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<ちとせ冬ザケ考>4 ワイズユース 人との関わり、未来見据え

2020-02-29 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/29 05:00
 千歳市中央にある縄文後期(約3200年前)の遺跡・キウス周堤墓群。世界遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一角をなすこの巨大な墓ができた背景に、千歳川のサケの存在がある。市埋蔵文化財センター長だった高橋理(おさむ)(61)は、こんな「試論」を論文で展開している。
 周堤墓はドーナツ状の盛り土の内側に墓穴を複数設けた集団墓だ。キウス周堤墓群は、約11ヘクタールに最大直径75メートルの9基が集まる。それ以前の時代の周堤墓より圧倒的に大きいが、巨大化した理由は未解明だ。
 高橋の見方はこうだ。当時、キウス周堤墓群の西には広大な長都沼があって千歳川が分流して流れ込み、サケの漁場だった。気候が寒冷化した縄文後期、サケの産卵の適期が長期化して遡上(そじょう)が大幅に増える。多くのサケを効率的に捕り、交易に使うため集落を越えて人々が協業し、その構成員を埋葬する墓も大規模化した―。
 重要な食資源であり交易資源でもあったサケが、地域社会の変容のカギになったというのだ。「人とサケの関係は、日本の歴史と常に密接な関わりを持ってきた」と高橋は語る。
■教育や観光も
 約390ヘクタールに及ぶ長都沼は戦後の干拓で消え、農地に姿を変えた。環境改変などにより千歳川でのサケ親魚の捕獲数は1950年代、1万匹に満たない危機的水準に陥る。増加に転じるのは、人工ふ化の技術改善や海洋環境の好転があった70年代以降だ。
 こうした中でも冬ザケは捕獲の対象とならずに上流部で自然産卵し、命をつないできたとみられる。それを可能にしたのは産卵に適した上流部の自然環境だ。
 水が澄み川底に小石が多く、湧き水が豊富だ。支笏湖が「水がめ」の役割を果たしているため流量が安定し、護岸もない。市街地に近いが、豊かな自然の中で冬ザケをはじめ野生生物を観察でき、環境教育や体験観光の場となり得る。
 ただ利用の度が過ぎれば、環境への負荷は高まる。冬に上流部でワシの観察会を開く市民団体「しこつ湖自然体験クラブ*トゥレップ」の高橋直宏(60)は「環境に応じてイベントの定員を調整している。環境への配慮は当然だが、見てもらわないと素晴らしさは伝わらない。バランスが難しい」と話す。
■新たなルール
 冬ザケが上る千歳市蘭越地区の約4キロ区間の流域は、市が条例で「自然環境保全地区」に指定している。このうち、自然産卵の多い1キロ区間は道の委員会の指示で魚類の捕獲が禁じられていたが、2010年に解除され、危機感を強めた「トゥレップ」など4団体が市と対策協議会を作り、12年に地区指定された。
 著しく自然環境を壊せば罰則もある。ただ魚の捕獲は禁止ではなく、「釣りの自粛」の呼びかけにとどまり、冬ザケの産卵期も釣り人が川に入る。教育や観光に利用するには、さらなる「ワイズユース(賢い利用)」の知恵が必要だ。
 サケのふるさと千歳水族館(市花園)館長の菊池基弘(52)は「自然産卵する冬ザケが命がけで戦い、子孫を残す姿は見る者の心を強く揺さぶる。千歳川上流部は環境教育や体験観光の場として価値が高い」と語り、こう提言する。「環境を守りながらどう利用するか、関係者でルールを作る時ではないか」(敬称略)=おわり=
■<インタビュー 冬ザケを考える>4 菊池基弘さん(52)=サケのふるさと千歳水族館館長 観察窓の向こう、圧巻の冬ザケ産卵
 千歳川の中流域にある当館の売り物は、川の中をのぞき見ることのできる全国でもまれな水中観察窓です。秋、千歳川に帰り、窓の前で群れるサケの迫力は圧倒的です。年間約25万人の来館者の多くはこの時期のサケが目当てですが、実は来館者が窓の前にとどまる時間が長いのは、秋の遡上(そ じょう)がヤマ場を越えた冬です。
 あまり知られていませんが、12月から1月にかけて、窓の前では冬ザケが自然産卵します。館に隣接するサケの捕獲施設インディアン水車の稼働が終わり、サケは上流の産卵場所へ行ける時期ですが、湧水と同じように河川水より温かく、産卵に適した伏流水が川底にあるためでしょう。多い時で20匹ほど並びます。
 秋サケより一回り大きい雄が雌を巡ってかみつき合い、体をぶつけ合う音さえ聞こえます。運が良ければ雌雄並んで体を震わせ、産卵・授精する瞬間が見られます。窓の前で1時間粘って、産卵の場面は5秒ほど。それでも来館者へのインパクトは絶大です。「うわー」と声が上がり、涙ぐむ人や感動が忘れられず冬場に何度も来る人もいます。
 秋に窓の前で自然産卵が確認されたのは開館から26年で1度だけ。自然産卵は冬ならではの売り物です。
 野生の生き物が懸命に命をつなぐ姿が、見る人に伝えるものは大きい。上流部で産卵を終えたホッチャレが野生生物に食われる姿を通して「命のつながり」を体感できることを含め、冬の千歳川は教育や観光の場として大きな可能性を持っていると思います。
 大人にこそ冬ザケを見てほしい。現代の社会で野生生物と向き合う機会は大人にも多くありません。冬の千歳川を上流から中流までたどり、野生の生き物を通して見た「命の姿」について、子どもたちに伝えてあげてほしいのです。
 上流部は市街地に近いのに、豊かな自然環境が安定して保たれている希有(け う)な地域です。当館でも今後、冬ザケの観察会を企画したい。冬ザケと生息環境を守りながら、サケ資源の維持や教育・観光、そしてアイヌ伝統サケ漁に、いかに多面的に利用していくか、研究機関、環境団体、アイヌ民族団体などが話し合ってはどうでしょう。
 冬の「サケ観光」の認知度はまだ低いのが現状です。当館の水中観察窓でも、冬なら必ず自然産卵が見られるというわけではない。「サケは秋」というイメージが強く、当面はPRのてこ入れも必要でしょう。
 将来的に懸念されるのはオーバーユース(過剰利用)です。あまりに多くの人が上流部に不用意に近づけば、神経質な産卵前のサケやワシを驚かせてしまいます。川に立ち込めば産卵床を傷める恐れもある。上流部は千歳市が自然環境保全地区に指定していますが、魚の採捕は禁じられていません。道内各地や空港経由で道外から訪れる人も含め、どうコントロールしていくか。関係者の話し合いが必要な時ではないでしょうか。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/397759

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アイヌの文化 世界に届ける 東京五輪の聖火リレー走者、ウポポイ職員の山道さん

2020-02-29 | アイヌ民族関連
室蘭民報 2020/2/28 09:07 (JST)

聖火リレー走者に選ばれ「大変光栄なこと」と話す山道さん
 「体力には自信があるので、これから走るフォームを練習したい」。こう意欲を示すのは象徴空間・ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団の伝統芸能課に所属する山道ヒビキさん(30)。今年6月、東京五輪の聖火リレー走者として白老を駆ける。
 道実行委から出走の依頼があったのは昨年11月。「声が出ないくらいびっくりしました。自分でいいのかなという感覚はあったんですが、なんで選ばれたのかも分からなく、驚いていました」と振り返る。
 平取町出身。同財団に26人いる舞踊グループのリーダー。ウポポイオープンに向けて毎日のように踊りの練習をし、白老・ポロト湖を借景窓から望む体験交流ホールを会場にした舞踊プログラムの精度を上げている。
 「アイヌとして選ばれたのも一つありますし、ウポポイ職員として選ばれたのもありますし、北海道出身者として選ばれたのもある。この三つの要素があって、いろいろなPRになるかと思うんですが、白老町に住んでいる私がウポポイ職員としてアイヌの文化を少しでもいろんな世界の人々に見ていただけるように精いっぱい走りたい」
 物心ついたころからアイヌ民族の踊りや歌に触れていた。2011年(平成23年)、アイヌ文化振興・研究推進機構の伝承者(担い手)育成事業2期生として白老に移住した。その後、旧アイヌ民族博物館に勤務した。
 「前に走った人たちの思いを自分が受け止めて走るのは本当に光栄なことだなと思います」。ウポポイ開業後、自身の主戦場になる体験交流ホールでそう語った。
(富士雄志)
https://www.oricon.co.jp/article/1093912/

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山道ヒビキさん 聖火とともにアイヌ文化を伝承

2020-02-29 | アイヌ民族関連
日刊スポーツ 2/28(金) 11:11配信

若きアイヌ文化伝承者が、聖火とともに民族の灯をともす。4月に白老町に誕生するアイヌ文化施設ウポポイ(民族共生象徴空間)の職員、山道ヒビキさん(30)が、東京オリンピック(五輪)の聖火ランナーを務める。アイヌ民族の家庭で育ち、現在は同施設の舞踊グループリーダーを務める。6月の聖火リレーを通して、自身のルーツであるアイヌ文化を国内外に発信する。
青天のへきれきだった。昨年11月、山道さんに東京五輪の聖火ランナー抜てきの一報が入った。「びっくりしました。電話の相手の方も驚くぐらい『えっ!』と言ってしまった」。北海道でも聖火リレーが走ることは知っていた。ただ自身がトーチを持って走る姿だけは想像できなかった。
今年4月、アイヌ文化を発信する拠点としてウポポイが白老町にオープンする。総事業費約200億円の国家プロジェクトは北海道にとっても一大事業。道は大会組織委員会に白老町を聖火リレーのルートに入るように要望し、6月14日の最終地点となるセレブレーション会場に決まった。同施設職員の山道さんは道実行委員会の選考枠で選ばれ約200メートルを走る予定だ。
聖火に思いを重ねる。リレーは3月12日にギリシャを出発し、人から人へ受け継がれていく。「それはアイヌ文化の伝承も同じ。いろんな人の思いがあって学んできた文化がある」。幼い頃からアイヌの舞踊や歌、木彫りを教わり「周りに期待されてスパルタのようだった」と振り返る。「思春期は古い文化だと感じ恥ずかしい気持ちがあった」と、10代には離れた時期もあった。19歳のとき、同世代の舞踊に感銘を受けたことをきっかけに伝える側に回った。ランナーに決まってからは各地域のアイヌ民族の人から激励され「僕たちウポポイの職員は、自分たちの文化をどんな形でも伝えていきたい」と話す。
さらに伝えたいのは多様性だ。ウポポイの職員には道外や海外からもアイヌ文化に思いを持った人が集まっている。山道さんがまとめる26人の舞踊グループも「全員がアイヌ民族ではなくシサム(隣人、和人の意味)が多くいる」。開業準備でさまざまなルーツの人の意見を取り入れることで深みが増している。「北海道にはいろんな文化がある。みんな違って当たり前というところも伝えたい」。
00年シドニー大会でのオーストラリア先住民アボリジニなど、過去の五輪でも開会式などで先住民族が紹介された。セレブレーション会場ではアイヌの舞踊を披露する可能性もある。昨年のラグビーワールドカップ(W杯)では、会場の札幌ドームで古式舞踊を披露。スタンド最上段の観客が、前の席まで来て見入ったという。「海外の方の反応はすごく良い。新しいものを見ることに目をキラキラさせている」。五輪という世界的なイベントの発信力に期待している。
スポーツの経験はない。幼い頃は山登りが得意で、今は舞踊で体を動かしているため体力には自信がある。本番に向けて家と職場の往復4キロを走って準備をしていくつもりだ。「自分たちの思いがバトンタッチされることを考えると楽しみの気持ちの方が強い」。緊張感と期待感を交錯させ、トーチを手にする日を待っている。【西塚祐司】
◆山道ヒビキ(やまみち・ひびき)1989年(平元)3月29日、平取町生まれ。アイヌの家庭で育ち、アイヌ文化伝承者育成事業を修了後、アイヌ民族博物館に就職。アイヌ語入門講座の講師やイベントなどで活動する。18年4月から公益財団法人アイヌ民族文化財団に所属。ウポポイでは文化振興部伝統芸能課の舞踊グループリーダー。独身。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-22280182-nksports-spo

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令和2年度「アイヌ中小企業振興対策事業費補助金」の公募を開始します

2020-02-29 | アイヌ民族関連
経済産業省令和2年2月28日
令和2年度「アイヌ中小企業振興対策事業費補助金」は、アイヌ中小企業の産業の振興を図るため、アイヌ民工芸品に関して、展示・販売会開催支援、技術研修支援を実施するものです。今回、下記の要領で公募を開始します。
事業内容
アイヌ中小企業振興対策のために、補助対象者が行う次の事業に必要な経費の一部を補助します。
(1)
展示・販売会の開催
アイヌ民工芸品の販路拡大を支援するため、大消費地等において展示・販売会等を開催します。
(2)
技術研修会等の実施
北海道内のアイヌ民工芸品制作者を対象に、技術の向上、新商品のアイディア開発等のため、研修等を行います。
公募期間
令和2年2月28日(金)~令和2年3月18日(水)【17時必着】
受付時間:10:00~12:00、13:30~17:00(土日、祝日を除く)
交付の対象
「民間事業者等」であって、アイヌ民工芸品に関する知見を持っている事業者。
なお、「民間事業者等」とは、国及び地方公共団体を除く企業または団体で、定款等により代表者、活動内容及び財産管理方法等について確認できる者をいいます。
補助率
補助対象経費の1/2以内
公募説明会の実施
本公募に関する説明会を以下の日程にて実施します。参加希望の方は、令和2年3月5日(木)17時までにFAXにてご連絡ください。
なお、参加者については、1提案者につき、3名以内とします。
日時:令和2年3月6日(金)11:00~
場所:経済産業省別館8階843会議室
   〒100-8912 東京都千代田区霞が関1-3-1
※会議室入口にて名刺を頂戴しますので、必ずご用意ください。
※本補助事業の採択にかかり、本説明会の参加を義務付けるものではありません。
その他
詳細は、以下の公募要領をご覧ください。
公募要領及び公募申請手続のための書類
公募要領等は、以下からダウンロードしてください。
公募要領(PDF形式:241KB)
公募申請書等の様式(WORD形式:99KB)
公募申請書等の記入要領(PDF形式:137KB)
参考
アイヌ政策推進会議に関する情報は以下のページをご覧ください。
アイヌ政策推進会議ホームページ
提出先・お問い合わせ先
中小企業庁事業環境部財務課
〒100-8912 東京都千代田区霞が関1-3-1
担当者:神谷
電話:03-3501-5803
FAX:03-3501-6868
提出方法:持参または郵送
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/chiiki/japan_brand/2020/200228Ainu.html

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ウイグル人迫害を支えるDNAデータ収集、背後に米企業の陰

2020-02-29 | 先住民族関連
ニューズウィーク 2/27(木) 18:07配信
<反体制的なウイグル人をあぶり出す中国政府の生体認証データ収集に、米企業のDNA解析機器が使用されている可能性がある>
中国政府の調達関連文書によると、2015年に新疆生産建設兵団公安局は、住民のDNAを解析して国のデータベースに登録するために、米バイオテクノロジー企業プロメガから分析機器を購入する計画を発表した。
生産建設兵団は新疆ウイグル自治区の準軍事組織で、中央政府と自治区政府の両指揮下にある。新疆に駐屯していた中国人民解放軍部隊が起源で、270万人以上の「屯田兵」が国境付近の警備と農地開拓や資源開発に従事する。
彼らのもう1つの使命は、この地域でウイグル人などの先住民族よりも、中国で9割以上を占める漢民族の人口を増やすことだ。この兵団公安局がDNA分析機器を購入したことを、数年前から人権活動家が危惧している。ウイグル人の監視と迫害に利用される可能性が高いとみているのだ。
2017年以降、新疆ではウイグル人などのイスラム系少数民族100万人以上が「職業訓練センター」に送り込まれている。実態はイスラム教徒を再教育する強制収容所だ。
一方で中国政府当局は、自治区政府の「住民サービス管理・実名登録作業指導小組弁公室」の下、新疆の全住民からDNAなどの生体認証データを収集。人権擁護団体は、これが反体制的なウイグル人のあぶり出しに利用されるのではないかと警鐘を鳴らす。
例えば、DNAの民族的な特徴から個人の顔のイメージを予測できる。これを、中国当局が構築している大規模な監視網や顔認識システムに取り入れることもできる。
「人権保護の基準としては、当局はこのような手法の必要性や使用条件、具体的な用途を説明できなければならず、個人が事前に情報の収集や利用を拒否できなければならない」と、国際的な人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのソフィー・リチャードソン中国部長は言う。「2015年の時点で、新疆ではこれらの基準がほとんど満たされていなかった」
<欧米の優生思想に類似>
もっとも、中国政府が生体認証データで国民を監視しようというのは、新疆だけの話ではない。中国全土で「無料健康診断」を口実に個人のDNAを収集し、学校で子供の唾液を採取している。公安当局は年内に、1億人分のDNA情報を国のデータベースに登録する計画だとされる。
ただし、このようなシステムはウイグル人にとって特に脅威だと、中国の新疆政策に詳しい米ワシントン大学の人類学者ダレン・バイラーは言う。「ウイグル人には法定代理人も制度的な支援もなく、中国当局は彼らを意のままに実験台にできる。1940年代に欧米で広まった優生思想と、現代の中国における生物医学の武器化が似ていることは、いやでも分かる」
中国公安省のDNAデータベース
2017年には、米医療機器メーカー、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィックが新疆の警察に遺伝子解析機器を販売していることに対し、米議会とヒューマン・ライツ・ウォッチが懸念を表明。同社の技術が住民のDNA収集に利用されることが、人権とプライバシーの侵害に当たるのではないかと指摘した。
サーモ・フィッシャーは2019年に、新疆への機器販売を停止した。自社の倫理規範に従ったと説明したが、中国のほかの地域への販売の継続については言及しなかった。
兵団公安局は2015年、新疆にあるプロメガの販売代理店「杭州欣越生物科技有限公司」経由で同社のパワープレックス21の購入を計画。調達関連文書によれば、DNAのごくわずかな痕跡から全国規模のDNAデータベースに登録できるほど質の高い記録を作成するのが狙いだった。
そこまで精度の高い機器はほかになかったため、兵団公安局は単独調達通知を発行し公共入札の手間を省いた。7日以内に反対がなければ購入できたはずだ(プロメガは取材に対してノーコメント)。
その直前数カ月の文書からは、兵団公安局が中国公安省物証鑑定センターと共同で「DNAデータベース構築プロジェクト」を計画していたことがうかがえる。中国公安省は既にFBIが犯罪や行方不明者の捜査に利用しているような大規模なDNAデータベースを保有。そこに一般のウイグル人のデータが加われば、差別と迫害に苦しんでいる人々の人種プロファイリングが可能になりかねない。
<悪用させないためには>
2015年に公安系機関誌に掲載された論文は、より大規模で質の高いDNAデータベースとデータマイニングを組み合わせれば、当局が行動を「予測」し「ハイリスク集団の早期警戒警報」を出すのに役立つと主張している。
確かにこうした機器を購入しても何に使うかは分からないと、ジョン・ジェイ・カレッジ法学部のラリー・コビリンスキー学部長は言う。DNA分析装置には、犯罪捜査、診断、治療、系譜学などさまざまな使い道があるという。同時に「民族を特定するのに使うのを止めることもできない。どんなものも乱用される恐れはあり、偉大なツールが悪用される危険はある」
プロメガの公式サイトには、遺伝子情報をウイグル人など中国の少数民族の識別に利用する方法に関する学術論文の概要が掲載されていた(既に削除)。プロメガとサーモ・フィッシャーの装置を使い、新疆のコルラ市で採取したウイグル人211人のDNAサンプルを、説明に基づく同意を得た上で調べたという。
中国各地の公安局が購入済み
だが中国のウイグル人は常に強制収容の脅威にさらされており、真の「同意」はあり得ない、と専門家は以前から懸念を表明している。出版社のシュプリンガー・ネイチャーとワイリーは、自社の科学誌に掲載した論文のうち「中国政府が支援する科学者がDNAや顔認識技術を使って、イスラム教徒が過半数を占めるウイグル人など国内の少数派を調査したもの」を対象に倫理審査を実施している。
2016年、兵団公安局は再び杭州欣越生物科技有限公司とDNA検査装置の購入契約を結んだ。プロメガの製品も含まれていたかどうかは不明だ。
プロメガの機器が計画どおり新疆で販売されたとの報告はまだないが、調達関連文書によれば中国各地の公安局が過去10年間(最近では2019年)に購入している。「自社の機器を人権侵害に利用させないためのしかるべき注意義務とは何か、同社に尋ねたい」とヒューマン・ライツ・ウォッチのリチャードソンは言う。「サーモ・フィッシャーからもまだ回答はない」
From Foreign Policy Magazine
<2020年3月3日号掲載>
ジェシカ・バッケ(チャイナファイル編集主任)、マレイク・オールベルグ(メルカトル中国研究所アナリスト)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200227-00010005-newsweek-int

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文化部、先住民の歴史事件を調査 当事者納得の記念碑設置へ/台湾

2020-02-29 | 先住民族関連
中央社フォーカス台湾 2020年2月28日 20時33分
(台北中央社)清朝時代や日本統治時代に東部・花蓮県で発生した先住民にまつわる歴史事件について、文化部(文化省)が調査に着手している。27日に台北市内で開かれた「総統府原住民族歴史正義・移行期の正義委員会」(原転会)の会合で、同部の李連権常務次長が報告した。
李氏によれば、先住民の歴史事件は計18件。文化部と原転会は先月初旬、歴史事件の記念碑に関する会議を開き、まず花蓮県で起きた5件を調査し、結果に基づいて、先住民の立場に立った記念碑の設置を目指す要綱を制定することが決定された。
5件はそれぞれ、アミ族が土地の開発問題で清朝と衝突した「大港口事件」(1878年)▽タロコ族が旧日本軍と森林資源などを争った「新城事件」(1896年)と樟脳採取をめぐってぶつかり合った「威里事件」(1906年)▽アミ族の労働者と日本の警察との紛糾が武力衝突に発展した「七脚川事件」(1908年)▽タロコ族が武装蜂起して旧日本軍に平定された「タロコ戦役」(1914年)。いずれにも記念碑が設けられているが、当事者である先住民に寄り添ったものでなかったほか、設置場所や管理維持などが問題視されるケースもあるという。
https://news.livedoor.com/article/detail/17889632/

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ゴールデンカムイのあのスープ、家庭用に簡単レシピ

2020-02-29 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2/28(金) 11:30配信
 マンガ「ゴールデンカムイ」で主人公がおいしそうに食べる場面などで知名度が高まっているアイヌ民族の主食「オハウ」(汁物)。これを普及させようと、北海道味の素(札幌市、高橋敏博社長)が家庭で作れるレシピ「かんたんオハウ」8種類を開発したと発表した。どんな料理なのか?
 オハウは肉や魚、昆布、ジャガイモ、ギョウジャニンニクやユキザサなどの野草や野菜を鉄鍋で煮込んだもので、アイヌ民族の食生活の中心となっている料理。かつては動物性脂肪や魚油、塩だけで味を調えていたという。
 4月24日には、アイヌ文化の復興拠点として北海道白老町に国立施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」がオープンする。今回、この運営本部の野本正博・文化振興部長らの協力を得て、味の素の調味料「ほんだし」を使った様々な味付けのオハウを編み出した。
 「鮭(さけ)のオハウ」は塩ザケにひと口大に刻んだジャガイモ、大根、ニンジンなど根菜を合わせた温かくオーソドックスな一品。
 対して「冷たいほっけのオハウ」はホッケの干物と薄切りのキュウリやナスを使ったみそ味の汁で、宮崎県などの郷土料理「冷や汁」にも似た味わいだ。
 記者会見で試食しつつ「ヒンナヒンナ」(アイヌ語で食事に感謝する表現)を繰り返した高橋社長は「ご家庭でつくっていただけるよう身近に手に入る素材、家にある調味料で味付けできる『かんたん』さを打ち出した。季節の食材と合わせて、様々な味を手軽に楽しんで欲しい。『食』がアイヌの伝統文化に親しみを持ってもらえるきっかけになれば」と話した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-00000034-asahi-soci

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あの世界的名店のシェフも注目 アイヌの食の底力

2020-02-29 | アイヌ民族関連
YouTube 2019/09/23
札幌・円山のレストラン「TAKAO」では、テーブルを囲む人たちに最初に大きな円盆が運ばれてくる。盆にはスパイス状のものが入ったガラスの器が並ぶ。
 シェフの高尾僚将(たかおともゆき)さんが説明する。「これはシケレペ(キハダの実)。山椒と同じミカン科なのでいい香りがします。白い粉はトゥレプというオオウバユリの鱗茎からとったでんぷんです。こちらは絞りかすを発酵乾燥させたオントゥレプ。独特の香りがあります」
 高尾さんはこれらを野生の香辛料、調味料と捉え、肉や魚に香りづけしたり、でんぷんを手打ちパスタに配合している。食後に出すシケレペ入りのチョコレートも、人気の一品だ。
 高尾さんが修業したイタリア料理は「各地方の料理はあるが『イタリア料理』はない」と言われるほど地域に根ざしている。高尾さんはじめ、そうした郷土食の視点で野山や川の食材を採って使う料理人は多い。高尾さんは支笏湖畔のレストランを監修した頃から野山へ行く回数が増え、5年前から山野草に詳しい白老のアイヌ民族の男性に採り方や食べ方を教わっている。「野生の食材を追い求めた結果、出会ったのがアイヌ民族の知恵でした」といい、現代の北海道料理として提供し、アイヌ民族に学んだことを伝えている。
■シリーズ「食べて知る アイヌの食の知恵」 http://t.asahi.com/wd24
https://www.youtube.com/watch?v=qBzudJbkYuM&feature=youtu.be&fbclid=IwAR3oIHBiNEhRS3vazlgltfUzpbGF8jfqtQiAJ2nYZYa93NE9B7ahzcpuBzQ

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<ちとせ冬ザケ考>3 野生群 「環境変動に強い血」注目

2020-02-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/28 05:00

インディアン水車でのサケ捕獲作業。千歳の秋の風物詩だ=2018年10月(中川大介撮影)
 千歳川のサケ捕獲施設インディアン水車(千歳市花園)は昨年、豊漁に沸いた。8~12月の捕獲数は25万9千匹と前年のほぼ倍だ。「予測では前年比2割増。ここまでとは」。日本海さけ・ます増殖事業協会(千歳)の専務理事、安藤孝雄(71)は、サケ親魚を確保できたことに安堵(あんど)する。
 協会は近年、親魚13~17万匹を捕り、9千万粒前後の受精卵を生産して千歳川のほか檜山、後志地方のふ化施設に供給している。千歳川では卵から育った稚魚が毎年、約3千万匹放流される。全道では年10億匹の稚魚放流が続いている。
 だが、秋サケ漁は長期低落を脱せない。19年の道内来遊数は1755万匹と、ピークの2004年の3割どまり。「持続可能な漁業」へ再生を模索する研究者が注目するのが、千歳川の冬ザケなどの「野生魚」だ。
■稚魚に生命力
 千歳川は1888年(明治21年)に始まる道内でのサケの人工ふ化事業の発祥の地だ。稚魚の育成などの技術の向上と海洋環境の好条件がかみ合い、サケの来遊は1970年代から大きく伸びたが、2000年代半ばから減少に転じた。水温上昇など海洋環境の変化の影響とみられている。
 研究機関は、稚魚が海に出る時期の沿岸水温が生き残りを左右するとみて放流時期を調整してきたが、好転しない。道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場(恵庭)の研究主査、卜部浩一(48)は「最近の資源変動は水温変化ではうまく説明できない」と苦渋の表情だ。
 近年は、人工ふ化増殖を長年続けたことで放流魚の遺伝的な健康さや環境適応力が低下した、との指摘もある。「水温以外の変動要因の解明とともに、『環境変動に強い稚魚』をいかに作るかが喫緊の課題」と卜部は言う。
 そのカギが野生魚だ。環境変動に耐えうる力を受け継いできた野生魚を産卵環境とともに守り、増やす。人工ふ化にも使い、野生魚の血をふ化場に入れれば、生命力の強い稚魚が確保できる可能性がある。
■再放流し産卵
 不漁にあえぐ漁業者には稚魚放流数の維持・強化で事態打開を求める声が強いが、水産研究・教育機構北海道区水産研究所(札幌)の主任研究員、森田健太郎(45)はこう訴える。「北米では遺伝的に健康な稚魚を作るため、野生魚を保全しながら、ふ化場でも使う取り組みがある。日本でも将来必要になる考え方。その時のために野生魚を絶やしてはならない」
 不漁の中でも野生魚を増やす余地がないではない。日本海さけ・ます増殖事業協会が昨年、道から千歳川で許可を得た親魚の捕獲計画数は7万6千匹。実際の捕獲はそれを上回り、協会は15万匹を人工ふ化に使わず売却して事業資金に充てた。例年そうしており、他の増殖団体も同様に「不要親魚」を売却している。
 これを一部でも再放流できないか。協会の安藤は「売却収入は運営に欠かせない」とする一方、「野生魚が資源維持にプラスと科学的に明確になれば、自然産卵を増やすこともあり得る」とも話す。実際、協会は人工ふ化に使わない親魚の一部を自然産卵させるため上流に再放流している。現在は500匹程度と限定的だが、こうした取り組みが広がれば野生魚の保全につながる可能性がある。(敬称略)
■<インタビュー 冬ザケを考える>3 森田健太郎さん(45)=水産研究・教育機構北海道区水産研究所主任研究員 持続可能な漁 ルール構築を
 千歳川の冬ザケの多さに驚いたのは2011年です。「沿岸での漁が終わったから、人工ふ化で放流した魚が回帰しているだけ」と思われていたのですが、調べてみると大半が自然産卵で生まれた野生魚であり、冬にも一定規模の群れが上ることが分かりました。
 こうした「野生ザケ」が存在する意義は大きく三つあります。一つは遺伝的な価値の高さです。野生ザケは地域の環境に適応しながら代を重ね、地域本来の遺伝子を受け継いでいます。
 千歳川では明治中期にサケの人工ふ化が始まった当初、事業の対象は冬ザケ、つまり12月以降に上る「後期群」でした。秋に上る「前期群」が着目され、人工ふ化が始まるのは昭和初期です。早い時期に捕れるサケは市場価値が高く、他の河川の種苗(卵や稚魚)の移植が行われて前期群の資源が増強されました。
 こうして千歳川の人工ふ化の対象は前期群になり、後期群は自然産卵で千歳川本来の遺伝子を受け継いできた。後期群は遺伝的な固有性が極めて高いのです。
 二つ目は野生動物の貴重な食料であるということ。三つ目は漁業や人工ふ化への貢献です。北海道のサケは大半が放流魚だと考えられてきましたが、実際には野生魚も少なくないことが調査で分かってきた。回帰の少ない年には漁獲や人工ふ化の親魚捕獲を下支えし、また豊漁にも貢献していると考えられます。
 北海道のサケ本来の遺伝的特性を守るために、野生魚の保全は必要です。加えて、秋サケ漁を持続可能にするためにも重要な存在です。近年、人工ふ化で生まれた放流魚の健康さや環境適応力の低さが研究論文で指摘されています。水温変化などの環境変動に耐え抜くには、遺伝的に健康な稚魚でなくてはならない。
 野生魚を産卵環境ごと守り、人工ふ化にも野生魚を使って遺伝的に健康な魚を増やす。北米ではそうした取り組みを進めつつ、放流魚を積極的に食べてサケの群れに占める放流魚の割合を下げるプログラムが導入されています。日本でも将来必要になる考え方です。
 アイヌ民族は、乱獲を避けながら自然産卵するサケを利用してきました。その考えを採り入れ、千歳川で全道に先駆けて「持続可能な冬ザケ漁」の仕組みが構築できないでしょうか。次代の資源を再生産するに十分な自然産卵を確保した上で、余剰分をいただくのです。産卵場所に立ち込むのは極力避け、下流で捕るなどの工夫が要ります。
 ルールを決めて実施し、4~5年後に回帰が少なければルールを見直す。そのように立案―実施―評価―修正を繰り返す「順応的管理」の手法を取り入れては。ロシアでは産卵場所1平方メートル当たりで目視できるサケの数が一定以上なら、産卵後に漁獲するといった分かりやすいルールを定めており、参考になります。
 アイヌ民族の思想に現代の資源管理の考え方を採り入れて、全道で野生ザケを守りながら利用していければと思います。
写真特集はこちらから。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/397355

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白老町でアイヌ料理の弁当開発

2020-02-28 | アイヌ民族関連
nhk.02月27日 19時40分

胆振の白老町では、4月にオープンする民族共生象徴空間「ウポポイ」を訪れた観光客の需要に応えようと、アイヌ料理を取り入れた弁当の開発が進んでいます。
この弁当を考案したのは、町の飲食店や仕出し店が共同で作った会社です。
地元の食材を使って2種類の弁当を商品化し、「ウポポイ」がオープンする4月24日以降、主にツアー客向けに注文を受けて販売します。
メニューの一つで、素揚げした昆布をだんごにまぶした「コンプシト」は、材料をむだにしないアイヌの精神にならい、だしを取ったあとの昆布を活用しました。
また、いももちやかぼちゃサラダなど、素朴なアイヌ料理を現代風にアレンジして食べやすくする工夫をこらしています。
ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団の中屋真智子主幹は「鹿肉のあぶり焼きがとても食べやすくておいしかったです。アイヌ文化の要素がふんだんに入っているのでとても勉強になる弁当だと思います」と話していました。
弁当を開発した杉本健一さんは「白老町は食材が豊富なので、弁当を通じて旅行客に町のよさを感じてもらえたら」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200227/7000018385.html

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無許可でサケ捕獲疑い アイヌ男性を書類送検

2020-02-27 | アイヌ民族関連
東京新聞 2020年2月26日 夕刊
 北海道警は、紋別市の河川で北海道の許可を得ずサケを捕獲したとして、道内水面漁業調整規則違反などの疑いで、アイヌ民族の畠山敏さん(78)ら二人を書類送検した。
 関係者によると、畠山さんらは共謀して昨年八月三十一日~九月一日、市内の川で網を使って、アイヌの伝統儀式で供えるためのサケを捕獲した疑いがある。道職員が捕獲を制止しようとしたが、畠山さんは「漁をするかは(先住民族の)自己決定権だ」として応じなかった。
 道は水産資源保護法違反と道内水面漁業調整規則違反容疑で道警に告発していた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020022602000268.html

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アイヌ文化の継承・創造発展の拠点となる施設「ウポポイ」のオープンを記念した切手セットが発売

2020-02-27 | アイヌ民族関連
エキサイトニュース2020年2月26日 09:25

4月24日(金)、北海道白老町(しらおいちょう)ポロト湖畔に、アイヌ文化復興・創造の拠点となるナショナルセンター「ウポポイ(民族共生象徴空間)」がオープンします。
この「ウポポイ」のオープンを記念して、日本郵便から特殊切手「ウポポイ(民族共生象徴空間)」が発売されることになりました。
「ウポポイ」はアイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」を意味しますが、発売される特殊切手のデザインには、アイヌの伝統的な暮らしにちなんだものが描かれています。
マキリ(小刀)
アイヌ文様を彫り込んだ小刀です。動物を解体する、魚をさばく、裁縫をする、木彫品を作るなど多目的に使われ、男女ともに、いつも腰から佩緒(はきお)で提げていました。
イタ(盆)
木製のお盆で、アイヌ文様が彫刻されています。お盆は、食べ物を盛りつける食器のひとつとして使われました。文様は対称的に配置されたものが多く残っています。
ムックリ(口琴)
マウスハープに属するアイヌの伝統的な楽器です。紐を引いて弁を振動させ、口のなかに反響させることによって音を出します。
エムㇱ(刀)とエムㇱアッ(刀帯)
エムㇱは宝刀で、エムㇱアッはアイヌの男性が儀礼の際に、刀を盛装として身につけるための帯のことです。儀礼のほかに、刀を壁や祭壇に掛ける時にも使われました。
アットゥㇱ(樹皮衣)
アイヌの人たちの伝統的な衣装です。オヒョウやシナノキなどの繊維から作った糸を織って布をつくり、それを仕立てて伝統的な文様の刺繍などを入れました。
タマサイ(首飾り)
日本本土や沿海州方面との交易で手に入れたガラス玉を多数貫いた首飾りです。中央部には「シトキ」と呼ばれる金属板が取り付けられる。母から娘へ、女系で伝えられる財産です。
トンコリ(五弦琴)
樺太(サハリン)や北海道の北部に伝承された長さ 1m前後の弦楽器です。5 つの弦が張られていて、この弦をはじくことで曲を奏でます。
アイヌ古式舞踊
UNESCO 世界無形文化遺産に登録されています。踊りには、キツネやタンチョウなど生き物の姿をまねた踊り、悪い神を威嚇する呪術的な踊り、それにお盆や棒を使ったゲームの要素を盛った踊りなど、多くの踊りがあります。切手のデザインは「サロルンチカプリムセ(鶴の舞)」です。
イクパスイ(捧酒箸)とトゥキ(杯)
カムイ(神)に祈りを捧げる際に使います。トゥキは漆器で、このなかにはお酒が注がれます。イクパスイはさまざまな彫刻が入ったヘラ状の儀式用具で、この先端にお酒を付けて祈りをささげるとお酒とともにカムイのもとに祈り言葉が届くと考えられていました。
ルウンペ(木綿衣)
本州などから入ってきた木綿で作られた衣装で、細く切った色布を貼り付け、刺繍を施しています。おもに北海道の南の地域でつくられました。
84 円郵便切手10枚セットの1シート単位(840円)での発売となり、シートにはウポポイの完成イメージ図が描かれています。
特殊切手「ウポポイ(民族共生象徴空間)」は年 4 月 21 日(火)から全国の郵便局や郵便局のネットショップなどで発売されます。
ウポポイ(民族共生象徴空間)
ウポポイ(民族共生象徴空間)
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan
https://www.excite.co.jp/news/article/Japaaan_114233/

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<ちとせ冬ザケ考>2 伝統漁復活 巧みに操る漁具「マレク」

2020-02-27 | アイヌ民族関連

北海道新聞 02/27 05:00

昨冬にマレクで捕らえ、寒干しした冬ザケの大物。新年儀式「アシリパノミ」で=2019年1月13日、千歳市蘭越生活館(中川大介撮影)☆マレクのク、アシリパノミのリは小さい字
 「バシャッ!」
 水音が静寂を破る。アイヌ伝統漁具「マレク」(かぎもり)の先端で、サケが身をくねらせた。昨年12月28日、千歳市蘭越地区の千歳川上流部。千歳アイヌ協会が技術継承のため昨冬復活させた本流での冬ザケ漁が、今冬も始まった。
 秋サケの捕獲が終わった後の同月15日から、150匹の捕獲許可を道から受け、協会の若手らが1月末までで42匹を捕獲。寒干しし、オハウ(汁物)の具材やトバにしている。
 「野生の命を相手にしていることを実感する」。千歳アイヌ文化伝承保存会事務局長の佐々木翔太(26)は言う。
■交易が中心に
 冬ザケは大半が自然産卵で生まれる野生魚だ。寒気に耐えて本流に立ち、もりの届く範囲に魚影が寄るのを待つ―。秋の儀式で、ふ化放流の魚が大半の「秋サケ」を水路に放して行う漁とは手応えが異なる、という。先祖がそうしたように、野生の命と向き合う時間は「受け継ぐべきもの」を若者たちに感じさせる。
 協会が漁を行う一帯には「オセッコ(入り口の広い沢)」というアイヌ語地名がある。17世紀以降の江戸時代、「シコツ十六場所」と呼ばれた石狩、胆振地方の「商い場所」の一つだ。
 商い場所とは、蝦夷地(えぞち)の産物を持ち寄るアイヌ民族と、米や衣類などを持ち込む和人の交易拠点。松前藩が設定して家臣に与え、やがて商人が運営を請け負った。この「場所請負制」の下、アイヌ民族は自由な交易を制限され、交換比率を切り下げられ、労働力として酷使され困窮してゆく。
 アイヌ史を研究する札大教授、瀬川拓郎(62)によれば、アイヌ民族の生活は10世紀から顕著に変わっていた。「植物や魚介、シカなど多様な資源を利用する縄文以来の暮らしから、交易物資の大量獲得を目指す生活へ。和人が矢羽根の材料として珍重したワシの尾羽などを求め、アイヌは千島列島やサハリンにも進出した」と瀬川は語る。
 オセッコをはじめ千歳川流域の主産物は、塩を使わずに寒干しした「干(から)ザケ」だ。産卵に戻った魚を効率的に捕獲でき、脂が抜けていて長期保存に適した。交易への傾斜を強め、サケが常食になっていったゆえに、近世以降のアイヌ民族は場所請負制、そして明治政府による川ザケの禁漁措置で過酷な状況に追い込まれた。
 河川でのサケ漁は今も禁じられ、アイヌ伝統漁の許可は特例措置だ。昨年5月施行されたアイヌ施策推進法も漁業権は認めていない。千歳アイヌ協会は当面、道の許可を得ながら冬ザケ漁を続ける構えだが、会員には「将来は権利の回復を」との思いもくすぶる。
■分かち合いへ
 千歳市の姉妹都市アンカレジ市のある米アラスカ州には、漁業者、先住民、釣り人が河川環境を守りながら自然産卵するサケの資源を分かち合う枠組みがある。日本でそんな仕組みを作るなら、千歳川の冬ザケは「分かち合い」の対象となり得る存在かもしれない。
 遡上(そじょう)数の正確な把握、漁獲が資源に及ぼす影響、産卵環境を守る方法など、考えるべき点は幾つもあるが、佐々木はこう語る。「サケの再生に影響を及ぼさない漁の仕方を考えたい。自然と共存するのがアイヌなら、模索を続けねば」(敬称略)
☆マレクのクは小さい字
■<インタビュー 冬ザケを考える>2 佐々木翔太さん(26)=千歳アイヌ文化伝承保存会事務局長 狩猟や生活の技術 伝承したい
 千歳川の本流に入って昨冬、今冬とアイヌ伝統漁具の「マレク」(かぎもり)でサケを捕った経験から、サケが自分の中で特別な生き物になってきたように感じています。
 マレク漁は魚を追う漁ではありません。流れに静かに立ち、もりの届く範囲に来るのを待ちます。追っては捕れない。そう聞いていたのですが、冬ザケの遡上(そじょう)が少ない今冬、それを実感しました。「捕れる」と思っているうちは捕れません。マレクを持つ人の心をカムイ(神)は見ています。
 秋の「アシリチェプノミ」(サケの遡上を迎える儀式)で、網で仕切った水路にサケを放って捕るのとは異なる体験でした。思いも、必要な技術も違った。本流の漁は「捕れて当たり前」ではない。自分は野生の命を相手にしている。そんな手応えがありました。
 同時に、自然への対し方が身についていないことも思い知らされました。
 冬の漁で、私たちはマレクを持って川に立ち込んでいます。サケの産卵床を踏まないよう注意していますが、チプ(丸木舟)に乗ってするなら産卵床を傷つけません。アイヌは本来、そのように自然と共存してきたのです。でも確かな操船の技術がないと、細長く回転しやすいチプで流れの強い本流を漕ぎながら漁はできない。自分にはまだその自信がありません。
 でも冬漁は続けたい。ふ化場生まれの秋サケよりも、野生魚である冬ザケを捕りたい。サケの再生に影響を及ぼさない漁の仕方を考えながら。漁場とした上流部の「オセッコ」は安全だし、サケがたまるから選びました。そこが江戸時代もサケの漁場や交易場所だったことに縁を感じます。
 ふた冬続けましたが、まだマレク漁を「復活させた」という実感はありません。深いところまで復活しきれていない。自然に対する思い、チプの操船技術、トバの加工の仕方―。試行錯誤していますが、時間がかかっても技術を身につけ、下の世代に継承したい。
 これまで自分の文化伝承は舞踊など芸能が中心でしたが、これからは狩猟や生活の技術を伝承したい。川でサケを捕り、加工することが特別な行為になったような気がしています。
 あくまで自分個人の考えですが、アイヌ施策推進法の施行で、アイヌの川ザケ漁は不自由な面はあるけれど、できる範囲は広がったように思います。法やルールの下で可能なことにまず取り組んで、その範囲を超える必要があれば改善を訴えていけばよいのでは。
 そもそも文化伝承は、足元を固める必要があると感じています。「昔どうしていたか」だけを追求しても切りが無い。本来のあり方を学んだ上で、現代にどうするか考えないと。伝統を知る人、教えられる人が亡くなっていき、数少ない若手だけでは担いきれない。もっとサポートが必要と危機感を持っています。
☆マレクのク、アシリチェプノミのリとプ、チプのプは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/396948

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草の根から野党連合政権

2020-02-27 | アイヌ民族関連
赤旗 2020年2月26日(水)
全国革新懇が代表世話人会
 全国革新懇は25日に東京都内で代表世話人会を開き、この間の国会論戦や安倍9条改憲発議阻止の緊急署名、都知事選と総選挙をみすえた「市民と野党の共闘」などについて議論しました。日本共産党の志位和夫委員長が参加しました。
 国会情勢では、新型コロナウイルス対策について、国民の命が重大局面にあるとして、政府が検査体制や治療体制の両面で抜本的な財政措置をとることの重要性が語られました。また安倍晋三首相が日本共産党を「暴力革命の党」と首相として初めて国会で言及したことに対し、日本共産党だけでなく、立憲民主党など野党が一致して「デマ」だと撤回を求めて抗議したことは「野党間の信頼関係が強まっている」ことを示していると強調。「桜を見る会」疑惑や東京高検検事長の定年延長問題で安倍政権の答弁は大破綻しているとして、野党が協力して徹底追及していく必要性も語られました。
 野党連合政権の実現に向けては、政党間だけではなく草の根から「私たちが求める政権とはこういう政権だ」と話し合い、国民のなかに野党連合政権のイメージを広げていくことが大事だと指摘されました。5月16日に開かれる予定の全国革新懇第40回総会では、日本共産党排除を決めた「社公合意」(1980年)から現在の「市民と野党の共闘」の発展に至る経緯と変化を整理していくことも提起されました。
 また会議では、個人の尊厳を尊重する政治をつくるという「市民連合」の発足以来ジェンダー平等の運動が急速に進んでいることや先住民族であるアイヌ民族の権利が保障される取り組みの重要性も強調されました。
 各地の取り組みとしては、改憲阻止の緊急署名を積極的に進めていることや地域の「訪問介護事業の継続」という要求実現に向けて運動していることなどが報告されました。
http://jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-02-26/2020022604_03_1.html

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第43回人権理事会ハイレベルセグメントにおける尾身外務大臣政務官ステートメント(仮訳)

2020-02-27 | アイヌ民族関連
外務省 令和2年2月26日

日本政府を代表して,人権理事会でステートメントを行う機会を得たことを大変光栄に思います。
まず,国際社会における喫緊の課題となっている新型コロナウイルス感染症への対応に関して一言申し上げます。
日本は,クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」について,国籍を問わず,乗客,乗員の健康確保に最大限配慮して対応してきています。同クルーズ船への対応も含め,引き続き,中国を始め世界各国と協力して,感染拡大の防止と一日も早い事態の収束に向けて,全力で取り組みます。そうした中,最近,東アジア系であることのみを理由として,施設の利用停止や心ない誹謗中傷が行われているとの情報に接しており,心を痛めています。そうした行為が起きないよう,人権理事会のこの場を借りて全ての人に呼びかけたいと思います。
さて,日本は,昨年までの3年間に引き続き,本年からの3年間も再び人権理事会の理事国を務めることとなりました。日本政府は,国際社会及び市民社会と緊密に連携しながら,国際社会における議論に積極的に参加し,人権の保護・促進に一層貢献していきます。
副議長,
日本は本年,様々な重要な国際イベントを主催します。それらにおいて,人権の観点の重要性を強調し,世界における人権の保護・促進を後押しします。
まず,女性活躍,女性の人権の保護・促進は日本が特に力を入れている分野です。本年4月に,第6回国際女性会議(WAW!)開催いたします。昨年は,バチェレ高等弁務官に参加いただきましたが,今年も,世界の様々な分野の第一線で活躍する方々に参加いただく予定です。今回の主題は,誰もが生きやすいジェンダー平等な社会を男性と女性が共に造るHeForSheの理念です。
続いて,日本は,法の支配と,それに基づく人権の擁護に強くコミットしています。4月には,第14回国連犯罪防止刑事司法会議,通称京都コングレスを開催し,法の支配の推進の重要性を世界に改めて発信します。
そして何よりも本年は,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。同大会は,国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則して準備・運営される初めての大会です。日本は,同大会の開催を通じて,多様性と調和への理解を促進し,障害者の権利を含めた人権に配慮した共生社会の実現を目指し,SDGsの達成にも貢献していきます。
副議長,
日本は,アジア太平洋地域の人権理事会理事国として,この地域における人権状況の改善にも貢献していきます。同地域では,めざましい経済発展の陰で,民主化や基本的人権の保護に関して課題が残されていることは否めません。どこの国でも,表現の自由を含む基本的な自由が確保され,人権擁護者の抑圧・弾圧は防止される必要があります。人権状況の改善に向けた課題,そして,改善への道筋や速度は国ごとに異なりますが,基本的価値を共有し,同じ方向を向いて進んでいくことはできると考えます。
こうした考えの下,我が国は,各国との意思疎通を重視しています。例えば,我が国はミャンマー政府を含むいくつかの国と人権対話を実施しています。ラカイン州北部における人権侵害疑惑につき,ミャンマー政府が,独立調査団の最終報告書を踏まえ,犯罪行為に対する捜査,訴追を進めるとの立場を明らかにしており,我が国は,その速やかな実施を強く期待するとともに,引き続き,ミャンマー自身の取組を後押ししていきます。
北朝鮮による拉致問題は,日本の最重要課題の一つです。昨年の国連総会で北朝鮮人権状況決議が15年連続で採択されたことを歓迎します。日本は,各国政府及び国際社会と緊密に連携し,北朝鮮が拉致問題の早期解決に向けた具体的な行動を取るよう,引き続き強く求めていきます。
日本はアジア以外の地域の人権状況にも関心を持っています。例えば,ベネズエラにおける恣意的拘禁等の人権侵害の拡大を懸念しており,国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)や事実調査団(FFM)の活動を通じ,人権状況が改善されることを期待しています。
副議長,
日本のいくつかの直近の取組について,ご紹介します。
日本は,児童の権利の保護・促進に精力的に取り組んできており,現在,児童に対する暴力撲滅に関する国の行動計画を策定しています。また,本年6月の児童の権利委員会委員選挙には,日本から素晴らしい専門家が立候補していますので,皆様のご支持をお願いいたします。
日本は,ハンセン病差別撤廃に関する国際的な議論を主導してきています。日本はハンセン病差別撤廃特別報告者の活動をサポートしてきており,今月には同特別報告者の訪日が実現しました。ハンセン病に対する差別の撤廃に向け,各国の理解と協力に期待いたします。
本年4月,先住民族であるアイヌの人々の文化を復興・発展させる拠点として,アイヌ語で「おおぜいで歌うこと」を意味する「ウポポイ」とよばれるナショナルセンターを開設します。
日本は,第三国定住による難民の受入れをアジアで最初に開始した国ですが,本年から,その受入れ人数等を更に拡大します。
副議長,
昨日,韓国の代表が,慰安婦に言及しました。日本政府は,2015年の日韓合意を含め,長きにわたって慰安婦問題に真摯に対応してきています。また,日韓合意に基づく事業については,多くの元慰安婦の方々から評価を得ています。
副議長,
最後に,日本は国連及び人権理事会の機能改善・強化にコミットします。我々は,人員・財源・時間といったリソースが限られる中,人権の保護・促進を実現させるには,一層効率的かつ効果的な国際的な人権メカニズムとしていく必要があります。本年予定されている人権条約体のレビュー,来年以降の人権理事会のレビューの機会等を通じ,国際的な人権メカニズムの強化に向け,各国が主体的に考え,改善すべき点について議論を提起することが必要です。日本も自身の経験及び他国からの意見を踏まえつつ,同議論に積極的に参画していきます。
副議長,
今年は,国連憲章の75周年に当たります。この機会に,日本は,同検証を想起し,「人間の安全保障」の考え方に基づき,人権の保護・促進に,国内外で引き続き積極的に取り組んでいく決意です。
ご清聴ありがとうございました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page3_002814.html

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