(1)バングラデシュ農業研究所は1月22日に、同国の農家に対しGMナスの苗の分配を開始。これにより、バングラデシュで殺虫性(Bt)ナスの作付けが始まった。
殺虫性作物とは、作物自体に殺虫毒素があり、害虫が寄りつかないようにした作物だ。
これは同国で最初に栽培されるGM作物であるとともに、世界で初めて本格的に栽培されるGM野菜の苗でもある。
現在、中国でGMトマトとピーマンが栽培されている。これにナスが加わったわけで、いよいよ野菜でもGM作物が広がりそうだ。
(2)(1)のGMナスは、もともとマヒコ社(モンサント社のインド法人)が開発したもの。安全性に問題があるということで、農家や消費者の抵抗が大きく、
(a)最初に栽培を目指したインドでも、
(b)次に目指したフィリピンでも栽培できず、
(c)バングラデシュで栽培されることになった。
(3)国際アグリバイオ技術事業団(ISAAA、GM作物を推進している国際組織)が2月13日、2013年の世界でのGM作物の栽培面積を発表すると同時に、これからの予測を発表した。
(a)昨年のGM作物の総栽培面積は1億7,520万haで、前年より490万ha増加と微増にとどまった。なぜなら、作物の種類が限定されていること、作付け国が増えないこと、による。
(b)最大栽培国は米国(7,010万ha)だ。
①ついで、ブラジル(4,030万ha)、アルゼンチン(2,440万ha)が続き、北南米中心に栽培されている実態に変わりはない。
②アジアでは、インド(1,100万ha)、中国(420万ha)、パキスタン (280万ha)、フィリピン(80万ha)、ミャンマー(30万ha)が栽培国となっている。
(c)作物では大豆(8,0450万ha)が最も多く作られている。ついで、トウモロコシ(5,740万ha)、綿(2,390万ha)、菜種(820万ha)となっている。今のところ作物の種類は限定されているが、これから拡大していくための武器が、作物では野菜、稲、小麦だ。性質としては耐乾燥性、ターゲットとされる地域としてはアジアとアフリカとなりそうだ。
(4)ISAAAは、
(a)2014年中にインドネシアで耐乾燥性サトウキビの作付けが、
(b)2017年にはアフリカで耐乾燥性トウモロコシの作付けが始まると予想している。
昨年のアフリカでの栽培国は3か国(南アフリカ、ブルキナファソ、スーダン)だが、現在7か国(カメルーン、エジプト、ガーナ、ケニア、マラウイ、ナイジェリア、ウガンダ)が、野外での栽培試験を行っており、栽培国入りしそうだ。
(5)さらにISAAAは、フィリピンで「ゴールデンライス」の作付けがまもなく始まる、としている。これはベータカロチンを増やした稲で、ベータカロチンは体内に入るとビタミンAとなるため、ビタミンAライスとも呼ばれている。栄養価を高めた初めてのGM食品で、開発中のGM食品の中で最初に栽培される見込みの品種だ。今後、このような栄養機能食品を増やしたいと考える企業にとてはゴールデンライスは期待の星だ。稲は、小麦と並んで世界の人たちが主食としていることから市場性もある。ゴールデンライスを突破口に、GM稲や小麦の市場化を目指す狙いもある。
□天笠啓佑(ジャーナリスト)「バングラデシュで遺伝子組み換えナスの栽培始まる」(「週刊金曜日」2014年2月14日号)
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殺虫性作物とは、作物自体に殺虫毒素があり、害虫が寄りつかないようにした作物だ。
これは同国で最初に栽培されるGM作物であるとともに、世界で初めて本格的に栽培されるGM野菜の苗でもある。
現在、中国でGMトマトとピーマンが栽培されている。これにナスが加わったわけで、いよいよ野菜でもGM作物が広がりそうだ。
(2)(1)のGMナスは、もともとマヒコ社(モンサント社のインド法人)が開発したもの。安全性に問題があるということで、農家や消費者の抵抗が大きく、
(a)最初に栽培を目指したインドでも、
(b)次に目指したフィリピンでも栽培できず、
(c)バングラデシュで栽培されることになった。
(3)国際アグリバイオ技術事業団(ISAAA、GM作物を推進している国際組織)が2月13日、2013年の世界でのGM作物の栽培面積を発表すると同時に、これからの予測を発表した。
(a)昨年のGM作物の総栽培面積は1億7,520万haで、前年より490万ha増加と微増にとどまった。なぜなら、作物の種類が限定されていること、作付け国が増えないこと、による。
(b)最大栽培国は米国(7,010万ha)だ。
①ついで、ブラジル(4,030万ha)、アルゼンチン(2,440万ha)が続き、北南米中心に栽培されている実態に変わりはない。
②アジアでは、インド(1,100万ha)、中国(420万ha)、パキスタン (280万ha)、フィリピン(80万ha)、ミャンマー(30万ha)が栽培国となっている。
(c)作物では大豆(8,0450万ha)が最も多く作られている。ついで、トウモロコシ(5,740万ha)、綿(2,390万ha)、菜種(820万ha)となっている。今のところ作物の種類は限定されているが、これから拡大していくための武器が、作物では野菜、稲、小麦だ。性質としては耐乾燥性、ターゲットとされる地域としてはアジアとアフリカとなりそうだ。
(4)ISAAAは、
(a)2014年中にインドネシアで耐乾燥性サトウキビの作付けが、
(b)2017年にはアフリカで耐乾燥性トウモロコシの作付けが始まると予想している。
昨年のアフリカでの栽培国は3か国(南アフリカ、ブルキナファソ、スーダン)だが、現在7か国(カメルーン、エジプト、ガーナ、ケニア、マラウイ、ナイジェリア、ウガンダ)が、野外での栽培試験を行っており、栽培国入りしそうだ。
(5)さらにISAAAは、フィリピンで「ゴールデンライス」の作付けがまもなく始まる、としている。これはベータカロチンを増やした稲で、ベータカロチンは体内に入るとビタミンAとなるため、ビタミンAライスとも呼ばれている。栄養価を高めた初めてのGM食品で、開発中のGM食品の中で最初に栽培される見込みの品種だ。今後、このような栄養機能食品を増やしたいと考える企業にとてはゴールデンライスは期待の星だ。稲は、小麦と並んで世界の人たちが主食としていることから市場性もある。ゴールデンライスを突破口に、GM稲や小麦の市場化を目指す狙いもある。
□天笠啓佑(ジャーナリスト)「バングラデシュで遺伝子組み換えナスの栽培始まる」(「週刊金曜日」2014年2月14日号)
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