つい先日の日経新聞に載っていたソプラノ歌手「ミレッラ・フレーニ」の訃報記事が目に留(と)まった。オペラファンとして残念なことだが84歳なら天寿を全うしたと言えるかもしれない。
ヴェルディ、プッチーニなど主にイタリア歌劇で活躍し「フレーニ抜きではスカラ座は成り立たない」と、専門誌に書かれていたのを見たことがあるほどの一時代を画した名歌手である。
彼女の十八番(おはこ)といえば、オペラ「ラ・ボエーム」(プッチーニ)の中で最も有名な曲として知られる「わたしの名はミミ」。
たしか収録されていたCDを持っていたはずだがと探してみたら、ありました。
第3トラックに収録されていたので、久しぶりにじっくり耳を澄まして聴いてみた。いかにも声量豊かで、大きな歌劇場向きの遠くまで届くような張りのある歌唱力というのが第一印象だった。
オーディオでいけばウェスタンの「555+ホーン」のような音ですかな(笑)。
彼女の声質はやはりドラマティックな場面でここぞとばかり朗々と謳いあげてくる「イタリア歌劇」に合っている気がした。
ちなみに、人生を狂わされてしまったほど大好きな「テバルディ」にも同じ曲があって、この際とばかり聴き比べてみた。
スピーカーは「AXIOM80」の2発入り!
溢れる涙を流さずに聴いてはいられない人生最高の至福の時間である(笑)。
その結果、「力強さ」では前者、「抒情性」では後者に軍配が上がった。
さて、フレーニの歌唱力は分かったが、ときに可憐さが求められるモーツァルトのオペラではどうなんだろう?
彼女がオペラ「魔笛」の王女役(パミーナ姫:ソプラノ)となって録音したCD盤があってもついぞ不思議はないが、これまで一度もお目にかかったことがない。
ほかのCD盤に「フィガロの結婚」第3幕から「スザンナは遠いのね・・・」が収録されていた。
やっぱり、モーツァルトにはちょっと声質が強すぎるかなあ・・・。
「困ったときは、とにかくその対象物を細分化せよ」ということわざがある。
そこで「ソプラノ」(女性の歌う高い方の声域)を細分化してみると、次のとおり。
✰ コロラトゥーラ・ソプラノ → 最も高いソプラノ(夜の女王役)
✰ スーブレット → 最も軽いソプラノ
✰ リリック(抒情的)・ソプラノ → その次に軽いソプラノ(パミーナ役)
✰ リリコ・スピント → その次に軽いソプラノ
✰ ドラマティック・ソプラノ → 最も重量級のソプラノ
(スーブレット以下の区分は、音色と音質の差であり、音域はあまり関係ない)
ひとくちにソプラノといっても、ご覧のとおりいろんな種類があるが結局、フレーニは「ドラマティック・ソプラノ」ということに尽きるようだ。
やはり、家庭のオーディオ・システムでひっそりと聴くにはもったいない、大きな舞台で実演で聴けば聴くほど光り輝く歌手だと思う。
長年、花形役をこなし、沢山の人たちに音楽を聴く喜びを与えたのだから声楽家冥利に尽きるのではあるまいか。
どうか安らかにお眠りください。合掌
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