福岡県が五ヶ山ダムのデータを公開した。少雨のため県内主要ダムの貯水率が激減する中、南畑ダムの情報を見ようと県の河川防災情報を開いてみたところ、いつの間にか五ヶ山ダムのデータが公開されていた。詳しく見ると、データは6月1日午前6時から表示されていた。いわゆる洪水期(6月1日から10月20日)とされる初日である。
福岡県は、これまで五ヶ山ダムが試験湛水中であることを理由に、データを一切公開してこなかった。それが、突如、公開をしはじめた。梅雨入り前に公開されているところを見ると、おそらく豪雨に備えてということなのだろう。しかし、五ヶ山ダムの水は、福岡市の水不足を解消するために、今年2月14日から放流されている。事実上、4ヵ月前から本格的な運用が行われているのだから、その時点で公開するのが順当だろう。(おそらく県は前例がないというのだろうが)何はともあれ、梅雨前に公開されたのは良かった。防災上、ダム情報(特に那珂川流域に住むものとして)は必要不可欠なものだから。
それにしても、九州北部の梅雨入りはいつになるのだろうか。平年は6月5~6日なので、すでに1週間遅れている。福岡県内の主要18ダムの平均貯水率を見ると、6月13日現在、44.9%で昨年同日(85%)の約半分ほど。中でも、添田町の油木ダムは13.4%で県内最低となっており、苅田町では13日から減圧給水を行っている(行橋市は6日から実施)。また、福岡市関連8ダムでは、早良区の曲渕ダムが27.8%、背振ダムは27.3%まで低下している。これは那珂川を維持するために、脊振ダムから五ヶ山ダムへ放流を行っているからだろう。ちなみに、五ヶ山ダムの上には背振ダム、下には南畑ダムがあり3つが連動している。これほど近くにダムがあるのは全国でも珍しいと、以前、大成建設(五ヶ山ダムJV)の現場監督から聞いたことがある。果たして、これが豪雨時にどのような影響を及ぼすことになるのか。福岡管区気象台によると、6月下旬まで少雨傾向は続き、7,8月は一転して多雨になるという。これから暫くデータから目が離せない。
余談:同じく試験湛水中という理由で、国土地理院地図に五ヶ山ダムが表示されていなかったが、先日、確認したところ表示されていた。おそらく、データが公開されたことと何か関係があるのではないだろうか。国土地理院に問い合わせをしているが、まだ回答はない。
追記:この件について、国土地理院から回答があった。それによると、五ヶ山ダムは正式には供用開始はされていないが、渇水対策のために放水を開始したことから、供用開始と同等と判断し、正式な供用開始を待たずに表示することにしたとのことだった。表示日を聞くのを失念してしまったが、おそらく最近ではないかと思う。少なくとも4月くらいまでは表示はなかった。(放水は2月から行われていたのだから、できればもう少し早く表示してくれれば、ドローイングしなくてよかったのだが、、)
公開された五ヶ山ダムデータ
6月1日午前6時の貯水位399.20m、同13日午後9時の貯水位397.95m、約1週間で1.25m低下。4月から6月までは6m低下していたので、ほぼ同じペースで減少している。
こちらは6月1日午前11時半頃撮影したもの データの数値(399.20m) どおり なお、昨年の西日本豪雨時(7月6日)、1日で7.6m水位が上昇、常時満水位(407.1m)に(茶色のライン)
この観測局情報で貯水位、流入量、放流量の変化が読み取れる(なお雨量観測値は南畑ダムのデータを参照)今月6日から7日にかけて、五ヶ山あたりで約80㎜の雨が降っている
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