去る6日(土)、およそ1か月ぶりに我が家にお見えになった同じ「AXIOM80」仲間のKさん(福岡)。
我が家のシステムはテレビ視聴用まで含めて3系統あって、いつも何らかの見直しをしているので目新しさが誘引の根源になっているのかもしれない(笑)。今回のケースではJBL3ウェイシステムの改善状況にスポットライトを当てようというのが当方の思惑だったがそうは簡単に問屋が卸さなかった。
11時ごろに到着されてオーディオルームに入られるなりKさんがカバンからドサリと取り出されたのが次のCD6枚。
1950年代に活躍した華の女流ヴァイオリニストたちの「夢の跡」である。つい最近まとめて購入されたそうだが、今日はいつものオーディオ談義よりも音楽で勝負しましょうというKさんの決意の表れに違いないとにらんだ。
「よし、相手がそう出るならこちらにも覚悟がありますぞ」とばかり、今回は「AXIOM80」でたっぷりヴィオリンの音色を楽しもうと腹を決めた。
ちなみに演奏者と曲目を挙げておこう。
ローラ・ボベスコ(2枚) モーツァルトのヴァイオリン協奏曲「4番」と「5番」
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、Vとオーケストラのための「ロマンス」1番と2番
ヨハンナ・マルツィ(3枚) モーツァルトのV協奏曲「4番」、Vソナタ「32番」、ベートーヴェンのVソナタ8番
メンデルスゾーンとブラームスの「V協奏曲」
バッハ無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
エリカ・モリーニ(1枚) チィコフスキーのV協奏曲、タルティーニ、ヴィヴァルディほか
オーディオ・マニアにもいろんなタイプがあって、どちらかといえば音楽寄りの方とかオーディオ寄りの方とか様々だがKさんは明らかに前者である。
昔はJBLやアルテックの大型システムを愛好されたようだが、現在ではシンプルな「フルレンジの世界」にどっぷり浸かられて専ら「AXIOM80」と「ローサーのPM6A」を愛用しながら音楽の方に重心を置かれている。
ボベスコのモーツァルトに始まって、マルツィのブラームスのヴァイオリン協奏曲へと移った。これにはジネット・ヌヴーの名演(イッセルシュテット指揮)があるが、「ヌヴーは私にはちょっと強すぎて」とマルツィの方に軍配を上げられる。
元気をもらうのならヌヴーだが、癒し系統となるとマルツィというのは分かる人には分かることだろう。
ヴァイオリンばかり聴くというのも何なので、途中でボーカルを織り交ぜてみた。名花シュワルツコップ(ソプラノ)の「オペレッタ」。あの独特の鼻から頭の方に抜けていく高音の再生が非常に難しくてシステムの真価が問われるまことに怖いCDである。
「もう(システムが)完成しましたねえ!」と感心しきりのKさん。駆動するアンプは真空管PX25(イギリス)シングルだったが調子に乗って追い討ちをかけるように(笑)、今度は出力管を定評のある「PP5/400」(初期版、英国マツダ)に取り替えてみた。
「これはPX25とはまったく別モノですね~。ぜひ我が家のAXIOM80でレイセオンの250(4ピラー、ナス管)と比較試聴してみたい気がします。」
「いいですよ~。お安い御用です。比較的軽いアンプですから近々持って行きましょう。PP5/400の相手としてレイセオンの250ならまったく不足はありません。私も大いに興味があります。同じAXIOM80仲間のSさん(福岡)にも声をかけてみます。」
さっそくその日の夕方にSさんに連絡をとってみると一つ返事でOKだった。「ローサーのPM6Aを是非聴いてみたい」とのこと。ローサーで思い出したが、「ローサーのPM4A」が現在オークションに出品されていて15万円ほどの値がついており、今日(9日)の夜が入札期限。
おそらくツボに嵌ったら軽く「AXIOM80」の上を行く音質だろうが、何せ鳴らすのがメチャ難しいユニットとして定評がある。それにマグネット部分が強力で重たくて大きいのでマウントしたときに独自の支えがいるほど。もっと若ければファイトを燃やすのだが・・・・。
そのオークションがらみで別件としてKさんに相談に乗ってもらったことがある。
「それはそうと、現在気になるオークションの出品物があって迷ってます。落札期限は今日(6日)の夜です。」と切り出したのが「AXIOM80」のイギリス製エンクロージャー。
現在、予備として復刻版の「AXIOM80」を2セット持っているのでこの2発用のエンクロージャーに収めて鳴らしてみようかという魂胆である。
すると、Kさん「やめといた方がいいんじゃないですか。以前2発入りのAXIOM80を聴いたことがありますが、たしかに量感は増えますが高音域が干渉し合ってあまりいい音ではありませんでした。もし聴くのなら片方の穴を塞いで1発だけとなりますが見た目がどうですかねえ。」と否定的なご意見。
さらに「これだけの音が出てるんですからもう十分ですよ。それに置き場所の問題もあります。」と、追い討ちがかかった(笑)。
「なるほど、それもそうですねえ。それにユニットを縦に並べるのなら分かるのですが横に並べるとなると音像定位の面で問題があるかもしれませんね」。
あればあったで困ることはないのだが、オークションはどうしても欲しいという時以外は止めといた方が結果的にOKであることをこれまでイヤというほど体験してきたので潔く見送ることにした。
さて、最後に聴いていただいたのが「JBL3ウェイ・マルチ・システム」。当初の思惑では本日のハイライトになるはずだったのだが、試聴中はお互いに「・・・・・・」としばらく無言の行が続いた。
「AXIOM80」の後に聴いてもらうとどうも分が悪いようだ。これからお客さんが見えたときは、始めにJBLシステムを聴いてもらうことにしようと固く心に誓った(笑)。
「いつも来るたびに新しい発見があります」と、16時半頃に辞去されたKさんだが、前述の6枚のCDに(自分が)未練たっぷりなのを見抜かれてしまった。
「これらのCDは置いていきますので、近々お見えになるときにアンプと一緒に持ってきていただければ結構です。」
良かった!
法律違反になるのでコピーなんか絶対しませんからね~(笑)。
そして、翌7日(日)は福岡からGさんとNさんがおよそ1年ぶりに我が家にお見えになった。お客さんラッシュ!
以下、続く。