昨年暮れに著者であるイラストレーターの佐々木一澄さんから郵送でいただいた新刊。
「今戸焼と古型今戸人形」というくくりで拙作の人形を描いて掲載くださっています。
郷土玩具の手引き書とであると同時に写真ではなく作者の描画によって個々の人形玩具を味わい深く表現されています。
伝統的なものを描く場合、パースだとか陰影なんかに頼りすぎて描くと結果としてきちきちとして実物の穏やかさに及ばないなど、すごく難しいことだという気がするのですが、作者さん独特のスタイルでほのぼのとして癒される作品集でもあります。ぱーっとみた印象では昭和のまだ成長の伸びしろのある希望に満ちた時代(東京タワーや新幹線が生まれた頃)の「暮らしの手帳」の花森安治さんの描画のほのぼのとしたムードに重なるような、、また他のページで「こけし」も描かれているのですが武井武雄さんの作品の雰囲気にも通じる印象を持ちました。
説明的なアウトラインを極力抑えると同時にぎりぎりのところで線描をのこしている一種のユーモラスな感じもあると思います。
今更ながら画像を撮っていてはじめて気がついたのですが、裏表紙にも「招き猫のぴいぴい」を入れてくださっているんですね。ありがたや。
本文の中で記されているのですが、郷土玩具としてちょっと前なら普通に作られて売られていたものが今案外と姿を消しているんですね。越谷の船戸の張り子など自分で作者を訪ねて買い求めたものですが、もうない。さびしいかぎりです。でもこうして描かれたものを通しての懐かしさ、郷愁に似た感覚を味わえるこの本、素敵ですね。
なお、この出版に因んで原画の展示会が神宮前近くのギャラリーで近々にあるようです。
ありがとうございます。遅くなってしまって申し訳ありません。作業で座りっぱなしだと足腰が固くなって痛いので年末あたりからプールを日課にするようにしていました。その分プールで疲れて何事も後手後手になりがちです。うちの母は一時「婦人画報」を購読していましたが、何冊か「暮らしの手帖」もありました。眺めるだけでも豊かな気持ちになる雑誌でしたね。右肩上がりだった時代は部分的には大阪の万国博とかは経験していました。今から思えば、身近にものが豊かとは思わなかったですが、その代わり何か豊かさがあったような気がします。
子供の頃、母が「暮しの手帖」を購読していました。
色々、右肩上がりだった当時とは、事情が違いますが、いまどきさんの作品で風情が蘇った気がします。