「人類が火星に行くには、どのようにすればいいか?」 2018.3.17
ある日、下記のようなメールが届きました。
-----メール概要-----
総合学習の一環として、年間を通じ「探究活動」というものをおこなっており、2月15日の「首都圏フィールドワーク」という行事にて、ぜひお話を伺いたく思っております。
私は、「人類が火星に移住するには」というテーマで探究しております。火星に行くまでのロケットのエンジンの種類や火星に着いた後の食料の確保や酸素の確保などについて調べ、先日、学校の生徒を相手にした発表を終えました。
探究活動の際に読んだインターネットを通じて、火星移住について様々な側面から研究なさっている日本火星協会様を知りました。
今回のフィールドワークでは、日本火星協会様に訪問させていただき、その成果を披露させていただくとともに、専門家の方の意見を伺いたいと考えております。
開智高校 山田
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ぜひ!お話しましょう!ということで、3月17日山田さんを日本火星協会の事務所にお迎えしました。
まずは、山田さんのプレゼンを聞かせてもらいました。(パワポでしっかりしたプレゼンでした。)
題名「人類が火星に行くには、どのようにすればいいか?」
・火星の基礎知識の確認 (気温、放射線の状況から人類の生息に適さない)
・火星居住の可能性 (太陽からの位置がハビタブルゾーンにあり、液体の水が存在可能)
・まず、火星に行くまでの放射線被爆を軽減するために、時間を短縮することと外壁等の防御を考える必要がある。
<ロケットについての考察>
科学ロケット:早くても6ケ月かかり、改良しても限界がある。
ソーラーセイル:加速が弱く、3年掛かる
核融合ロケット:燃料(重水素、トリチウム等)取り扱い・制御が難しい
ビーム推進:コストが高い
・火星に行くことができたら、なにが出来るかと考えた。
大きなシェルターを作って居住/現地調達方式で火星の資源を活用する/大気中の水をゼオライトなどで吸着して取り出したり、地中の氷河を溶かして水を確保する/大気の主成分であるCO2から酸素やメタンを作る/食糧は、火星の土を改良してジャガイモなどの作物を作る。また、環境適応性の高い藻類も作る。蚕は、味が海老・蟹に近くて、生糸も取れるので衣服の材料にもなる。
・結論:NASAが人類を2030年代に火星に送るという計画を発表しているが、無理だと思いました。
(理由)今の技術では、火星に行くのに時間が掛かるのと放射線と重力の問題が解決されていないため。
以上
当日、山田さんとお会いしたメンバーは、村川会長、広崎副会長、諸島事務局長、安濃の4名のおじさんたちです。
山田さんの「火星に行くことができない」という結論を聞いて、一気に和やかな雰囲気となりました。
その後、おじさんたちが火星に行くための技術論を山田さんを説得するためと言うより、お互いの考えを熱心に話し出して、かなり盛り上がりました。
最後に、村川会長が「大変良い発表でした。ただ、問題の考え方として
《こういう問題が有るから、行けない》ではなく、
《こういう問題が有るから、その問題を解決すれば、行くことができる。だから、行くためにどうするかを考える》と考えた方が良いと思うし、そう有るべきだと思います。」と締めくくりました。
改めて山田さんにお礼を申し上げます。よく勉強されていて世代を超えて、このような意見交換ができましたことを大変嬉しく思います。そして良い刺激をいただきました。おじさんたちに臆することなく、ニコニコと話を聞いていただき大変ありがとうございました。
これを機会に火星を好きになってもらいたいと願ってます。
また、このような素晴らしい活動をされている開智高校の皆様にもお礼申し上げます。 MSJ_Annou