一昨日発行の真新しい新刊『JA解体』(飯田康道著)を読んでいます。
TPP合意の前哨戦として、首相官邸主導によって、JA全中は監査部門が切り出され一般社団法人へと転換され解体が決まりました。JA全中とは、全国農業協同組合中央会の略称で地域の農協の司令塔。ここが集中砲火を浴びたわけです。
秘密交渉のうちに進められたTPP。ふたを開けてみれば農水産物の半分が関税撤廃にさらされます。「重要5品目」も容赦ない交渉結果に。
著者の飯田康道氏(共同通信社記者)は、なぜJAは批判されるか、例を挙げて解説しています。その一つに農協の経営者に自覚を持った人材が足りない、とも。
本書ではJA全中の体質の古さなどを批判し本来の守るべき組合員(農家)への指導不足を指摘しています。それはそれでもっともです。
たしかに組織の自覚は後退はしてきたとしても、それをTPPという外圧によって「JA解体」まで求めるのはどうかと思ってしまいます。
農業保護は独立国家なら当然
国境が無く完全平等の世界単一国家が実現しているのでしたら別ですが現実は、そうではありません。独立国ならば食糧は一定程度確保して置くのは当然のことです。主要な農畜産物の自給率を落として良いわけはありません。他国に、安易に食糧を依存してはならない。どこの国も自国の農業を守るために補助金をしっかり出しています。たとえ競争力のない農業であっても、いざという時のために保護しています。自立した食糧確保は独立国家の存立条件だからでしょう。いわゆる「食糧安保」の考えです。戦国時代の歴史が教えているように兵糧攻め(ヒョウロウゼメ)あったらそのお城は終わりですね。
国防のための武器には意欲を示すのに、なぜTPP合意してまで自国の「兵糧」をおろそかにするのでしょうか、今の政府の政策にはどうも合点がいきません。食糧確保は国防の基本中の基本であるはず。
まったくわけがわかりません。
【写真】農村向けの二枚舌スローガン。
JA解体―1000万組合員の命運 | |
飯田康道 (共同記者)著 | |
東洋経済新報社 |
今度のTPP、400品目で関税が撤廃される撤廃率95パーセント!!!!!
農家も野党もマスコミも大人しいな。
TPPが本格化しますと農業はこれ以上続けて行けないからと離農される農家が増えるように思います。兵器や工業製品輸出に偏重し農業を軽視しますと、将来とんでもないことになるような気がしてなりません。