DVD番号 TDBA-0023(2枚組)
収録年 2000年
評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)
総合 A+ 優れた音質、軽快なテンポ、楽しさ溢れる魔笛
指揮者 A+ フランツ・ヴェルザー=メスト(1960年~ )
管弦楽団 A- チューリヒ歌劇場管弦楽団
合唱団 A- 同 合唱団
ザラストロ A- マッティ・サルミネン
夜の女王 A+ エレーナ・モシュク
タミーノ A- ピョートル・ベッチャーラ
パミーナ A- マリン・ハルテリウス
パパゲーノ A+ アントン・シャリンガー
演出・舞台装置 A-
音 質 A+ CD盤に引けをとらない素晴らしい音質
上映時間 151分
チューリヒ歌劇場におけるライブの収録である。メストは指揮者にしては40代とまだ若いが1995年からチューリヒ歌劇場の主席指揮者、2002年からはクリーブランド管弦楽団の音楽監督を務めるなど順調に階段を上っているようだ。
音質は文句のつけようがないほど良かった。これも2枚組みのセットの余裕だろう。
演出の方は衣装、舞台装置ともども一口で言って現代風の魔笛ということだろうが、新鮮味があって手を抜いた感じもしない。
歌手の選定も全体に好調で、特に夜の女王役は、超難度のアリアを楽々とこなす余裕と貫禄にびっくり仰天。初めて聴く歌手だが世の中は本当に広い。これまで聴いてきた夜の女王役でも五指に入る。
タミーノ役はポーランドの新鋭だそうでアイスクリームのように甘そうなマスクと演技にもっと王子らしい知性と気品が欲しい気がするが、歌唱力にはなかなか魅せるものがある。
パミーナ役はドイツ語圏で注目されている美人ソプラノとのことで、歌唱力にあまり不足はないが、少し急ぎすぎのようでもっとしっとりとした叙情性があれば素晴らしいのにと思った。
パパゲーノ役のシャリンガーはCDのアーノンクール盤とクリスティ盤に出演しており、まず同役の当代第一人者といってよいだろう。歌唱力、演技力ともに申し分がなく十分精彩を放っていた。
台詞から歌唱に入るときのテンポとオーケストラの呼吸がピタリと合っており、全般に亘って楽しさが横溢し、しかも緩んだところが見受けられない。指揮者メストの手腕は見るべきものがあってなかなかのもので、豊かな将来性を感じる。
総合A+かA-か随分迷ったが結局、音質、夜の女王役とパパゲーノ役が決め手でA+。
パミーナとタミーノ