DVD番号 UCBP-9022(1枚)
収録年 1983年
評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)
総 合 A- 歌手陣、指揮者、演出のバランスが取れた万全の魔笛
指揮者 A- ウォルフガング・サバリッシュ(1923年~ )
管弦楽団 A- バイエルン国立歌劇場
合唱団 A- バイエルン国立歌劇場合唱団
ザラストロ A- クルト・モル
夜の女王 A+ エディタ・グルベローヴァ
タミーノ A- フランシスコ・アライサ
パミーナ A+ ルチア・ポップ
パパゲーノ A+ ヴォルフガング・ブレンデル
演出・舞台装置 A+
音 質 A-
上映時間 160分
バイエルン国立歌劇場でのライブ収録である。サバリッシュは11年前の1972年に魔笛をCDでスタジオ録音をしている。
音質の方はセパレーション、奥行き感いずれも、ライブにしては上出来だと思う。ややこもった音質なのでボリュームを少し上げ気味のほうが聴きやすい。演出・舞台装置も手を抜いたところがない。
歌手陣は当時考えられる限りの一流の顔ぶれをそろえているといってよい。
ザラストロ役のモルは定評どおりで、役柄にふさわしい堂々とした歌唱力である。
夜の女王役のグルベローヴァはレヴァイン盤に続いての出演で当時第一人者として引っ張りだこだったことがよく分かる。相変わらず言うことなしの出来栄え。
タミーノ役はカラヤン盤(1980年)で俎上に上げたあのアライサである。シュライアーと比較するのは酷だが相変わらずやや声量不足で声の張りと艶に乏しく線が細い感じ。ただし、映像が加わると王子らしい演技と気品が伺われたのでまあ、総合的には良しとしなければならないだろう。
パミーナ役のポップは19年前のクレンペラー盤(CD:1964年)で夜の女王役を務めていたほどで演技、歌唱力とも申し分がない。実に息が長い歌手で安心して可憐なソプラノが聴けた。
パパゲーノ役のブレンデルはあまり馴染みがないが演技、歌唱力とも十分。
全体的に大変好感が持てて、安心して聴ける魔笛だった。サバリッシュは相変わらずオーソドックスな指揮ぶりでリズムとテンポもよく、CD盤と同様にやはり熟練の技を発揮している。
総合A+に極めて近いがタミーノ役が今ひとつ物足りないのでA-に留める。
パミーナ役→ルチア・ポップ