<「私は行動経済学者です」といって、私の前に最初にあらわれたのは竹中平蔵さんでした。「新自由主義者ではありません。行動経済学者です」と。
われわれ神学を基礎存在とする者には偏見があり、基本的に人間は進歩していないと思っています。神学の議論は、論理整合性の高いほうが負けるんです。メチャクチャなことをいっているほうが、政治力を使って勝つ。そうやっているから、議論が積み重ねられず、同じ問題が何度も噴き出してきます。
(中略)
過去にも行動経済学に似たようなものがあるだろうと思い、今一所懸命に読んでいるのが、新明正道(しんめいまさみち)、加田哲二(かだてつじ)、土方成美(ひじかたせいび)といった、日本にイタリアファシズムを紹介した人たちのパレート観です。
人間自身を非合理な存在として考えるローザンヌ学派という不思議な学派があり、そこにパレートという有名な経済学者がいます。この人は、なんとムッソリーニの師匠です。さらに、ローザンヌにはファッショ・インターナショナルがあります。ファシズムは国境を越える。そういうものを読んでいると、「あれ? 行動経済学と組み立て方が似ている」と私は気がつきました。
パレートの理論は、外交官試験の経済学の問題にも出てきます。ミクロ経済学の効用や厚生経済学の問題として扱われている。しかし、彼をファシズムの思想家として、別の見方をしてみると、行動経済学をやっている人たちの議論と重なるところがある。ファシズムが、もう一度頭をもたげているのが、行動経済学なのです。
□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅲ部 総合討論」の「パネルディスカッション」の「行動経済学とファシズムの親和性」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】宗教とジャーナリズム ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教者とは、貧しき者、虐げられた者たちとある者だ ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】キリスト教にとってのお金 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】オウム事件が他人事ではない理由 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】革命再考 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】時間とお金を何に使うか ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】資本主義的な論理を超えて ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「本来の宗教」は存在するのか ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】死生観の変化が私たちにもたらすもの ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】独身であることと権力 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】個別性と普遍性 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次」
われわれ神学を基礎存在とする者には偏見があり、基本的に人間は進歩していないと思っています。神学の議論は、論理整合性の高いほうが負けるんです。メチャクチャなことをいっているほうが、政治力を使って勝つ。そうやっているから、議論が積み重ねられず、同じ問題が何度も噴き出してきます。
(中略)
過去にも行動経済学に似たようなものがあるだろうと思い、今一所懸命に読んでいるのが、新明正道(しんめいまさみち)、加田哲二(かだてつじ)、土方成美(ひじかたせいび)といった、日本にイタリアファシズムを紹介した人たちのパレート観です。
人間自身を非合理な存在として考えるローザンヌ学派という不思議な学派があり、そこにパレートという有名な経済学者がいます。この人は、なんとムッソリーニの師匠です。さらに、ローザンヌにはファッショ・インターナショナルがあります。ファシズムは国境を越える。そういうものを読んでいると、「あれ? 行動経済学と組み立て方が似ている」と私は気がつきました。
パレートの理論は、外交官試験の経済学の問題にも出てきます。ミクロ経済学の効用や厚生経済学の問題として扱われている。しかし、彼をファシズムの思想家として、別の見方をしてみると、行動経済学をやっている人たちの議論と重なるところがある。ファシズムが、もう一度頭をもたげているのが、行動経済学なのです。
□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅲ部 総合討論」の「パネルディスカッション」の「行動経済学とファシズムの親和性」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】宗教とジャーナリズム ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教者とは、貧しき者、虐げられた者たちとある者だ ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】キリスト教にとってのお金 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】オウム事件が他人事ではない理由 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】革命再考 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】時間とお金を何に使うか ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】資本主義的な論理を超えて ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「本来の宗教」は存在するのか ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】死生観の変化が私たちにもたらすもの ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】独身であることと権力 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】個別性と普遍性 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教に関する訳語 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】宗教が土着化するということ ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】沖縄における魂観 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次」