SPEEDI(国産放射能緊急予測システム)の情報を国民に知らせず米軍に提供していた件は、本広場1月20日で取り上げましたが、今度は逆に米国エネルギー省が米軍機で測定した「汚染地図」を日本に提供いたのにそれを日本政府が公表しなかった。事故直後3月18日、20日の2回、在日米大使館経由で外務省に電子メールが届いていたという。同省は文科省に転送・・。
米軍の示した地図は、なんとも実態通りの正確な地図ではないか!飯館村方面の北西に広がりを伸ばした見事な情報だった。今回の情報放置の件をスクープした朝日新聞の取材に対して文科省・渡辺局次長は「すぐに公表すれば良かったと今は思うが、当時は提供データを住民避難にいかす発想がなかった」。
渡辺さん?・・この人見覚えがあります。SPEEDIの公表遅れの検証を国会で行ったとき、「米軍には情報を提供した」と、さらっと言ってのけた答弁者だ(※)。
2012年1月16日 SPEEDI情報 事故後直ちに米国には公表「 文科省 」(録画31分過ぎに米軍提供を渡辺局次長が事務的に認める)
実際に資料を提供した米軍側は、日本政府のこの失態をどう感じているだろうか。せっかく日本のSPEEDIに負けず劣らずの、それこそスピーディに貴重な“救命情報”を素早く渡したのに・・きっと米軍も口をあけていたに違いない
SPEEDI情報を片手に、そしてもう一方に米軍提供地図、両手に宝刀を持ちながら、自国の住民を大量被ばくから守れなかったこの国の官僚機構。なんとも、なんとも情けなく残念でならない。
(※)渡辺格(わたなべいたる):文部科学省科学技術・学術政策局次長。1958年生。東北大学理学部物理学科卒業。