今年の夏は近年にない猛暑が続いているような気がする・・、外に出かけるのも億劫なのであとはお決まりの「オーディオ弄り」か「読書」に落ち着く。
図書館の新刊コーナーで本書を見かけたときに、中学時代の同級生に「日下部」(クサカベ)君という野球のうまい子がいたことを思い出した。
そういえば「日下」をなぜ「クサカ」と呼ぶんだろう?
訓読みとか音読みとかは無縁の話で、どう考えても「日下=クサカ」とは読めない。
本書の著者によると、茨城県を中心としたエリアに「草」という地名が異常に多いことに気付く。現地に出かけて「道の駅」のトイレの通路の壁の掲示板に現地の方言として「コサ(日陰地」という言葉が紹介してあった。
「私はこれを目にした瞬間、数十年来の疑問が解けたと思った。コサとクサは音がごく近い。地名に付く草とはコサ(日陰地)のことにほかなるまいと直感した。」
そこを出発点にして「日は二日(ふつか)、三日(みっか)というときのカ、それがクに変わる。下はサガルそれがサカとなり、結局「日下=クサカ」となるのだ。」へ辿り着くという次第。
ほかにも
「鳥居のトリとは境のことである」、「卑弥呼のような女性のことを大市(おおいち)といった」、「国は山に囲まれた土地のことだった」、「山中と中山は同じか、違うか」、「ツマ(妻)の原義は「そば」「へり」である」、「アオ、イヤは葬地を指す言葉であった」、「賽(さい)の河原とはどんなところか」
と、興味のある地名の由来が満載だった。関心を持たれた方はご一読を~。
オーディオ愛好家の中で「寺島靖国」さんを知らない方は「もぐり」と言っていいかもしれないですね。
その寺島さんも御年「84歳」(2024年現在)になられたようで、「オーディオ愛好家は長生きする」の見本のような存在になって欲しい気がする~(笑)。
中身の方は相変わらずオーディオに熱心に勤しんでおられるご様子だが、やはり寄る年波には抗えず、不眠症など体の不調に対する健康対策がかなり盛り込まれている。
本書は、2023年の7月号で惜しくも休刊した「レコード芸術」に5年7か月にわたって連載された原稿を1冊にまとめたもので、その折のタイトルは「クラシックファンのための音のいいJAZZ CD」。
ちなみに、クラシック音楽の退潮は「レコード芸術」の休刊に象徴されると当時思っていたけど、もう歯止めがかからないのじゃないかな~。
「IT」などの「スピード重視」の時代に「悠長なクラシックなんて・・」と敬遠される一方だろう。時代に合わないといえばそれまでだが、実に惜しいこと・・、ただし「いい知恵」は浮かばないけどね(笑)。
本書の46頁に興味のある事柄が記載されていた。
「オーディオはケーブル選びに始まり、ケーブル選びに終わる。これ私の座右の銘です」。アハハ、そう来ましたか。
レベルが高いシステムほどケーブルによる音の変化が「わかりやすい」のも事実である。
おいらも一時ケーブル選びに嵌ったことがあるが、現在は勝手に自分宛てへの卒業証書を発行している。ほら、静岡県の「T」さんに作ってもらった「LANケーブル」・・、何といってもお値段がリーズナブルだし、性能にもまったく不満はない。
ときどきメールをいただく方々の中で「LANケーブルにして良かった!」という方がいらっしゃるぐらいだから、これからも同好の士の中で深く静かに浸透していくことだろう。「T」さん、お忙しくなるだろうけどゴメンね・・(笑)。
最後はこの本。
表紙の裏にこういうことが書かれてあった。
「コカ・コーラとコカイン、フォードとヒトラー、シャネルとナチス・・、あなたの身近にある、世界を代表する9つの有名ブランドの誕生と成長に隠されたその黒い歴史とは。創始者たちの偉大な業績の陰にあった知られざる物語が次々と明らかに」
ざっと、ひととおり目を通してみたが、会社の繫栄と個人の幸福とはあまり関係がないみたいで、いくら栄華を極めてみても、自由な時間に恵まれて好きな趣味に没頭できることに優るものはないという気がしてきましたぞ(笑)。
象徴的な物語が「ウィンチェスター~幽霊への発砲~」だった。
その昔「ウィンチェスター銃”73」(1950年製作)という映画があった。主演は大好きな俳優「ジェイムス・スチュアート」で、何万丁もの銃が製作される中でたまたま命中率が極めて高い銃が出来る、それが1873という番号が付けられたライフル銃。
その名銃が賞品となった大会で、スチュアートが見事に勝ち抜く。その選抜方法がふるっていて、空中に高くトスした硬貨を銃弾で打ち抜くというもの。スチュアートはその硬貨のど真ん中の部分に貼ってあった切手を見事に打ち抜くのだからまさに「神業」だった。
ブログ主が幼少の頃だったが、いまだに鮮明に記憶に残っているくらいだから、よほど強烈な印象だったのだろう。
それはさておき、本書の中のウィンチェスター銃にまつわる話も、巨万の富を築きながらも悲しくて哀れな結末で終わる。
本書には、全編を通して「人間の幸福っていったい何だろう・・」、という問いかけが通奏低音のように流れている気がする。
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