「第21回アラントン・ワールドピース・フェスティバル」
英国の6月は一年を通して一番いい季節です。ジューンブライドっちゅう言葉もあるぐらいやしね。天気のいい日は、夜11時過ぎても明るいよ。
だから、アラントン最大の催し〈アラントン・ワールドピース・フェスティバル〉は、毎年6月に行われるわけ。
第21回目の今年は6月23日の日曜日。地元はもちろん、英国全土から多くの方々が訪れ、とても盛況だった。
世界各国の旗が風になびくなか、メイン会場の巨大なテントを中心に、いくつものテントが張られ、書道、茶道、合気道などのワークショップの他、数多くの展示があり、さらに、スコットランドで一番のアイスクリームファームからの出張ショップも開店した。
泊まり込みのボランティアの方々は、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、そして日本など様々な国から30名の方がおいでくださった。まあ、皆さん、呆れるほどよく働いてくださったなあ。ほんとにありがたいことだよね。
アラントンのサポーターの東京の平和財団からは、Y女史が代表として来てくださった。女史と言うには、まだお若い彼女、夜遅くアラントンに到着したんやけど、翌朝、なんとトイレ掃除をしておられるんや。時差ボケは?
さらに彼女、ウマへのお土産だと言って、なんと一升瓶と四号瓶入りの、得難い超々高級日本酒を、わざわざ重たい目をして持って来てくださった。これにはもう言葉もなかった。主賓と言っていい彼女だったけど、まあ、よく働いてくださった。
さらに、同じ平和財団に勤務するMさんは、なんと、幼い子供達も含め家族総出で来てくれたんや。これもとても嬉しかったなあ。
メイン会場のステージでは、スコットランドでは知らぬ人のいないハープの名手ウェンディさんを始め、地元のいくつかのバンドの演奏が流れ、そして、メインイベントのフラッグセレモニーではすべての方が参加、これ以上ない盛り上がりを見せました。ほんでね、毎年好評のウマ式ジャパニーズカレー、なんと二つの大鍋が空っぽになっちゃったのよ。
アラントンが、この地でNGOとしての平和活動を開始した頃、例のオウムの事件があり、アラントンの近隣では、〈怪しいオカルトが来たのとちゃうか?〉との風評があったと言う。
アラントンの主要スタッフ、キャロライン、ジェシカ、グレンダの三名は、過去を語らないんで憶測するしかないんやけど、彼女たちの苦労は並大抵じゃなかったと思う。
それが今、スコットランド政府や、地元のダンフリーズ市も全面的に協力してくれているほか、近隣の村の方々も〈お手伝いさせてください〉と、積極的に協力してくれるようになり、アラントン・フェスティバルは、ま、地元の風物詩になったと言えるんじゃないかな。
何年か前、ダンフリーズ市当局からお借りした大きなテントを返しに行ったことがあったけど、なんと〈そのテント、アラントンで保管しておいてください〉だって。つまり実質的には、市からの寄付なんだよね。
前述したように、第21回目の今回も、実に多くのボランティアの方々の積極的な協力を得た。
アラントンは初めてだとおっしゃるドイツから来られたラモーナさんもよく働いてくれた。誰もが〈彼女、美人ねえ〉と言う明るいブロンド・ロングヘヤーが印象的なラモーナさん。
でっかすぎて流しのシンクに入んないカレーの大鍋二つとご飯の大鍋、計三つの重たい大鍋を、彼女は綺麗に磨き上げてくださった。
だけど、このラモーナさんには一つ問題があった。ウマにとってちょっと困る問題やった。ま、それはあとで書く…
アラントンフェスを翌日に控えた6月22日、超忙しいさなか、ディナーの準備を終えたウマは、もうクタクタでさあ、自分の部屋でビールを飲んでホッと一息ついていたのよ。ところが次女のらうざ(ローザ)が〈おとーちゃん、皆がおとーちゃんにダイニングルームに来て欲しい言うてるよ〉〈疲れて寝てる言うといて〉〈でも、ちょっとだけ来て〉
で、よっこらしょ、とダイニングルームへ行き、ドアを開けた瞬間びっくりした。誰かのピアノ伴奏で全員がハッピーバースデーの大合唱!エッ?
その日が自分の誕生日だなんて、すっかり忘れてましたがな。誰がいつ焼いてくれたのやら、イチゴとチョコレートがたっぷりのゴージャスなバースデーケーキにキャンドルが…。いやあ、驚いたなあ。
誰かが〈ウマ!いくつになった?〉と聞くんで、〈忘れた〉言うといた。
さて、前述のラモーナさん…
彼女がキッチンに入って来た時、ウマはその姿を見て、エーッ!
な、なんと、ぴっちりした、膝上20センチの、しかも薄〜いタイツ姿、さらに、あんたな、胸の谷間が、もう、しっかり見えるタンクトップやねん。こ、これにはめちゃ困った。そんな姿でおいらの周りをウロウロされたら、あんた、もう…
ウマはな、ほんまにほんまに、ほんまに困っちゃったのよ。
で、あゝ困った困ったと、玉ねぎを刻んでいた時、キッチンに入って来たローザが言った…
「おとーちゃん、なんでニコニコしてんの?」