マイナビニュース [2013/09/24]
日本政府観光局(JNTO)によると、8月に日本を訪れた外国人客数は90万7000人となり、8月としては過去最高水準を記録しました。これにより、1月から8月の累計は686万4000人となりました。政府は観光立国を目指し、年間の訪日外国人数を1000万人にするという目標を掲げているのですが、この目標を達成できる可能性がより現実味を帯びてきたといえます。
東京オリンピックの開催も決まり、外国人観光客の増加に大きな期待が寄せられているわけですが、実は年間1000万人という数字は、国際的に見ると非常に少ない水準なのです。本来であれば、もっと多くの外国人観光客を呼び込むことが可能です。
目標達成してもフランスの8分の1
仮に年間1000万人を達成したとしても、英国の3分の1、米国の7分の1、中国の6分の1、フランスの8分の1程度です。長い歴史と伝統を持ち、1000万人以上の大都市を要する先進国は、ほとんどが観光大国となっているのですが、その唯一の例外が日本なのです。
英国やフランスなど欧州の国は、陸路で複数の国を移動できるという利点がありますし、世界経済の中心地である米国にはそもそも人の行き来が多いなど、日本にとって不利な面もあります。しかし、地理的な条件が近い中国にも大量の外国人が訪問している状況を考えると、やはり日本を訪れる外国人は少ないと考えてよいでしょう。
世界経済フォーラムでは世界各国の旅行・観光競争力ランキングを発表しています。日本は交通機関や通信インフラなどハード面の順位は7位とまずまずなのですが、国民における観光との親和性といったソフト面は140カ国中77位とかなり低い結果になっています。
日本社会は一部の地域を除くと、外国人観光客に対してあまりオープンではありません。外国人というとすぐに英語が思い浮かぶのですが、これは言葉の問題というよりも、生活習慣や文化が違う人がやってくることを当初からあまり想定していないということが大きく影響していると考えられます。
「マオリの入れ墨入浴拒否」の教訓
最近では、北海道を訪れていたニュージーランドの先住民族マオリの女性が、アゴにある小さな入れ墨を理由に温泉の入浴を断られるという出来事がありました。この女性は、北海道で開催されていたアイヌ語の復興を目指すイベントに講師として招かれていた人物で、相互文化交流の一環として、日本文化の象徴である温泉を体験しようと入浴施設を訪れていたところでした。
こうしたトラブルが発生するのは、言葉の問題ではなく、異なる文化圏との接し方が不慣れという面が大きいのです。このようなソフト面の改善を地道に行っていけば、外国人観光客の数は何倍にも増やせるはずですし、逆に言えばいくらハード面を充実させてもこうしたソフト面が追いつかなければ、観光客を増やすのは難しいでしょう。もし日本が本当に観光立国を目指すのであれば、日本人の日常的な行動から取り組んでいくことが重要なのです。
(The Capital Tribune Japan)
本記事は「THE PAGE」から提供を受けております。
著作権は提供各社に帰属します。
http://news.mynavi.jp/news/2013/09/24/208/
日本政府観光局(JNTO)によると、8月に日本を訪れた外国人客数は90万7000人となり、8月としては過去最高水準を記録しました。これにより、1月から8月の累計は686万4000人となりました。政府は観光立国を目指し、年間の訪日外国人数を1000万人にするという目標を掲げているのですが、この目標を達成できる可能性がより現実味を帯びてきたといえます。
東京オリンピックの開催も決まり、外国人観光客の増加に大きな期待が寄せられているわけですが、実は年間1000万人という数字は、国際的に見ると非常に少ない水準なのです。本来であれば、もっと多くの外国人観光客を呼び込むことが可能です。
目標達成してもフランスの8分の1
仮に年間1000万人を達成したとしても、英国の3分の1、米国の7分の1、中国の6分の1、フランスの8分の1程度です。長い歴史と伝統を持ち、1000万人以上の大都市を要する先進国は、ほとんどが観光大国となっているのですが、その唯一の例外が日本なのです。
英国やフランスなど欧州の国は、陸路で複数の国を移動できるという利点がありますし、世界経済の中心地である米国にはそもそも人の行き来が多いなど、日本にとって不利な面もあります。しかし、地理的な条件が近い中国にも大量の外国人が訪問している状況を考えると、やはり日本を訪れる外国人は少ないと考えてよいでしょう。
世界経済フォーラムでは世界各国の旅行・観光競争力ランキングを発表しています。日本は交通機関や通信インフラなどハード面の順位は7位とまずまずなのですが、国民における観光との親和性といったソフト面は140カ国中77位とかなり低い結果になっています。
日本社会は一部の地域を除くと、外国人観光客に対してあまりオープンではありません。外国人というとすぐに英語が思い浮かぶのですが、これは言葉の問題というよりも、生活習慣や文化が違う人がやってくることを当初からあまり想定していないということが大きく影響していると考えられます。
「マオリの入れ墨入浴拒否」の教訓
最近では、北海道を訪れていたニュージーランドの先住民族マオリの女性が、アゴにある小さな入れ墨を理由に温泉の入浴を断られるという出来事がありました。この女性は、北海道で開催されていたアイヌ語の復興を目指すイベントに講師として招かれていた人物で、相互文化交流の一環として、日本文化の象徴である温泉を体験しようと入浴施設を訪れていたところでした。
こうしたトラブルが発生するのは、言葉の問題ではなく、異なる文化圏との接し方が不慣れという面が大きいのです。このようなソフト面の改善を地道に行っていけば、外国人観光客の数は何倍にも増やせるはずですし、逆に言えばいくらハード面を充実させてもこうしたソフト面が追いつかなければ、観光客を増やすのは難しいでしょう。もし日本が本当に観光立国を目指すのであれば、日本人の日常的な行動から取り組んでいくことが重要なのです。
(The Capital Tribune Japan)
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