[産経新聞2010年05月07日 17時37分 UPDATE]
日本の調査捕鯨は、一体どんなことを調べているのだろうか。調査は主に12月~翌年3月の南極海と5~9月の北西太平洋で、国の許可を受けた「日本鯨類研究所」が、クジラと生態系のかかわりなどを調べている。
「日本の調査捕鯨について、調査内容や商業捕鯨との違いを教えてください。調査目的で何百頭も捕獲する必要はあるのでしょうか。また、日本への妨害行為がよく話題になりますが、ほかの国への妨害はないのでしょうか」=川崎市中原区の男性会社員(39)
目標達成は一度だけ
現在、世界で行われている主な捕鯨は、国際捕鯨取締条約に基づく日本などの「調査捕鯨」や米国など少数民族に認められた「先住民生存捕鯨」のほか、同条約へ異議を申し立ててノルウェーなどが続ける「商業捕鯨」がある。調査捕鯨は国際捕鯨委員会(IWC)が認める範囲で行われ、成果も報告される。
日本の調査開始のきっかけは1982(昭和57)年、クジラの生息数など鯨類資源の管理に必要な科学的データが不足しているとして、商業捕鯨の中止が決まったことだ。日本はデータを集め、将来は食料として持続的に鯨類資源を活用するため、1987(同62)年に調査を開始した。
調査は主に12月~翌年3月の南極海と5~9月の北西太平洋で、国の許可を受けた「日本鯨類研究所」(東京都中央区)が行う。内容は生息数や年齢、成長の状態、何を食べているかなど。クジラと生態系のかかわりなどが分かる。
捕獲するのは、クジラを解体しなければ得られない胃の内容物などが調査に必要なためだ。現在の捕獲目標はミンククジラが南極海では850頭(前後10%)、北西太平洋では220頭=図参照。目標は統計的に有意な結果を得るために専門家が算出したもので、鯨類研究所は「必要最低限の数」と説明。最も、妨害行為や自粛などで、南極海では現行計画の目標を達成したことは1度しかない。
4月22日、商業捕鯨や調査捕鯨の区分けを撤廃して一定の捕獲枠内で捕鯨を認めようとするIWC議長・副議長提案が公表された。事実上の商業捕鯨の再開となるが、提案は今後10年間で捕鯨の総量を大幅に減らすものだ。
ミンククジラの日本の捕獲枠は、沿岸で120頭が確保されたものの、南極海では400頭、5年後以降は半減する。日本の捕獲枠が現状と乖離(かいり)する一方、ノルウェーなどには近年の実績を上回る捕獲枠が提案されており=図参照、「削られたのは日本だけ」との声もある。IWCは提案をたたき台に6月、モロッコで開く年次総会での合意を目指すが、日本は捕獲枠の拡大を求める方針だ。
日本の商業捕鯨が中止されてから約30年。戦後の食糧難を助けた鯨肉は今や珍しい食材となった。久保氏は「鯨肉は高タンパクで低脂肪。自給率の低い日本の将来の食糧問題を考えるとき、鯨肉の利用は欠かせない」と話している。(高橋裕子)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1005/07/news059_2.html
日本の調査捕鯨は、一体どんなことを調べているのだろうか。調査は主に12月~翌年3月の南極海と5~9月の北西太平洋で、国の許可を受けた「日本鯨類研究所」が、クジラと生態系のかかわりなどを調べている。
「日本の調査捕鯨について、調査内容や商業捕鯨との違いを教えてください。調査目的で何百頭も捕獲する必要はあるのでしょうか。また、日本への妨害行為がよく話題になりますが、ほかの国への妨害はないのでしょうか」=川崎市中原区の男性会社員(39)
目標達成は一度だけ
現在、世界で行われている主な捕鯨は、国際捕鯨取締条約に基づく日本などの「調査捕鯨」や米国など少数民族に認められた「先住民生存捕鯨」のほか、同条約へ異議を申し立ててノルウェーなどが続ける「商業捕鯨」がある。調査捕鯨は国際捕鯨委員会(IWC)が認める範囲で行われ、成果も報告される。
日本の調査開始のきっかけは1982(昭和57)年、クジラの生息数など鯨類資源の管理に必要な科学的データが不足しているとして、商業捕鯨の中止が決まったことだ。日本はデータを集め、将来は食料として持続的に鯨類資源を活用するため、1987(同62)年に調査を開始した。
調査は主に12月~翌年3月の南極海と5~9月の北西太平洋で、国の許可を受けた「日本鯨類研究所」(東京都中央区)が行う。内容は生息数や年齢、成長の状態、何を食べているかなど。クジラと生態系のかかわりなどが分かる。
捕獲するのは、クジラを解体しなければ得られない胃の内容物などが調査に必要なためだ。現在の捕獲目標はミンククジラが南極海では850頭(前後10%)、北西太平洋では220頭=図参照。目標は統計的に有意な結果を得るために専門家が算出したもので、鯨類研究所は「必要最低限の数」と説明。最も、妨害行為や自粛などで、南極海では現行計画の目標を達成したことは1度しかない。
4月22日、商業捕鯨や調査捕鯨の区分けを撤廃して一定の捕獲枠内で捕鯨を認めようとするIWC議長・副議長提案が公表された。事実上の商業捕鯨の再開となるが、提案は今後10年間で捕鯨の総量を大幅に減らすものだ。
ミンククジラの日本の捕獲枠は、沿岸で120頭が確保されたものの、南極海では400頭、5年後以降は半減する。日本の捕獲枠が現状と乖離(かいり)する一方、ノルウェーなどには近年の実績を上回る捕獲枠が提案されており=図参照、「削られたのは日本だけ」との声もある。IWCは提案をたたき台に6月、モロッコで開く年次総会での合意を目指すが、日本は捕獲枠の拡大を求める方針だ。
日本の商業捕鯨が中止されてから約30年。戦後の食糧難を助けた鯨肉は今や珍しい食材となった。久保氏は「鯨肉は高タンパクで低脂肪。自給率の低い日本の将来の食糧問題を考えるとき、鯨肉の利用は欠かせない」と話している。(高橋裕子)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1005/07/news059_2.html