お読みになった方も多いと思うが、先日の読売新聞の紙面に次のような記事があった。
「ジョン・メイナード・ケインズ」(英国:1883~1946)といえば「ケインズ学派」を成したほどのマクロ経済学を象徴する「巨人」だが、株式投資に当たって当時「美人投票」という説を唱えていた。
「自分が最も優れていると考える企業の株ではなく、他人から最も人気を集めそうな企業の株を推し量り、勝馬に乗るのが有効だとする考え方。当時、英国の新聞紙面上で行われていた美人コンテストにたとえた。」
これには次のように分かりやすい実例があげられている。
小見出しは「買い物 他人の好みで」
「良いブランドだから、他の人も欲しいと思うはず。東京・銀座で都内に住む女性が価格を気にするそぶりを見せずに約2万円のパンツを買った。
何度か着て飽きたらフリーマーケットアプリでの転売を考えているという。自分がほんとうに欲しい服より、後で売ることを見越して中古市場で売れやすい服を買う人が増えている~三菱総合研究所~」
とのこと。
そういえば、クルマを購入するときだってそうですね。たとえば「色」だが、「ホワイトやブラック以外のクルマだと、下取りするときの価格が落ちますよ」と販売員さんからアドバイスを受けたことが何度もある。そういうわけでもないが、これまで乗り継いできた車はいずれもホワイト一色(笑)。
さて、これを前置きにしていつものようにオーディオの話に移ろう。
我が家のケースだが、オークションで大いに惹かれた機器を落札するときに、万一ハズれた場合でも中古市場で高値がつきそうかどうかをまったく考慮しないと言ったら嘘になりますな~。
以前のブログ「オークションの不思議な法則」でも述べたとおり、転売したときは不思議にほぼ手取りが4割落ちの価格になるので、結局「楽しみ賃が4割だった」との話をご記憶だろうか。
たとえば、10万円で落札した機器をしばらく楽しんでから飽きがきて再度オークションに出すと6万円で落札されるので、差額の4万円が楽しみ賃というわけ。
つまり、冒頭の話のような例が実際に自分にもあるわけだが、もちろん基本的には「ほんとうに欲しい」が先行し、それに付随して市場価値が高ければ「言うことなし」というわけで、現実としておそらく皆様もそうだと思う。
そこで、ふと思ったのが「はたしてオーディオ機器の実力がきちんとオークション(中古市場)の相場に反映されているのかどうか」、これは実に興味深いテーマだと思いませんか?(笑)
結論から言えば、オークション市場は流石に「生き馬の目を抜く世界」とみえて、ほぼ正確に機器の実力と相場が拮抗しているように思える。
たとえば、先日の事例としてタンノイの「モニター・シルバー」(口径30センチ)がオークションに出品されていた。
タンノイのユニットは周知のとおりマグネットの部分の色によって「ブラック」→「シルヴァー」→「レッド」→ 「ゴールド」 →「HPD」・・と変遷していくが、巷の噂によると音質もこの順番に沿っているとされている。
実際に福岡市のSさん宅でコーナーヨークに入った「シルヴァー」(口径38センチ)を以前聴かせていただいたが、透明感が際立っていて他のタンノイとはまったく一線を画すものだった記憶がある。
横にあるのは「AXIOM80」である。
というわけで、「このタンノイ・シルバーを値段次第では手に入れてもいいかな、ハズレてもそれほど損はしないだろう」との皮算用で注意深く入札価格の推移を見守った。
落札当日まで3万円前後だったので、あわよくばと乗り気になっていたら、何と直前からみるみる上がって最後は33万円へ~。SPユニットとしてはかなりの高値で、もっと若ければ参戦したけどね~(笑)。
やっぱり皆さんはよくご存じで、実力というか評判が市場価値ときちんと見合っていることに感心した。
ただし、そういうシビヤ~な世界でも穴場というか「お買い得」もあるように思える。
一言でいえば、それは「機器の図体」に尽きる。
どういうことかといえば、市場価値の観点から我が家のオーディオ機器を見回すと、いずれもドングリの背比べでそれほど自慢できるものは無い。
この20日(土)にお見えになった「Y」さんですら、我が家のオーディオルームを見回しながら、「いざ売るとなると二束三文でしょう!」と辛口を宣うたが唯一ユニークと思えるのがウェストミンスターの大型の箱である。
重さが100kgを越えるうえ、大きさからいっても現在の住宅事情にはまったくそぐわないし、中身の方もオリジナルからすっかり改造しているのでオークションでの価値はほとんど無いに等しい。
ところが、実際に使ってみるとこのくらい強力な武器も無い。
どんなにいろんな手立てを講じたとしても、大規模編成のオーケストラを聴くとなると、結局大きな箱の威力の前には無力感を感じてしまうことが再々である。
少なくとも我が家ではワーグナーの音楽はこの箱じゃないと聴けない・・。
したがって、オークションで大きな箱を見つけたらお値段もさほど伸びないことだろうから、事情が許す限り真剣に検討するに値すると思いますよ~。
もちろん、最後はあなたの熱意次第ですけどね~(笑)。
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