今年の梅雨は例年に比べて序盤から雨の降る日が多い。釣行出来る日を毎日のように狙っているので特に切実に感じる。
それでも6月23日(月)はようやく晴れ日和になった。週間天気予報ではずっと「曇り」だったのである程度当てにしていたのだが前日からの天気の移り変わりが良好で気持ちよく後押しをしてくれた。
22日(日)の夕方に釣具店にエサの解凍を予約。早めの就寝で英気を養った。
さて、天候に翻弄されるばかりで自然には到底太刀打ちできない釣行だが、「釣りにとって一体どんな天気がベストなんだろうか。」
釣りは、言い方は悪いが所詮は「人間と魚の騙し合い」なのでその観点から考えると自ずと解答が導き出される。
キーワードは「魚に警戒心を起こさせない」こと。自分の経験に照らして述べてみよう。
まず、人間の気配を魚に感じられないようにするためには、あまり晴れ渡っていてもよくない。海中から人間の姿がちらちら見えたりすると魚が用心してエサに喰い付かない。(釣り人が白とか黄色などの目立つ服で岸壁に立つのは論外)。
それに、海中の釣り糸が照りつける太陽光にきらりと反射し、目がいい魚に気付かれやすいのも大きなマイナス要因となる。魚がエサに喰いつくのは、下からみてエサと釣り糸の角度が一致して「点の状態」になったときに限られる。
したがって絶好の釣り日和とは「どんよりとした薄曇り」これに尽きる。
次に風も大きな要因。
風が強すぎると、マキエが蒔きにくい、仕掛けが投げずらいなど大きな支障になる一方でまったくの無風でもこれまたマズイ。
「少しぐらい風が吹いて海面にさざ波が立つ程度」が人間の気配(音と姿)を断(た)ってくれるのでベスト。それに適当に海中が濁ってくれるのもいいし、投じたウキの着水音が目立たないのもプラス要因。
ずっと昔、それまでまったく釣れなかったのが途中から風が出てきて「さざ波」がおきたところ、チヌ(黒鯛)がバタバタと13匹釣れたことがある。
さて、当日のお天気はちょっと晴れすぎだが、低気圧が去った直後なので結構風が吹き抜いて適当に波立っているだろうからマアマアの釣り日和。贅沢はいえない。
いつもどおり型狙いでY半島を奥深く分け入って前回の釣り場所の神社横の釣り場に11時前後に到着。
釣り場の遠景 近 景
誰一人いない釣り場を我が物顔でのし歩いて、結局前回と同じ場所に釣り座を構えた。釣り開始は11時20分頃からだが満潮が10時前後なので汐が引きにかかったばかりで当初はあまり釣れないと予想していたが案の定でさっぱり。
釣り開始から2時間程度たっても1匹も釣れず、ツケエがそのままの状態で上がってくるばかり。「釣れますか~」とルアーによるハマチ狙いの40歳前後とおぼしき釣り人が隣にやってきたが「全然ダメです~」。
たまには、こういうノンビリした釣りもいいもので今日は久しぶりに釣果ゼロかと思い始めたところ、「釣れどきは下げ7分(ぶ)」とはよくいったもので、「下げ5分」ぐらいから、時刻にすると 13時半頃からようやく散発的に当たりだした。
結構型がいいクロ(メジナ)が浮いてくるようになり、こうなるとしめたもので、早速ウキ下40cm前後の仕掛けのついたメインの竿(7.1m)が大活躍。
汐の具合で同じ場所がこうも変わるかというくらいに面白いようにかかりだした。
良型のクロの引きは半端ではなく、先手をとらないと海底の根に潜り込まれるので、針掛かりしたと同時に竿先を青空に向けて高く立てて、満月の弧のようにしならせながらぐいぐいと強引にリールの糸を巻き上げるのみ。魚の口先を常に釣り人のほうに向けておくことが肝心。
そのうち、この日一番の良型がかかったのでこれまた強引に引き寄せて慎重にタモ網に入れ海面から上げかかったところ、何と途中であの丈夫な柄がボキリと途中から折れてしまい「アッ」というまにタモ網が魚ごと海中にドボンと落ち込んでしまった。随分長い間使っていた柄なので材質の劣化が原因。
魚も惜しいが、タモ網の枠(直径60cm)は一万円ほどもしたチタン製の使い初めの新品でそれの方がもっと惜しい。しかし、なんらなす術もなく呆然と立ちすくむばかり。
ここでまさかの助けの神が現れた。ちょっと離れてこの様子をじっと見ていた隣のハマチ狙いの釣り人がルアーを振ってうまく網に引っ掛けて魚ごと回収してくれたのである。頼みもしないのに自ら買って出ての行動でほんとにありがたかった。
「袖振り合うも多生の縁」という言葉があるが、たいへん意義のある縁で大感激。お礼の意味で引き上げてもらったクロを差し上げようとしたがどうしても受け取ってくれない。ハマチが1匹も釣れていないのに、この欲のなさ・・・・・。
以後の釣りは、良型をかけるたびにタモ網を借りる始末で釣り人としては情けない限り。そろそろ止めようかというときになってこの日一番の大物がきたが、道糸(1.5号)がウキ止めのところで無常にもプツンと切れてしまって取り逃がした。切れた原因は長くなるのでここには書かないが十分思い当たる点がある。
もっと居続けると確実に釣れるのは分かっているのだが、仕掛けをすべて作り直すのも面倒だし時刻も17時前後となりやむなく納竿となった。
丁度ハマチ狙いの釣り人と帰りが一緒の時刻になった(タモ網が必要なので自分が終わるのを待っていてくれたのかもしれない!)ので重ねてお礼を言いながら、「恩返し」のために自分もこれからは「釣り人同士の助け合いの精神」を肝に銘じながら帰路についた。
「隣の釣り人さん、どうもありがとう」。
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1 左側12匹前後がクロの良型で約30cm前後、500g~650gでした。
2 無事回収できた使い初めのタモ網のチタン製の枠(径60cm)
3 折れたタモの柄(6.3m)
と き 2008年6月23日(月)、晴れ、海上やや風強し
と こ ろ Y半島K地区神社横の空き地
釣り時間 11時20分~16時50分
汐 中汐(満潮10時、干潮16時30分)
マキエ オキアミ(中粒)1角、ジャンボ2角、パン粉1kg、集魚剤チヌパワー
ツケエ オキアミ(中粒)、サシアミ
釣 果 クロ良型12匹程度ほか中小型合わせて24匹、丸はげ1匹、アジ4匹
メ モ この釣り場は干潮前後がよく釣れる。今後、時間帯を絞ること。