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埴生・宇宙監視レーダー基地、レーダー出現!

2022-06-20 22:20:00 | 宇宙監視レーダー

先週、4月から精神科に入院中だった姉の具合が悪くなり、急遽、山口へ。昨年、完治していた腎臓がふたたび悪化し、市民病院へ緊急入院となった。生死にかかわるような状態ではないが、しばらく様子を見なくてはならない。

ところで、先週、山陽道埴生ICを降りると、目の前に白い巨大な物体が現れた。宇宙監視レーダー基地のレーダー(アンテナ)だった。先々週、基礎らしきものは見えていたが、わずか1週間足らずでアンテナの組み立てが完了していた。ここには全部で6基のレーダーが設置されることになっているが、この調子でいけば8~9月までには全て完成するのではないだろうか。レーダーの運用開始は令和5年度だが、早いペースで工事は進んでいるようだ。ロシアのウクライナ侵攻や中国の宇宙開発が影響しているのだろうか。

そういえば、先週、このカテゴリーへのアクセス数が増えていた。何かと思っていたが、どうやら国際ジャーナリスト・高橋浩祐氏の記事が要因だったようだ。高橋氏はツイッターで「ウクライナ戦争では衛星が戦況に大きな影響を与えている。日本はもっと宇宙空間に関心を持たないといけない」と記事を紹介されている。僭越ながら、関心は非常にある。有事の際、この基地が攻撃を受けることになりはしないかと冷や冷やしている。そうなれば田舎が戦禍となってしまうので。

 

 

 

撮影日:2022.6.16

1基目のパラボラアンテナ このあとドーム型のカバーで覆われる (直径13m、探知距離約40,000km)

 

 

 

 

建設中の電源局舎 屋上部分に時間がかかっているのか?(写真左)

 

 

 

レーダー6基の位置図(青丸)

防衛省の資料をもとに描いてみました

 

 

 

以下は、2022年6月23日撮影したものです。(2022.6.30更新)

 

 

 

 

 

 

《関連記事》

日本に「航空宇宙自衛隊」が本気で必要になる理由 ウクライナ戦争、中国の宇宙進出から読み解く(東洋経済オンライン 2022.6.17)

 

《参考資料》

防衛省。山口県山陽小野田市における宇宙状況監視レーダー設置について

 


ウクライナ侵攻と宇宙監視レーダー基地

2022-04-09 06:49:00 | 宇宙監視レーダー

先月18日、防衛省は宇宙領域での活動強化のため、航空自衛隊府中基地(東京都府中市)に新たに「宇宙作戦群」を編成し、隊旗授与式を行った。宇宙作戦隊は、人工衛星に接近するスペースデブリ(宇宙ごみ)などの物体を把握する宇宙状況把握(SSA)の運用準備を担う。昨年度、人員は20人から70人に増員。今年度は陸海空各自衛隊との情報共有を図るために宇宙作戦指揮所運用隊(30人)と衛星への電波妨害状況を把握する第2宇宙作戦隊(20人)を新設する。それら宇宙作戦隊の総称が「宇宙作戦群」(120人)である。(下図参照)

第2宇宙作戦隊は、山口県防府市の航空自衛隊防府北基地に新設され、現在、建設工事が急ピッチに進んでいる山陽小野田市埴生の宇宙監視レーダーを活用する。防衛省は当初、レーダー基地は無人(防府北基地から遠隔)で対応するとしていたが、昨年12月の住民説明会では、有事に備え、防府北基地の隊員を常駐させる方向で検討していると明かした。それから2ヵ月後、ロシアのウクライナ侵攻がはじまった。

ウクライナ侵攻がはじまってから、目を覆いたくなるような映像が毎日テレビから流れてくる。平和を願う世界の人々の声は空しく響く。そうした中、民間衛星の撮影画像がロシア軍の動向把握に役立ったという報道を目にした。今後、民間衛星が軍事目標になり、防護の必要性が増すことになるという。そうなると、(不審な衛星を監視する)宇宙監視レーダー基地の軍事的役割は増すことになるのではないか。

有事になれば軍事的な基地は標的になる。防衛省も住民説明会で、他国からの攻撃を受けた場合、専守防衛の下で対応すると答えている。ウクライナ侵攻で地元住民の方々の不安は現実味を帯びてきた。対岸の火事ではない。

 

 

山陽小野田市埴生に建設中の宇宙監視レーダー基地(埴生IC付近より 2022.4.1撮影)

現在、電源局舎の建て方工事中

 

 

 

宇宙作戦群の概要(令和3年12月・防衛省資料より)

どんどん増強されている

 

 

 

宇宙監視レーダー基地配置図(再掲)

来年度から運用開始 その頃、世界はどうなっているのか、、

 

 

 

《関連記事》

自衛隊「宇宙作戦群」編成 対露脅威への備え急ぐ(産経新聞 2022.3.18)

 

《関連資料》

宇宙状況監視レーダー建設に伴う住民説明会・会議録(2021.12.4)

 

 


埴生・宇宙監視レーダー基地、電源局舎工事進む

2022-02-16 20:40:30 | 宇宙監視レーダー

山陽小野田市埴生に建設中の宇宙監視レーダー基地では、電源局舎の工事が進んでいる。先週、埴生ICからその様子を見ることができた。防衛省の資料によると、電源局舎は鉄筋コンクリート造(RC造)平屋建で令和5年3月に竣工予定となっている。一方、レーダー局舎のほうは、すでに基礎工事が終了し、現在はユーティリティ工事が行われているようだ。(埴生ICからは見えません)

前回記事掲載直後、昨年12月4日に開催された住民説明会の報告書が市のホームページにアップされていた。見ると、市内参加者は55名、市外参加者は25名と多くの方が参加されており、関心の高さが伺えた。市民からの質疑応答では、ほとんどが基地の安全性に疑問を呈したものだった。内容は専門的で市民のレベルの高さを感じた。防衛省からは12名の職員が出席、市民の質問に答えている。気になる自然災害が発生した場合の対応についての質問では、これまで基地は無人で防府北基地から遠隔で対応するとしていたものを変更し、防府北基地の隊員を常駐させることを検討していると答えている。地震時の対応については、これから計画を作るという。

会議録を読むと、防衛省の本音も見えてくる。宇宙レーダー基地が攻撃されるのではとの質問に対しては、否定はしていない。その上で、自衛隊が24時間体制で監視し、専守防衛の下で対応するという。市民からは、取得したデータをアメリカ軍と共有することへの質問が多数あった。それらに対しては、日本の観測データが増えたからといってアメリカが持っていない情報が増えるというものではないと説明し、データーが渡ってから先のことはわからないとしている。想定されるリスク(風評)への対応については、山陽小野田市に補助金や交付金を交付していると答えている。どこか原発と構図が似ているような、、いつか来た道とならなければよいのだが。

 

 

電源局舎 骨組みが見えてきた (埴生IC付近から2月9日撮影) 

 

 

 

 

宇宙監視レーダー基地配置図(防衛省令和3年12月資料より)※令和5年度に運用開始予定

山陽道のすぐそばにレーダー局舎、、

 

 

 

 

《参考資料》

山陽小野田市。山陽受信所跡地への宇宙状況監視レーダー建設について(2021年12月15日更新)

 

 


埴生・宇宙監視レーダー基地の現況2

2021-12-13 18:28:00 | 宇宙監視レーダー

 岸防衛相は先月14日、航空自衛隊防府北基地を視察し、来年度中に「第2宇宙作戦隊」を新設する考えを明らかにした。「宇宙作戦隊」とは、日本の人工衛星を他国からの攻撃や宇宙ごみから守るための部隊のことで、防府北基地は東京の航空自衛隊府中基地に次いで2ヶ所目となる。防衛省によると、およそ20人の体制で発足し、山陽小野田市埴生に整備中の宇宙監視レーダーを活用するという。

この報道直後、ブログのアクセスが急増していたのでなぜかと思っていたらそういうことだった。それで現場の状況が気になっていたが、姉がふたたび救急搬送されたり入院したり、母の認知症がはじまったりとてんやわんや。そうした中、ようやく様子を伺うことができた。レーダー基地の現場では、大型クレーンが入るなど工事が進んでいるようだった。

埴生の宇宙監視レーダー基地は2023年度に運用開始予定となっているが、地元住民からは不安の声が相次いでいる。今月4日に実施された住民説明会では、レーダーによる人体への影響や他国からの攻撃、大規模自然災害への対応などさまざまな意見が出ていた。それに対し、防衛省はレーダーの影響について、シミュレーションを実施した結果、電波が最も強いとされる場所でも人体に影響ないことが確認されたと繰り返すばかり。住民の不安が拭えない中、住民の声を無視するかのように現場は進んでいる。

 

 

じわじわ進んでいる 山陽道から(2021年12月12日撮影)

 

 

 こちらは今年4月の様子

 

 

 

大型クレーンが入っていた 埴生IC付近から(2021年12月9日撮影)

 

 

 

GoogleMapを見ると、、

すでにレーダー6基の基礎らしきものが、、

 

 

 

《関連記事》

宇宙監視レーダーの住民説明会、不安拭えず(宇部日報 2021.12.6)

宇宙監視レーダー「人体に影響なし」/防衛省整備計画 山陽小野田で住民説明会(山口新聞 2021.12.5)

「第2宇宙作戦隊」来年度 自衛隊防府北基地に新設方針 防衛相(NHKニュース 2021.11.14)

 

《参考資料》

山陽小野田市。宇宙状況監視レーダー建設に伴う住民説明会の開催について(2021.11.15)

※最新報告はまだアップされていません。

 


埴生・宇宙監視レーダー基地の現況

2021-04-23 21:23:00 | 宇宙監視レーダー

第4波の脅威が迫る中、山口と福岡を移動する日々が続いている。1月末、隣町の病院へ救急搬送された姉も、先月末、ようやく地元の病院へ転院でき(といっても面会はできないが)、専門的な治療がはじまった。その往来の際に見かけたのが、防衛省が整備を進めている埴生の宇宙監視レーダー基地である。造成工事は2019年9月に始まっているが、工事は大幅に遅れているようだ。

ここは、もともと海上自衛隊山陽受信所跡地(約13万4千㎡)。潜水艦などを探す海自岩国基地の哨戒機からの情報を受信する施設だったが、2010年に閉鎖し更地となっていた。そこに人工衛星と衝突の危険性がある宇宙ごみ(スペースデブリ)を監視するために、防衛省がレーダー基地を整備しているわけだが、目的はそれだけでない。というよりも、中国やロシアが開発する対衛星攻撃兵器「キラー衛星」の監視が重要な役割だとされている。ここで得られた情報を米軍と共有し、宇宙空間で中国とロシアを牽制する狙いがあるという。いわば、自衛隊初の宇宙部隊が運用する軍事施設なのだ。それゆえ、地元住民から不安や反対の声が上がっている。

レーダー施設は無人だが24時間体制で宇宙空間の静止軌道上の日本の衛星を見守るという。昨年5月、東京都府中市の航空自衛隊府中基地に新設された「宇宙作戦隊」が遠隔地で運用する。当初の予定では、20~21年度に6基のレーダー局舎を建設、23年度にパラボラアンテナ(直径15m)を設置、同年に運用が開始されるようになっている。ところが、現場はレーダー局舎どころか基礎工事もはじまっていない。コロナの影響なのかはわからないが、今後の動向を注視していきたい。

 

※進捗状況はこちら、随時更新中です。

 

 

撮影日:2021.4.19

造成工事はまだ終わっていない様子 (山陽道から撮影)

 

 

 ちなみに、この辺りの地質は砂岩、泥岩。崩れやすいのかフレコンバッグが見られる(地質Navi使用)

 

 

 

こちらは埴生インター側から(2020年5月撮影) 今も大して変わっていない

 

 

 

 

 

造成前の海上自衛隊山陽受信所跡地(左が山陽道、上は国道2号線 埴生インターへ 写真:中国新聞より)

 

 

 

 

設備配置図

何かが起これば、山陽道が通行不能に、、 (防衛省資料より)

 

 

 

《関連記事》

宇宙監視レーダー、着工控え説明会【山陽小野田】(宇部日報 2019.8.29)

衛星守る軍事施設宇宙監視レーダー建設対中露 米軍と情報共有(中国新聞 2019.8.31)

 

《参考資料》

山陽小野田市『防衛省中国四国防衛局。山陽受信所跡地における施設整備工事の概要』(2019年8月)

増山博行(山口大学理学部元教授) 「防衛省、山陽小野田に宇宙監視レーダーを設置」(pdf資料)