語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【健康】子どもたちの健康を犠牲にするな ~フッ素推進の波~

2014年08月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 子どもたちへのフッ素洗口、フッ素塗布を強制する動きが加速している。
 虫歯予防のために使用されているフッ化ナトリウムは、原末【注1】が10倍に薄められているものの、劇物に指定されている毒物【注2】で、通常は口に入れるのはもってのほかだ。
 これを水に薄めて30秒ないし1分間、口に入れてすすぐのだが、飲み込むのを防ぐことは困難だ。かくて、子どもは劇物を体内に取り込んでしまう。

 虫歯の予防のためと言われているが、いま子どもたちの虫歯は確実に減少している。その主因はフッ素がもたらしているものではない。
 フッ素を使用すると、エナメル質が正常に形成されない。ために歯の変色をもたらす病気(斑状歯)になる可能性が強まる。
 フッ素洗口、フッ素塗布は有害だ。WHOは、6歳以下の子どもに使用することを禁止している。そのため、
  (1)ミネラルウォーターや歯磨き剤などに警告が表示されている。
  (2)あるミネラルウォーターの場合、フッ素が1.5mg/リットル含まれているため、「7歳未満のお子さまは本品の飲用を控えてください」と表示されている。
  (3)水道水への添加に関して、米国国立癌研究所の調査によって、添加していない地域に比べて骨肉腫が多い、と指摘されている。

 このように有害性が示されているのに、なぜフッ素洗口、フッ素塗布が強制されつつあるのか。
 背景には、「健康・医療」が国家戦略に掲げられたことが挙げられる。2000年から始まった「健康日本21」は、21世紀における国民運動に健康が据えられた。さらに、第二次安倍政権になり、軽罪成長戦略の大きな柱に「健康・医療」が掲げられ、その手段として採られているのが国の法律化であり、自治体の条例化であり、現場でのリスクコミュニケーションだ。これまで養護教員が中心になってフッ素使用に反対してきたが、現場の抵抗が強いことから、強制化に乗り出したと言える。国をあげてフッ素使用に邁進しているが、犠牲になるのは子どもだ。
  (a)「歯科口腔保健の推進に関する法律」が成立した(2011年8月)。
  (b)同法推進のための「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」にフッ素推進が示された。
  (c)並行して自治体の条例化が進められた。新潟県における条例化(2008年)をきっかけに、歯や口腔に関する条例を施行している道府県は40に達し、その多くが条文にフッ素推進を明記している。
  (d)今、フッ素使用を喧伝するために自治体の職員が少人数の会合にも出かけていくリスクコミュニケーションが行われている。本来、リスクコミュニケーションは市民の意見も聞く双方向のものだが、これは一方通行の喧伝だ。

 【注1】医薬品製造工程において、原料として使用される此処の薬物の粉末。
 【注2】フッ素問題の一つは、アルミ精錬工場による大規模な環境破壊だ。工場周辺の草木が皆枯れ果て、稲や野菜が育たず、人間も頭痛や吐き気に悩まされた。ために、アルミ精錬工場は国内から海外に移転し始め、今度は公害輸出と批判されることになった。この場合、フッ素が原因だったが、その後、フッ素樹脂が高温にさらされた際の有害性が問題になった。

□天笠啓佑「止まらない、フッ素推進の波。子どもたちの健康を犠牲にするな」(「週刊金曜日」2014年8月22日号)
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