この元旦に神社にお参りした時の「7つのお願い」をご記憶でしょうか。
「お前の勝手だろ、知ったことか!」と返されるのがせいぜいだが(笑)、その中の一つ「面白い本やドラマにもっと出会えますように」がさっそく実現しました。
経緯を述べてみましょう。
つい先日のこと、面白いミステリーを読みたいものだがと、いそいそと図書館に出かけた。
参考にしたのが年次版の「このミステリーがすごい!」だが、最新の「2025年版」は、「まだ図書館が購入していない」 or 「予約者が殺到してお鉢が回ってこない」・・、したがって「2024年版」の「ベスト10」をメモして出かけたところ、見事に読みが当たった。
上位にあった「木挽町(こびきちょう)のあだ討ち」がそれである。
作者もタイトルもまったくの初見なので先入観なしに読み始めたところ、初めの1/3ほどは少々退屈気味だったが、それを過ぎてから俄然リズムに乗ってきてストーリーの展開に強力に引きずり込まれてしまった。
本書の解説にはこうある。
「疑う隙なんぞありはしない、あれは立派な仇討ちでしたよ。
語り草となった大事件、その真相は――。
ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙はたくさんの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者だというひとりの侍が仇討ちの顚末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。
新田次郎文学賞など三冠の『商う狼』、直木賞候補作『女人入眼』で今もっとも注目される時代・歴史小説家による、現代人を勇気づける令和の革命的傑作誕生!」
たしかに「令和の革命的傑作」に恥じない内容だと思いますよ~。
主人公の「過酷な運命」と、取り巻く人たちの「薄幸と隣り合わせの厚い人情」、そして「誠実」さとが見事に絡み合って最後の「真相」に収斂していく展開は見事というほかないです。
ブログ主もすっかり騙されました! キーワードは初めから終わりまで「お芝居」の一言に尽きます!!
ただし、個人的にはこの作品を単なる優れたミステリーだけで片付けるのはもったいないような気がするのも事実。
なぜかと言えば「文学的な香り」の方が「ミステリーの雰囲気」を確実に上回っているからだが、何と、この本は後にあの「直木賞」と「山本周五郎賞」をダブル受賞していることがわかって二度ビックリ・・、やっぱりねえ~。
ネットから「読者レヴュー」を3件ご紹介。
一件目
「若侍が立派にあだ討ちを成し遂げたいきさつを、現場近くの芝居小屋の人々にそれぞれ聞いて回るある人物。諸々わけありで芝居の世界に流れついた、答える人それぞれの来し方で綴られる短編ひとつづつにも充分な読みごたえがあるのだが、積み重なっていくピースであだ討ちそのものの真相が浮き彫りになるという構成が見事。じんわりと染みる読後感。とても良かった。」
二件目
「木挽町の芝居小屋で働く人々が語り手となって、それぞれの人生や仇討ちのことを語っていく。テンポの良い話し言葉が楽しくて、江戸の町の活気や芝居小屋のガヤガヤした雰囲気を想像しながらぐいぐい読めた。
芝居小屋の面々は過酷な環境に生まれついて必死で生きてきた者もいれば、武家に生まれても心の中で葛藤し続け、やっと自分らしい生き方に出会った者も。表面だけでは分からない、悲しみ切なさを抱えているからこその優しさや温かさが語り口から滲み出ている。 そして人情と武士道との葛藤で苦しんだあだ討ちは、素晴らしい芝居で一件落着!」
三件目
「なるほど、よくできたとても面白い一冊でした。タイトルの「あだ討ち」や章タイトルの「一幕」「二幕」にも改めて納得。大きな悩みを持ちながら仇討ちのために上京した主人公菊之助が芝居小屋の面々の異なる生き様に触れることで成長している。
一人称語りはどうしても俯瞰して読むので序盤は少し入り込みずらかったけど、義兄との泣き笑いのエンディングが最後までいかにも時代物っぽくて、雰囲気を堪能できるグッとしまった良作でした。事の顛末を亡き父にも伝えたい!」
以上のとおりです。ご一読されれば「心が洗われる」こと間違いなし・・、この世知辛い世の中で一服の清涼剤をぜひ味わってほしい!
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