「暫狐」で有名な、東京を代表する郷土玩具のひとつである「王子稲荷の紙からくり」についての④です。
画像のものは昭和40年代に好事家によって作られたものです。福禄寿が抱える鉢植えの朝顔がにょっきりと咲いたり、三つ目の大入道、などちょっとグロテスクなものもみられます。
狐では唐傘を持った粋な姿のものは、おそらく歌舞伎の「髪結新三」の永代橋のもじりでしょうか?
これらは、昔王子で作られたものを写したものか、それともからくりの技法を応用して創作されたものか、わかりません。お作りになった好事家の方は下谷の小野照崎神社のそばに住んでいた有名な錺職の方だと聞いていますので、福禄寿と朝顔など、近所の入谷の鬼子母神の趣向でお作りになったのではないかとも考えられます。