美術展ナビ 2025.01.17
アヌココㇿアイヌイコロマケンル(ウポポイ内、北海道白老町)で、3月15日から5月18日まで第8回テーマ展示 「ウイマㇺレプンカ サンタン交易と蝦夷錦」が開催されます。
北海道や樺太(サハリン)、ロシア極東地域の先住民族は、17~19世紀にかけてサンタン交易と呼ばれるネットワークを通じて様々なモノを流通させ、その交易ルートは「北東アジアのシルクロード」とも呼ばれています。このネットワークを通じてもたらされた代表的なものが、中国の官服である蝦夷錦・サンタン服やその反物です。本展示では、その蝦夷錦・サンタン服を中心に、ガラス玉や銭貨など、アイヌ文化にもたらされた中国製品と他の先住民族との交流について紹介します。
※ ウイマㇺレプンカはアイヌ語で「舟で海を越えて交易に行く」という意味です。
ウイマㇺレプンカ サンタン交易と蝦夷錦 |
会場:アヌココㇿ アイヌ イコロマケンル 国立アイヌ民族博物館 2階特別展示室(ウポポイ内、北海道白老郡白老町若草町2-3-1) |
会期:2025年3月15日(土)~5月18日(日) |
開館時間: 9:00~17:00 [3月15日(土)~30日(日)] 9:00~20:00 [4月26日(土)~5月6日(火)] 9:00~18:00 [4月1日(火)~25日(金)、5月8日(木)~18日(日)] ※ ウポポイ(民族共生象徴空間)への入園は閉園1時間前まで。博物館入館は閉館30分前まで。 |
休館日:月曜日(祝日または休日の場合は翌日以降の平日) ※ 4/28(月)・5/5(月)・5/6(火)は開館※ 5/7(水)は休館 |
入館料:ウポポイ(民族共生象徴空間)入場料に含まれます。 一般 1,200円/高校生 600円/中学生以下無料 |
詳しくは博物館のテーマ展示ウェブサイトへ |
全4章の多角的な視点でサンタン交易にせまる
展覧会は全4章で構成されています。「第1章 サンタン交易とは?」では、17~19世紀に「北東アジアのシルクロード」とも呼ばれたサンタン交易の歴史的背景とその重要性を紹介します。
国指定重要文化財 カラフトナヨロ 惣乙名文書(ヤエンコロアイヌ文書)(北海道大学附属図書館蔵)
続く「第2章 蝦夷錦を運んだ舟と橇」では、蝦夷錦・サンタン服を運搬した舟や橇などの交通手段を解説します。また、交易のルートとなった場所の現代の様子を映像で紹介します。
イタオマチㇷ゚ 板綴舟(模型)(当館蔵)
「第3章 色いろな蝦夷錦・サンタン服」では、衣服として残る蝦夷錦や、衣服以外の形で作られた蝦夷錦、そして古文書や絵画に記録された蝦夷錦を紹介します。
笏入れ(当館蔵)
最終章となる「第4章 ガラス玉と銭貨」では、サンタン交易を通じてもたらされ、首飾りや装身具としてアイヌ文化に取り入れられたガラス玉と、それらが果たした役割を紹介します。
ニンカリ 耳飾(当館蔵)
会期中は講演会やクロストーク、ギャラリートークも充実しており、展示以外の面でも詳しく交易の内容をひも解く場が設けられています。民族間の文化がどう行き来したのか、これを機にその歴史に触れてみてはいかがでしょうか。