先月、九電が地熱発電の可能性を探る調査を始めると発表し、一躍有名になったくじゅう連山・平治岳(ひいじだけ)は、今ミヤマキリシマの真っ盛り。今回は、その姿を大船山から見ようと、七里田登山口から入山。ミヤマの季節、このコースを登るのは久々だったが、登山道の中程、標高1400~1500mあたりの様子が一変していたのには驚いた。以前、多く見られたミヤマは激減、その変わりに増えていたのが、ノリウツギなどの灌木類だった。ミヤマなど背の低い高山植物を被圧し、辺り一面に蔓延っていた。温暖化による影響で、灌木類の成長するスピードが速まっていると言われているが、まさにそのとおりの光景だった。平治岳では、ミヤマキリシマを保護するため、このような被圧木の伐採が行われているが、大船山ではあまり人の手も入っていないようで、山頂直下でも同様の現象が見られた。
ところで、この平治岳。土地の所有者は、あの九州電力。何故、九電が所有しているかといえば、九電の前身である九州水力電気(株)が、水力発電の水源確保の為、大正8年から飯田高原を中心に原野を買収していた。この平治岳も、そばを流れる鳴子川の水利権をめぐり色々とごたごたがあった末、九電が所有することになったと、(うろ覚えながら)記憶している。ちなみに、現在九電が保有している山林は、大分県九重町がダントツで1478ヘクタール。今回発表された平治岳北部の地熱調査も社有地で行われるとか、おそらくは西大原山林あたり(九電社有林マップ)だと思われるが、現地ではまだ目立った動きはなかった。
何かと問題だらけの九電だが、平治岳のミヤマ保全活動を行っていることは、殆ど報道されていない。毎年、素晴らしいミヤマを見ることができるのも、大分支社の社員の方々や関係団体の方々によって、草刈やノリウツギの伐採が行われているからこそで、これには感謝するばかり。いっそこの際、渦中の松尾相談役も平治岳で保全活動に参加されてみては如何か、きっとその心も洗われると思うのだが。
一面ノリウツギ、ミヤマは僅か(標高1400mあたり)
ミヤマ満開、蕾もちらほら(標高1600mあたり)
大船山山頂から平治岳
米窪(中央)と段原(左)、背後に平治岳
平治岳頂上を目指す登山者の列
大船山山頂直下は、緑のじゅうたん
ミヤマに迫る、ノリウツギ
坊がつるは、テントの花
くじゅう連山、一望
くじゅう連山は花の宝庫、初夏を彩る花達との出会いも…
登山道にマイズルソウの群生
岩場にひっそりイワカガミ
まだハルリンドウが咲いていた
ツクシドウダン
ミヤマとツクシドウダン
こちらはシロドウダン
早くもヤマボウシが出現
おまけ
泡の中に蛍の幼虫(ガラン台で)
《参考》
・平治岳北で地熱発電 九州電力-大分合同新聞
・九州電力社有林のFSC森林管理認証概要-九電資料