小さな豚の蚊遣りです。陶印が明治の名工と言われていた6代目半七(蘆斎)が作った器物に押されているものと同じようなので、6代目の半七のものでしょうか?
この6代目白井半七についてですが、、
「東洋文庫」の黒川真頼著 前田泰次 校注「増訂 工芸志科」(明治11年刊の「工芸志科」上下二冊(博物局版)と明治21年刊の同書「増補訂正 工芸志科」(宮内省博物館蔵版)の2種類を本に基づいて校注したもの)には
○明治年間六世白井半七、世業を襲ぎ土風炉を作り、又楽焼を能くす、最も名声あり。
とあります。
この豚の蚊遣りですが、後に作られたものに比べて口がすぼまっていて尖った感じがします。
新宿区内の近世遺跡から出土した瓦質のような巨大な豚の蚊遣りの顔立ちに似ているような気がします。
写真ではわかりにくいのですが、サイズがとても小さく、現在の蚊取り線香は入りません。
針金による吊り手はあります。よく聞く話ですが、こうした豚の蚊遣りのそもそもは、徳利の形を応用して作りはじめられたものだとか。 この豚など、口のすぼまり方などいかにも徳利という感じがします。
白い土を素焼きにした感じで、釉薬はかかっていません。しかし木地の表面につやがあるので、もしかすると、これも白みがきが多少施してあるのか、それとも経年の手摺れによるつやなのか、、、。 汚れた感じがないので、実際に使用されていないのかもしれません。
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