
今、労働運動のリーダーが誰なのかさっと顔が浮かぶであろうか。
連合の会長、全労協、全労連の議長・・???
労働組合の存在感がなくなっている。賃上げも首相の安倍“委員長”のお声で企業側がお情けで応じているようにさえ映る。2015年、今年の春闘は、連合発表で「ベア引き上げ回答34組合3707円(1.2%)」と久々に成果は感じさせた。しかしこれを各メディアが「春闘大手ベア 過去最高」と報じたのには驚いた。これでは官製春闘=安倍“委員長”を持ち上げ過ぎ。
「過去最大」は1974年春闘
過去最大の賃上げは1974年2万8981円(32.9%)、連合主導になってからでも1990年に1万4629円(5.95%)を獲得している。マスコミは「過去最高」などと軽々しく用いるべきではない。
何年か前、マスコミを中心に「100年に一度の未曾有の大不況」の枕詞が流行った。言葉のもとは米国の経済学者の大げさな表現の受け売り。これとて日本の戦前戦後の物価狂乱超インフレ、さらには世界恐慌(1929年)の比ではとてもなかった・・。いずれも「100年に一度」の100年に値しないオーバーな表現だった。
「太田ラッパ」が聴きたい
今年の春闘報道もしかり。
春闘の考案者といわれた総評議長・太田薫さんが今生きておられたら大いに嘆きイカルことだろう。きっとガラガラ声で「過去最高なんていって労働者をダマしちゃいかん。労働組合は資本(会社)から独立して、もっとしっかりゼニ(金額)を獲得せにゃーならんですよ」と、元気な「太田ラッパ」節が聞こえてきそうだ。
魅力ある労働界のリーダーも残念ながら見当たらなくなって久しい・・
【写真】太田薫さんの新聞記事。