DVD番号 UCBG-9008(1枚)
収録年 1991年
評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)
総 合 A- コクが足りず、やや軽い印象を受ける魔笛
指揮者 A- ジェームズ・レヴァイン(1943年~ )
管弦楽団 A- メトロポリタン歌劇場管弦楽団
合唱団 A- 同 合唱団
ザラストロ A- クルト・モル
夜の女王 A+ ルチアーナ・セッラ
タミーノ B+ フランシスコ・アライサ
パミーナ A- キャスリーン・バトル
パパゲーノ A- マンフレート・ヘム
演出・舞台装置 A-
音 質 A-
上映時間 166分
指揮者レヴァインの2度目のDVD収録(新盤)で、前回(旧盤)のザルツブルク音楽祭から9年経過した今回はニューヨークのメトロポリタン歌劇場におけるライブ収録である。彼が48才時の録音となる。
なお、この盤の解説書によると、旧盤(1982年)のザルツブルグでのレヴァイン起用は大抜擢で39歳という年齢は史上最年少だったそうだ。結果も大好評で以後の彼の躍進の礎となり、ウィーンフィルとも良好な関係を続けているそうだ。
音質は旧盤よりも着実に良くなっていると感じた。ライブ収録もこの程度までくれば合格点だろう。映像も良く舞台装置も劇場にふさわしい豪華さだった。
それに超一流の歌劇場にふさわしい歌手陣といってよいだろう。
ザラストロ役のモルは相変わらずしっかりした歌唱力を示しており、役柄にふさわしい堂々とした聖者ぶりだった。
夜の女王セッラも良かった。超難度の第一幕と第二幕のアリアともにパーフェクトの出来で、十二分に存在感を示した。観衆のどよめきと盛大な拍手が何よりも証明している。
なお、モルとセッラは二人ともコンビでデービス盤(CDの部♯13:1984年)にも起用されている。
タミーノ役は前回のサバリッシュ盤にも登場したアライサである。しかし、ここでもあのおとなしそうな張りのない声にガッカリ。彼の持ち味として理解してあげる寛容さが必要なのだろうが・・・。
パミーナ役はなかなかの熱演だった。第二幕のタミーノとの二重唱はなかなか聴かせるものがあった。ただし、王女役としてのイメージには少しばかり違和感を持った。
パパゲーノ役は歌唱、演技ともに熱演だったが、何物にもしばられない自然人らしい伸び伸びとした雰囲気がもっと欲しい。
全体的な印象だが、残念なことにレヴァインとオーケストラの相乗効果だろうか全体的にドライな傾向があって、しっとりとした情感やメルヘン的な楽しさ、夢のような世界空間とはやや距離があるように感じた。
なお、旧盤(1982年DVD盤)との比較をあえて述べれば、一長一短があるがレヴァインの初々しさ、タミーノ役のシュライアー、ウィーンフィルをとって旧盤の方に心が傾く。
パミーナ役→キャスリーン バトル