DVD番号 UCBD1047/8(2枚セット)
収録年 2006年
評価(A+、A-、B+、B-、Cの5段階評価)
総 合 A- 荘厳 、華麗ではあるが盛り上がりに欠ける魔笛
指揮者 A- リッカルド・ムーティ(1941~ )
管弦楽団 A- ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
合唱団 A- ウィーン国立歌劇場合唱団
ザラストロ A+ ルネ・パーペ
夜の女王 A+ ディアナ・ダムラウ
タミーノ A- ポール・グローヴス
パミーナ A- ゲニア・キューマイアー
パパゲーノ A- クリスティアン・ゲアハウアー
演出・舞台装置 A+
音 質 A+
上映時間 本編176分、特典約10分
2006年7月、ザルツブルク音楽祭におけるライブ収録である。
手持ちの43セット中、最新の魔笛ということで、一流の歌劇場、音質、舞台装置、演出は申し分のないもので、ウィーン・フィルもいつもどおり。
歌手陣のうちザラストロ役(バス)のパーペはアバド盤、そして夜の女王役(コロラトゥーラ・ソプラノ)のダムラウもデイヴィス盤でそれぞれ実力を証明済みでこの二人は今のところ最高の配役だろう。
なお、DVD盤のジャケットの配役紹介でパパゲーノ役が最上位に記載されていたがこういう例は珍しい。よほどネーム・バリューのある歌手なのだろうか。それともこの歌劇で一番重要な役どころとして暗示したのだろうか。
そういえば、タミーノ役とパミーナ役は初めて聞く名前で両方とも歌唱力にそれほど不足はないのだがどうも経験不足のせいか余裕が感じられない。しかもマッチングが理想的とは言えず視覚的にもピタリとこないし何よりも劇中での役どころの存在感が希薄な印象を受ける。
ある本に「ムーティは大したことのない歌手を使いたがる」とあり、「有名歌手を意のままに従わせるのが難しいのだろう」とあった。
とにかく、この歌劇の主役中の主役であるべきこの二人が劇の展開の中で華として脚光を浴びる存在になっていないのがこのDVD盤の最大の弱点。したがってどうしてもクライマックス感に乏しい。これ以外にもメルヘン的要素と楽しさがもっと欲しい気がする。
あとはパーフェクトといっても良い印象だったが、結局、盛り上がり感に欠けるのが致命的だと思ったので総合A-。
なお、ムーティ指揮のモーツァルトのオペラは、フィガロの結婚、ドンジョバンニ、コシ・ファン・トィッテを持っているがいずれのオペラとも自分の心に響いてくるものがなかったのでもともとこの指揮者とは相性が悪いのかもしれない。
パミーナ役