電力には県独自の補強を追加で求め、応じてもらいました」>
独自対策は7つ。
・高松市にあった四国電力原子力本部を松山市へ移転させる。
・地域の住民を個別訪問して原発の現状を説明する。
・・・・などだが、中村知事の考える「条件」は、独自対策とは別に3つ。
(1)原発とエネルギー政策に係る国の方針。
(2)四国電力の取り組み。
(3)立地自治体の同意。
<「現状で(1)は、その場しのぎでビジョンがない。それが(2)と(3)の前提になる。もし、いま国から再稼働の同意を求められても、すぐにはハイとは返答できない」>
国に廃炉のビジョンを求め、それを再稼働の条件とするとは、実質的に、現時点では再稼働を認めない、ということだ。
<「原発はいずれ廃炉【注1】になる。国は40年ルールを打ち出している。伊方原発1号機は稼働から35年【注2】。ルールに従うとあと5年。しかし、なぜ今もっって廃炉の話し合いがないのか疑問だ」>
<「伊方原発が廃炉になった場合、私は県民を代表して、更地の状態に戻すことを求めます。廃炉には30年とも40年ともいわれる長い年月がかかる。廃炉作業では、放射能に汚染された膨大な廃棄物も生じる。だから、いますぐにでも協議を始め、国に廃炉も含めたビジョンを示してもらいたい」>
<「個人的には、地元と電力会社が結ぶ安全協定を改定して、廃炉協議の規定を盛り込むのも一考だと思っている」>
廃炉となれば、地元経済は落ち込む。その対策案は、中村知事によれば、
(a)廃炉技術確立の一環として、例えば、高経年化した原発を研究現場に使えば一定の雇用が確保される。
(b)原発の広大な敷地は、再生可能エネルギーの研究にも使える。
(c)福島原発事故の収束作業に不可欠なロボットを伊方の現場で開発する。
だが国は、廃炉についてはビジョンを全く示していない。それどころか、3党談合によって「40年ルール」の歯止めも反故にされそうな気配だ。
<「二度と福島のような事故を起こしてはならない。原発を語ろうとすると『反原発』か『推進』かに二極化されますが、知事として地方を預かる立場からすると、そんな単純なものではありません。現実と将来を見据えて廃炉に言及するのです。経済だけを優先した再稼働はあり得ません」>
【注1】国内で、廃炉になった原発は試験炉のみ。商業炉では東海原発が廃炉作業中だが、これは黒鉛減速炭酸ガス冷却炉だ。
【注2】伊方原発は、1977年に1号機、1982年に2号機、1994年に3号機が稼働。3号機はプルサーマル方式だ。
以上、記事「中村時広・愛媛県知事が本誌で重大発言 伊方原発「再稼働するならば、まずは廃炉計画だ」」(「週刊朝日」2012年7月6日号)に拠る。
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<「原発に関する発言となると、報道が大きくなります。従来と同じことを言ったつもりだったのですが、あたかも再稼働に同意のように報じられた。確かに再稼働は必要ですが、条件がある。そこが大切なのですよ」>と中村知事は語る。
<「福島原発事故後の国の政策を見ていると、安全対策に疑問がある。個々の原発で立地場所など条件が異なるはずなのに、なぜ国は画一的にやろうとするのか。伊方原発は立地的に、福島のような大津波の可能性はありません。一方で大切なのは、地震の揺れ対策です。国の示す基準はクリアしていましたが、四国電力には県独自の補強を追加で求め、応じてもらいました」>
独自対策は7つ。
・高松市にあった四国電力原子力本部を松山市へ移転させる。
・地域の住民を個別訪問して原発の現状を説明する。
・・・・などだが、中村知事の考える「条件」は、独自対策とは別に3つ。
(1)原発とエネルギー政策に係る国の方針。
(2)四国電力の取り組み。
(3)立地自治体の同意。
<「現状で(1)は、その場しのぎでビジョンがない。それが(2)と(3)の前提になる。もし、いま国から再稼働の同意を求められても、すぐにはハイとは返答できない」>
国に廃炉のビジョンを求め、それを再稼働の条件とするとは、実質的に、現時点では再稼働を認めない、ということだ。
<「原発はいずれ廃炉【注1】になる。国は40年ルールを打ち出している。伊方原発1号機は稼働から35年【注2】。ルールに従うとあと5年。しかし、なぜ今もっって廃炉の話し合いがないのか疑問だ」>
<「伊方原発が廃炉になった場合、私は県民を代表して、更地の状態に戻すことを求めます。廃炉には30年とも40年ともいわれる長い年月がかかる。廃炉作業では、放射能に汚染された膨大な廃棄物も生じる。だから、いますぐにでも協議を始め、国に廃炉も含めたビジョンを示してもらいたい」>
<「個人的には、地元と電力会社が結ぶ安全協定を改定して、廃炉協議の規定を盛り込むのも一考だと思っている」>
廃炉となれば、地元経済は落ち込む。その対策案は、中村知事によれば、
(a)廃炉技術確立の一環として、例えば、高経年化した原発を研究現場に使えば一定の雇用が確保される。
(b)原発の広大な敷地は、再生可能エネルギーの研究にも使える。
(c)福島原発事故の収束作業に不可欠なロボットを伊方の現場で開発する。
だが国は、廃炉についてはビジョンを全く示していない。それどころか、3党談合によって「40年ルール」の歯止めも反故にされそうな気配だ。
<「二度と福島のような事故を起こしてはならない。原発を語ろうとすると『反原発』か『推進』かに二極化されますが、知事として地方を預かる立場からすると、そんな単純なものではありません。現実と将来を見据えて廃炉に言及するのです。経済だけを優先した再稼働はあり得ません」>
【注1】国内で、廃炉になった原発は試験炉のみ。商業炉では東海原発が廃炉作業中だが、これは黒鉛減速炭酸ガス冷却炉だ。
【注2】伊方原発は、1977年に1号機、1982年に2号機、1994年に3号機が稼働。3号機はプルサーマル方式だ。
以上、記事「中村時広・愛媛県知事が本誌で重大発言 伊方原発「再稼働するならば、まずは廃炉計画だ」」(「週刊朝日」2012年7月6日号)に拠る。
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