最後の開催となった当スタジオ伝統の標記イベント。今回は「シンポジウム」と「講座」の2日間とも、神奈川県立青少年センター別館で開催しました。
一部出演者のご都合を考慮して開催日を例年より3週間程度早めたうえ、代表の丸山のスケジュールの関係で広報の開始が大幅に遅れたため、セミナー20回のなかで最も広報期間が短くなってしまいました。しかし広報が直前になったぶん事前申し込みせずに当日来場してお申し込みくださった方が多数いらっしゃり、1日目は定員に迫る44人、2日目は定員を大きくオーバーする40人という参加者数(両日ともスタッフ兼任2人含む・正式スタッフ含まず)で、2日間とも会場はギッシリ。1日目は当日用の申込書や出演者分の資料が不足するなど、準備不足で対応しきれずご迷惑をおかけすることになってしまいました。
このように、参加者数から言えば大成功だった反面、運営面では反省すべき点が多々あり、主催団体としてもろ手を挙げて喜べない最終回となってしまいました。
さて、2日に開催された1日目は、過去19回に1回または複数回ご出演くださった方のなかから再出演をご承諾くださった6名の方に、丸山がインタビュー形式でお話をうかがう最終回特別プログラムから始まりました。
初出演の回の順に中央にお立ちいただき、ご出演の回を含めたご紹介のあと「丸山または丸山の近著の“元ネタ”であるメールマガジンへの評価」「ご出演後のご自身の歩み」「ご出演時と現在との当事者や状況の変化」「ご自身の今後、または当事者・ご家族・社会への提言」などの質問を、それぞれの方に応じて選びながら行いました。
「通信制高校の教材の発達」「おとなのひきこもりの長期化=高年齢化」「フリースクールに来る子どもの状態の多様化」「ひきこもり当事者の研究者への受け入れ姿勢の定着」「ひきこもり状態のまま親の介護を引き受けざるを得ない状況の顕在化」など、ここ11年くらいのセミナー開催期間における当事者の傾向や周辺状況の変化、またそれに関するお考えがわかりやすく語られました。
案内書などでの事前発表で「このプログラムはここ10年くらいの“不登校・ひきこもり小史”になるかも」と大見得を切っていましたが、それぞれ不登校・ひきこもりの研究や実践の第一線で長年ご活躍されている方々だけに、それぞれの上手な、そして示唆に富むお話は、まさに“不登校・ひきこもり小史”と呼ぶにふさわしい内容となり、このプログラムは大成功でした。
15分の休憩後、前々回からおなじみの“当事者トリオによる本音トーク”へ。今回のテーマは丸山の近況に関連した「“当事者本”対談」と、丸山が参加している当事者中心の会について語り合う「居場所はどこに」の2本立て。
前半は初めて著書を持つことになった丸山と、すでに2冊の著書で知られる勝山実氏が中央に着席。最初に意外なふたりの共通点として「好きな野球チーム」を発表しました。すぐ本題に入り、まず勝山氏の最初の著書『ひきこもりカレンダー』が出版されてからの気持ちの変遷を振り返っていただき、続いて2冊目の『安心ひきこもりライフ』について、編集した伊藤書佳氏に“元ネタ”のブログや新聞連載を本にしようと思った理由をうかがいました。続いて丸山の近著について“元ネタ”のメールマガジンを「出版されたら“当事者本”ナンバーワン」と評していた林恭子氏にあらためて評価していただきました。
話題はお互いの立場の異同に移り、当事者向けに書いている勝山氏と親御さんをはじめとする周囲の方々向けに書いている丸山の、それぞれの思い、さらに前回の「人物対照表」に記載されていた勝山氏の「ひきこもり時代は悪いことしかなかった」というコメントをめぐって、氏の説明とそれに共感する丸山と林氏のコメントがありました。
小休憩をはさんで席替えを行い、後半の「居場所はどこに」に移りました。
伊藤氏は「いけふくろうの会」という“不登校・ひきこもり飲み会”の、勝山氏は「新ひきこもりについて考える会」の、林氏は「新ひきこもりについて考える会・読書会」の、それぞれ共同世話人のひとりとして運営に携わっておられます。そして丸山は、そのいずれにもよく参加しています。
それぞれ自己紹介と会の紹介、さらに様子や魅力を順にしていただいたあと、丸山が「いけふくろうの会」でほかの参加者から聞いた話をもとに「3つの会に共通しているのは<安心感>では?」と話を向け<安心感>が醸し出される要素としてどの会も「支援を目的とした居場所ではない」「参加者が居場所だと思える場所」という認識で一致しました。この点を伊藤氏は「通過点ではない」と、林氏は「いつでも戻ってこられる場所」と、それぞれ表現しておられました。
一方「それらの会に参加できない段階の当事者が居場所にできる場所は?」と丸山が問うと、勝山氏は「無料でいられる場所」として「図書館」「古本屋」を挙げ、林氏は「映画」「自転車に乗って海」を挙げました。また両人とも当事者が安心する対応を家族ができるようになるまで時間がかかることを指摘しました。それを受けて丸山は「家庭を居場所にすることの重要性」を強調しました。
最後に「質問用紙」や挙手による質問に、4人それぞれが各自の持ち味を出して微妙に違う角度から回答して、3度目の“当事者トリオ”を招いてのトークが終了しました。
こうして1日目のプログラムはすべて終了し、懇親会には半数近くが参加、遅くまで楽しい語り合いが続きました。
(明日は2日目を報告します)
「第20回青少年支援セミナー」1日目の要項を振り返る
一部出演者のご都合を考慮して開催日を例年より3週間程度早めたうえ、代表の丸山のスケジュールの関係で広報の開始が大幅に遅れたため、セミナー20回のなかで最も広報期間が短くなってしまいました。しかし広報が直前になったぶん事前申し込みせずに当日来場してお申し込みくださった方が多数いらっしゃり、1日目は定員に迫る44人、2日目は定員を大きくオーバーする40人という参加者数(両日ともスタッフ兼任2人含む・正式スタッフ含まず)で、2日間とも会場はギッシリ。1日目は当日用の申込書や出演者分の資料が不足するなど、準備不足で対応しきれずご迷惑をおかけすることになってしまいました。
このように、参加者数から言えば大成功だった反面、運営面では反省すべき点が多々あり、主催団体としてもろ手を挙げて喜べない最終回となってしまいました。
さて、2日に開催された1日目は、過去19回に1回または複数回ご出演くださった方のなかから再出演をご承諾くださった6名の方に、丸山がインタビュー形式でお話をうかがう最終回特別プログラムから始まりました。
初出演の回の順に中央にお立ちいただき、ご出演の回を含めたご紹介のあと「丸山または丸山の近著の“元ネタ”であるメールマガジンへの評価」「ご出演後のご自身の歩み」「ご出演時と現在との当事者や状況の変化」「ご自身の今後、または当事者・ご家族・社会への提言」などの質問を、それぞれの方に応じて選びながら行いました。
「通信制高校の教材の発達」「おとなのひきこもりの長期化=高年齢化」「フリースクールに来る子どもの状態の多様化」「ひきこもり当事者の研究者への受け入れ姿勢の定着」「ひきこもり状態のまま親の介護を引き受けざるを得ない状況の顕在化」など、ここ11年くらいのセミナー開催期間における当事者の傾向や周辺状況の変化、またそれに関するお考えがわかりやすく語られました。
案内書などでの事前発表で「このプログラムはここ10年くらいの“不登校・ひきこもり小史”になるかも」と大見得を切っていましたが、それぞれ不登校・ひきこもりの研究や実践の第一線で長年ご活躍されている方々だけに、それぞれの上手な、そして示唆に富むお話は、まさに“不登校・ひきこもり小史”と呼ぶにふさわしい内容となり、このプログラムは大成功でした。
15分の休憩後、前々回からおなじみの“当事者トリオによる本音トーク”へ。今回のテーマは丸山の近況に関連した「“当事者本”対談」と、丸山が参加している当事者中心の会について語り合う「居場所はどこに」の2本立て。
前半は初めて著書を持つことになった丸山と、すでに2冊の著書で知られる勝山実氏が中央に着席。最初に意外なふたりの共通点として「好きな野球チーム」を発表しました。すぐ本題に入り、まず勝山氏の最初の著書『ひきこもりカレンダー』が出版されてからの気持ちの変遷を振り返っていただき、続いて2冊目の『安心ひきこもりライフ』について、編集した伊藤書佳氏に“元ネタ”のブログや新聞連載を本にしようと思った理由をうかがいました。続いて丸山の近著について“元ネタ”のメールマガジンを「出版されたら“当事者本”ナンバーワン」と評していた林恭子氏にあらためて評価していただきました。
話題はお互いの立場の異同に移り、当事者向けに書いている勝山氏と親御さんをはじめとする周囲の方々向けに書いている丸山の、それぞれの思い、さらに前回の「人物対照表」に記載されていた勝山氏の「ひきこもり時代は悪いことしかなかった」というコメントをめぐって、氏の説明とそれに共感する丸山と林氏のコメントがありました。
小休憩をはさんで席替えを行い、後半の「居場所はどこに」に移りました。
伊藤氏は「いけふくろうの会」という“不登校・ひきこもり飲み会”の、勝山氏は「新ひきこもりについて考える会」の、林氏は「新ひきこもりについて考える会・読書会」の、それぞれ共同世話人のひとりとして運営に携わっておられます。そして丸山は、そのいずれにもよく参加しています。
それぞれ自己紹介と会の紹介、さらに様子や魅力を順にしていただいたあと、丸山が「いけふくろうの会」でほかの参加者から聞いた話をもとに「3つの会に共通しているのは<安心感>では?」と話を向け<安心感>が醸し出される要素としてどの会も「支援を目的とした居場所ではない」「参加者が居場所だと思える場所」という認識で一致しました。この点を伊藤氏は「通過点ではない」と、林氏は「いつでも戻ってこられる場所」と、それぞれ表現しておられました。
一方「それらの会に参加できない段階の当事者が居場所にできる場所は?」と丸山が問うと、勝山氏は「無料でいられる場所」として「図書館」「古本屋」を挙げ、林氏は「映画」「自転車に乗って海」を挙げました。また両人とも当事者が安心する対応を家族ができるようになるまで時間がかかることを指摘しました。それを受けて丸山は「家庭を居場所にすることの重要性」を強調しました。
最後に「質問用紙」や挙手による質問に、4人それぞれが各自の持ち味を出して微妙に違う角度から回答して、3度目の“当事者トリオ”を招いてのトークが終了しました。
こうして1日目のプログラムはすべて終了し、懇親会には半数近くが参加、遅くまで楽しい語り合いが続きました。
(明日は2日目を報告します)
「第20回青少年支援セミナー」1日目の要項を振り返る