前々回の「秋の陣~残り物に福あり?」の続きです。
我が家で最後(6番目)に登場したのがこれ。
ご覧の通り久しぶりの「3ウェイ」への挑戦となった。
ここ10年あまり、なぜフルレンジや2ウェイに拘ってきたか、言い換えると3ウェイを忌避してきたかといえば、「音像定位」を重視するうえで、各ユニット間の周波数帯域の重なりを警戒してきたからである。
たとえば3ウェイの場合、クロスオーバーを500ヘルツ、7000ヘルツに分けるのが一般的だが、するとどうしてもそれらの帯域付近で各ユニットの音が重なり合って(音が)濁りやすい傾向がある・・、「くどい! 分かりきったことを言うな」とお叱りを受けそうだけどね・・(笑)。
しかし、今回ばかりは背に腹は代えられない。まあ、せめて耳にとって鈍感な帯域ともいえる200ヘルツあたりで低音域をハイカットしているのでその辺が救い、かな~。
とにかく、理屈はどうであれオーディオは実際に音を聴いてみないと、いいも悪いもなし、「結果がすべて」だと思っている。
はじめに、スコーカー(200~6000ヘルツ)だけ鳴らしてみたところ、何だか透明感が足りないなあというのが第一印象だった。
「やっぱりダメか」と思いつつ、アンプを代えてみるとこれがまあ、まるで生まれ変わったように「いい音」へ変貌を遂げたのだから驚いた。
これまで「スコーカーなんて」と、内心バカにしてきたのだが、この帯域だけで十分音楽が聴けるじゃないか!
この帯域は人間の耳にとって核心部分を占めているんだ・・、これまた「今さら何を言ってるんだ!」と外野席から叱声を浴びそう(笑)。
で、「当たり」のアンプがこれ。
我が家の9台のアンプのうち一番お値段が安くて常に控えに回っているアンプがいきなり存在感を発揮したのだから「うれしい悲鳴」以外の何物でもない。
たとえて言えば、二軍の選手が日本シリーズでいきなりレギュラーに抜擢されて大活躍するようなものかな(笑)。
真空管に馴染みのない方には「ちんぷんかんぷん」だろうが念のため、解説しておこう。
入力段は「6SL7GT」(GEのニッケルプレート)、出力段は「6SN7GT」(レイセオン)、整流管は「GZ32」(英国:ムラード)という何の変哲もない組み合わせ。
出力トランスが名門「TRIAD」(トライアッド)なので、それが効いているのかもしれない。
そもそも、このアンプの弱点は、第一に低音域が薄い、そして高音域が蒸留水みたいで艶とか色気が足りない、といったところだが、結局これらの弱点が帯域の狭い範囲を受け持つ「スコーカー」に起用したことですっかり解消したというわけ。
まさに「〇〇と鋏は使いよう」だね(笑)。
そして、それぞれの帯域にあてがったアンプは「低音域」に「2A3シングル」(VISSEAUX:刻印)を、高音域には「デフォレ471BAシングル」で決まり。
各アンプのボリューム調整を終えて耳を澄ましてみると、「2ウェイ」や「フルレンジ」の時に比べて試聴帯域の周波数帯に音の粒子がびっしり詰まった印象を受けた。言い換えると、音の密度が実に濃い。
懸念した全体的なバランスも良好で、各ユニット間の干渉もあまり気にならない。
「3ウェイ」もまんざら捨てたもんじゃないなあ・・、喰わず嫌いだったのかなあ(笑)。
想像以上の仕上がりに我ながら舌を巻いたと同時に、このシステムに加えてお客さん用の「AXIOM80」があればもう十分かもしれない。
とはいえ、自分の耳はあまり当てにならないので(笑)、仲間の率直な意見を待つとしよう。
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