つい先日のこと、94歳で亡くなった母の13回忌の法事を行ったが逝去したのは丁度、東北地方を襲った大地震(2011年)の年だったので、もうあれから12年余が経ったことになる。
親族は「長兄」と「姉」が福岡市、亡き次兄の妻が神戸市と遠距離で、しかもそれぞれ高齢で身体の負担も大変なので家族3人での「こじんまり」とした法要だった。
作家の村上春樹さんが「生きてる人間が亡くなった人にしてあげられることはただ一つ、それは思い出してあげることです。」と、何かの本に書いてたが、自分の場合、30年近く同居した母のことを今でもときどき思い出す。
最後の4年間は認知症が進んでたいへんだったけど、「もっと自分に出来ることはなかったかなあ。おっかさん、ゴメンねえ・・。」と、悔やむことが多い。
さて、法要といえば僧侶の出番だが、お見えになったのは年の頃まだ20代ぐらいの若いお坊さんだった。
声も溌溂としてよく通り、まるで20分間オペラのバリトンを聴いている気分だった(笑)。
いつぞやのブログで取り上げた書籍「肺炎が嫌なら喉を鍛えなさい」で、発声の重要性が指摘されていたが、年から年中「お経」を上げている僧侶さんたちはきっと肺炎には縁遠いことだろう。
僧侶といえば何といっても芥川賞受賞作家の玄侑宗久(げんゆう そうきゅう)さんを思い出す。
氏のエッセイは、自分にとっては珠玉のような存在で随分学ぶべきものが多い。(長編はやや難解なので自分の読解力ではとても歯が立たない)。
以下は先年の「文芸春秋」に収められたもので、演題は「僧侶が長生きするワケ」。
とある大学が発表した職業別寿命一覧表によると「僧侶が長寿の第1位」になっている。その理由を玄侑氏は自ら次のとおりに分析されている。
1 僧侶の主な仕事であるお経、座禅、念仏などの効果によるもの
中公新書「ゾウの時間 ネズミの時間」によるとあらゆる動物は5億回の呼吸を終えると大体死ぬそうだが、僧侶の大事な日課であるお経、座禅などは呼吸数が非常に少なくてすむ。
2 「動く仕事」と『動かない仕事」のバランスが良く取れている
3 ストレスを引きずらない
「怒り」「悲しみ」「憂い」「思い」、こうした感情を数多くの葬儀に出ることや座禅、瞑想体験等によって引きずらない能力に長けている。
4 「楽しさ」「リラックス」を目指す思考法
「苦」の反対語は「幸せ」ではなく「楽」である。「幸せ」は「お金」「長寿」「愛情」などに左右され、求めてもきりがない。常に目標が上方修正され「幸せ」を感じ取る暇がない。
一方「楽」というのは「安楽な状態」でわかるように身体状況を伴い、「足るを知る」という感情面での基盤も重要となるので限度がある。そして、僧侶は年をとるほどに深い「楽」を味わい、最も円熟するのは、死ぬ間際なのだと思考している。
以上、僧侶が長生きするのは主にこの4点の理由によるものだと指摘してあるが、ややテレ気味に茶化してある印象を受けたものの「幸せ」と「楽」との違いは流石に僧侶ならではの独自の視点で、一般人にはなかなか気が付かないポイントのように思える。
自分も「幸せ」とは「つかの間の幻想」に過ぎないと思っているが、よく考えてみるとこれはオーディオにも当てはまるのかもしれない。
たとえば、いろいろシステムを弄ってみた結果、とても気に入った音が出てこの上なくハッピーだと思っても、ほんの一時のことでしばらくすると何だか色褪せてきてしまうのが常である。
いくら「いい音」を追いかけてもきりがない・・。(それがまたいいのかもしれないが~笑)
音楽とは本来リラックスして楽しむはずのもの・・、早くオーディオから足を洗って音楽に専念したいものだが、歳をとればとるほど「音楽を聴く」よりも「オーディオ弄り」の方が楽しくなってくるのはいったいどうしたことか・・、ヤレヤレ(笑)。
最後に「チャットGPT」がこういう「禅問答」にどう答えるか、興味津々で、「幸せと楽の違いは?」と訊ねてみた。
すると、こういう答えが返ってきた。
「幸せ」と「楽」という日本語の言葉は、感情や心の状態を表現するもので、両者は異なるニュアンスを持っています。以下に、その違いを説明します。
1 幸せ (しあわせ):
☆ 幸せは、長期的な満足感や、人生全体としての充実感を意味します。これは深い内的な満足感や安定感に関連しており、生活の質や関係、成果など多くの要因が影響してきます。
☆ 幸せは、単なる瞬間的な喜びではなく、より継続的で根深い感情としての側面があります。
☆ 例: 家族との良好な関係、自分の人生の目的を見つけたと感じることなど。
2 楽 (らく):
☆ 楽は、物理的または精神的な努力や困難を避けることによる安心感や快適さを意味します。
☆ 瞬間的、または短期的な喜びや快感に関連しており、快適さや容易さを重視することが多いです。
☆ 楽は、避けたい痛みや不快からの逃避や、簡単な方法を取ることに関連している場合があります。
☆ 例: 重い荷物を持たなくていいこと、疲れたときに横になることなど。
このように、幸せと楽はそれぞれ異なる種類の感じ方や経験を指す言葉です。ただし、どちらも人が求める感情や状態であり、どちらも重要です。
以上のとおりだが、間違いではないもののいつものように「痒いところに手が届かない」解答かな、これは・・(笑)。
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