以前のブログ「フルレンジ+ツィーターの組み合わせ」でオーディオ仲間のAさん(湯布院)が、ナショナルの8PW1(通称「げんこつ」)に市販のツィーターを加えて、楽しんでおられる話を書いた。
その後、Aさんにお会いするたびに「大掛かりなシステムは今のところまったく聴いてません。このシンプルな組み合わせばかりを毎日のように楽しんでますよ。」と仰る。周波数を分割しないことによって得られる自然なハーモニー感がたまらなくいいとのこと。
「オーディオはフルレンジに始まって、フルレンジに終わる」という言い伝えを聞いたことがあるが、似たような諺に「魚釣りはフナ釣りに始まって、フナ釣りに終わる」がある。
ご存知の方も多いと思うが、その意味とは、
「フナ釣りで入門し、海、川などさまざまな釣りを体験して最後には又フナ釣りの、釣りの原点としての面白さ、奥の深さに気づきフナ釣りに戻ると言う事です。ひと通りの釣りを体験した、老釣り師は、安全面、体力面から言ってもマブナ釣りに戻ると言う現実的な面もあるのではと思います。」
Aさんのように全国津々浦々のオーディオ巡礼を通じて豊富な場数を踏み、軽く家1軒分を越えるほどの投資を(オーディオに)注ぎ込んでこられた方が、改めてフルレンジの奥の深さに目覚められるというのは、本当にゆゆしきことだと思う。
こういう身近な事例を目の当たりにすると、我が家の「フルレンジ」ちゃんたちにも頑張ってもらわねばという心境になってしまう。
現在、テレビ視聴時用として使用しているのがリチャードアレンの「ニューゴールデン8」だ。手軽に利用できる口径18センチの代物で自作なのでまことにお粗末なツクリのエンクロージャーに収めているが、我が家の第三システムとして重宝している。
別段、音に不満はないのだが、そこはそれAさんに触発されてマニア特有の欲の深さとでもいうべきか、先日思い切って手持ちの「AXIOM301」ユニット(口径30センチ)に取り換えてみた。
まったく試験用として遊び程度の感覚で聴いてみたところ、これが実にいい音がする!
あの「AXIOM80」に通じる透明感が紛れもなく存在していた。高音域にはJBLのLE85をホーンなしの裸で付け足した。ローカット用のコンデンサーは0.5μF(マイクロファラッド)だから、計算上は4万ヘルツで人間の可聴帯域外だが、これが有るのと無いのとでは大違い。
これで三日ほど聴いてみたが、あまりにも好みの音がするものだからさらにまた欲が出てしまった。こうなればもう強欲というほかない(笑)。
エンクロージャーの開口部が口径18センチ用なので、気になって仕方がないのでこれを30センチ用に改造するためにジグソーを持ち出して、バッフルの穴を大きくした。半日ほどかかってようやく完成。部屋の中で作業したものの、廊下にまで木くずが散らばって、夕方に帰ってきた家内から大目玉をくらった(笑)。
ユニットの大きさに比べてエンクロージャーの容積が足りないのは一目瞭然だが、な~にとりあえず「仮の姿」というわけである。
台の上に、さらにわざわざ空間を設けているのは、エンクロージャーの真下から背圧を逃がすために縦2センチ×横30センチほどのスリットを新たに入れたから。
さあ、これで聴いてみると、これがまた一段と良くなった感じ!しかし、「井の中の蛙」になって、独りよがりの世界はあまり好ましくない。
折しも、4日(日)の午後からオーディオ仲間(大分)が3人やって来て試聴会を予定しているので、はたしてどういう鉄槌が下るのか、まことにグッドタイミング!
以下、続く。