(1)11月22日付け朝日新聞は、猪瀬直樹・東京都知事が、昨年の都知事選前に、医療法人「徳州会」グループから5,000万円を提供されていた、とスクープした。
昨年11月上旬、猪瀬知事は病院(神奈川県鎌倉市)に入院中の徳田虎雄・徳州会創設者を訪ね、都知事選に出る、と報告。病気で口がきけない虎雄は秘書を介して、応援する、と応じた。同月中旬、猪瀬は、徳田毅・衆議院議員から手渡しで5,000万円を受け取った。現金なのは、「足がつかないようにしろ」と虎雄から指示があったためだ。
(2)11月26日、猪瀬は緊急記者会見を開き、カネはあくまでも「個人的な借り入れ」であったと強調した。証明するために借用書を示した。
カネは、今年9月に秘書が全額返済した、とされ、政治資金収支報告書にも徳州会に係る記載はない。
だが、都知事選前とあって、選挙費用のためのカネであった疑いはいまだに濃厚だ。
疑惑を深めているのは、猪瀬が返済したとされる時期と、一貫しない説明だ。
(3)9月17日、徳州会に東京地検特捜部の強制捜査が入った。昨年の衆院選で徳州会が毅を応援する際、違法な選挙運動をしていたという容疑(公職選挙法違反)で。
9月末、猪瀬が5,000万円を返済した(とされる)。強制捜査の直後であった。
猪瀬の説明も、二転三転した。
・11月21日・・・・「知らない」
・11月22日午後1時・・・・「選挙のための応援」
・11月22日午後3時・・・・「個人のための借り入れ」
「個人のための借り入れ」だから、政治資金収支報告書に記載する義務はない、という理屈だ。
(4)11月23日、「市民連帯の会」は、猪瀬知事、徳田虎雄、徳田毅の3人に対する告発状を東京地検特捜部に送付した。容疑は、公職選挙法違反(虚偽記載など)。
この事件の本筋は買収事件。猪瀬がカネを返却したとしても、買収したこと自体が消滅するわけではない。返却された現金5,000万円の出どころや使途についても解明されるべきだ。【三井環・「市民連帯の会」代表/元大阪高検公安部長】
猪瀬は、徳州会が都内で病院を経営していることは知らなかった、と発言しているが、それ自体知事の見識が問わる。【山内れい子・都議/2020年オリンピック・パラリンピック招致特別委員】
徳州会に強制捜査が入らなかったら知らされることさえなかった。都知事選告示前のできごとだが、公開討論会ではおくびにも出さなかった。公職選挙法なら選挙運動費用収支報告書に、政治資金規正法では政治資金収支報告書などに記載すべきもの。病院などの許認可権が絡めば贈収賄事件にもなる。【宇都宮健児・前日本弁護士連合会会長】
(5)猪瀬の贈収賄疑惑が明るみに出た背景に、徳州会の内紛がある。
徳州会グループは、虎雄がワンマン経営者として君臨してきた。彼が病気になると、妻、娘などが経営に関与してくるようになった。そのファミリーと、虎雄の最側近だった能宗克行の内部抗争が2、3年前から起き始めた。最終的には、能宗が切られた。追放された能宗は、古くから付き合いのある「週刊新潮」OBや「産経新聞」記者らと通じて、東京地検特捜部にも内部資料を持ち込んだ。特捜部が徳州会に踏み込む当日(9月17日)、「産経」がスクープしている。
猪瀬の裏金疑惑は、徳州会の内紛の結果として出てきたにすぎない。
(6)猪瀬は、明らかにウソを、しかも稚拙なウソをついている。危機管理能力がまったくない。都民を見てない。いまは刑事責任をいかに逃れるか、しか考えていない。検察庁を意識した発言に終始し、しかも説明が二転三転する。都知事個人のことでこれほどのパニックを起こし、醜態をさらす人は、もし東京で大災害が起きても対処できまい。安心して都政を任せられない。都民はリコールを真剣に考えるべきだ。【佐藤優】
□本誌取材班「徳州会からの5000万円 「個人の借り入れ」で済む話か!」(「週刊金曜日」2013年11月29日号)
↓クリック、プリーズ。↓
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昨年11月上旬、猪瀬知事は病院(神奈川県鎌倉市)に入院中の徳田虎雄・徳州会創設者を訪ね、都知事選に出る、と報告。病気で口がきけない虎雄は秘書を介して、応援する、と応じた。同月中旬、猪瀬は、徳田毅・衆議院議員から手渡しで5,000万円を受け取った。現金なのは、「足がつかないようにしろ」と虎雄から指示があったためだ。
(2)11月26日、猪瀬は緊急記者会見を開き、カネはあくまでも「個人的な借り入れ」であったと強調した。証明するために借用書を示した。
カネは、今年9月に秘書が全額返済した、とされ、政治資金収支報告書にも徳州会に係る記載はない。
だが、都知事選前とあって、選挙費用のためのカネであった疑いはいまだに濃厚だ。
疑惑を深めているのは、猪瀬が返済したとされる時期と、一貫しない説明だ。
(3)9月17日、徳州会に東京地検特捜部の強制捜査が入った。昨年の衆院選で徳州会が毅を応援する際、違法な選挙運動をしていたという容疑(公職選挙法違反)で。
9月末、猪瀬が5,000万円を返済した(とされる)。強制捜査の直後であった。
猪瀬の説明も、二転三転した。
・11月21日・・・・「知らない」
・11月22日午後1時・・・・「選挙のための応援」
・11月22日午後3時・・・・「個人のための借り入れ」
「個人のための借り入れ」だから、政治資金収支報告書に記載する義務はない、という理屈だ。
(4)11月23日、「市民連帯の会」は、猪瀬知事、徳田虎雄、徳田毅の3人に対する告発状を東京地検特捜部に送付した。容疑は、公職選挙法違反(虚偽記載など)。
この事件の本筋は買収事件。猪瀬がカネを返却したとしても、買収したこと自体が消滅するわけではない。返却された現金5,000万円の出どころや使途についても解明されるべきだ。【三井環・「市民連帯の会」代表/元大阪高検公安部長】
猪瀬は、徳州会が都内で病院を経営していることは知らなかった、と発言しているが、それ自体知事の見識が問わる。【山内れい子・都議/2020年オリンピック・パラリンピック招致特別委員】
徳州会に強制捜査が入らなかったら知らされることさえなかった。都知事選告示前のできごとだが、公開討論会ではおくびにも出さなかった。公職選挙法なら選挙運動費用収支報告書に、政治資金規正法では政治資金収支報告書などに記載すべきもの。病院などの許認可権が絡めば贈収賄事件にもなる。【宇都宮健児・前日本弁護士連合会会長】
(5)猪瀬の贈収賄疑惑が明るみに出た背景に、徳州会の内紛がある。
徳州会グループは、虎雄がワンマン経営者として君臨してきた。彼が病気になると、妻、娘などが経営に関与してくるようになった。そのファミリーと、虎雄の最側近だった能宗克行の内部抗争が2、3年前から起き始めた。最終的には、能宗が切られた。追放された能宗は、古くから付き合いのある「週刊新潮」OBや「産経新聞」記者らと通じて、東京地検特捜部にも内部資料を持ち込んだ。特捜部が徳州会に踏み込む当日(9月17日)、「産経」がスクープしている。
猪瀬の裏金疑惑は、徳州会の内紛の結果として出てきたにすぎない。
(6)猪瀬は、明らかにウソを、しかも稚拙なウソをついている。危機管理能力がまったくない。都民を見てない。いまは刑事責任をいかに逃れるか、しか考えていない。検察庁を意識した発言に終始し、しかも説明が二転三転する。都知事個人のことでこれほどのパニックを起こし、醜態をさらす人は、もし東京で大災害が起きても対処できまい。安心して都政を任せられない。都民はリコールを真剣に考えるべきだ。【佐藤優】
□本誌取材班「徳州会からの5000万円 「個人の借り入れ」で済む話か!」(「週刊金曜日」2013年11月29日号)
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