前回からの続きです。
2015.10.20付のブログの末尾で「音楽鑑賞においてモーツァルトとバッハは両立しない」なんて、あえて挑発的(?)なことを記載したところ、さっそくこれに反発するかのように読者のYさんから次のようなメールが届いた。
タイトルは「モーツァルトとバッハ」。
「ブログ 拝読しました。
ショルティの「魔笛」のSACD、非常にお気に召したご様子で、本当に良かったです。やはり 最高峰の機器で聴く アナログ最盛期の デッカの録音は 別次元の「音」なのでしょうね。私も欲しくなりました(笑)。
私も モーツァルトの音楽が大好きで、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス 等と共に 私のCDライブラリーの中核をなしています。「魔笛」のCDも ショルティ旧盤、スウィトナー盤、サヴァリッシュ盤、ベーム新盤、クイケン盤、カイルベルト盤などを聴いています。(敢えて 私の好みを挙げるとすれば、スウィトナー盤でしょうか…)
バッハの作品も 大好きですよ(笑)。もちろん 「マタイ」 「ロ短調ミサ」 ヴァイオリンやチェロの「無伴奏」といった"大作"も良いのですが、「二つのヴァイオリンの為の協奏曲」、ブランデンブルク協奏曲の「第5番」、チェンバロ協奏曲の「第5番」等の協奏曲作品は 美しいメロディーが出てくる、"気軽"に聴ける曲として よく聴いています。
もちろん、好き嫌いや 考え方は 人それぞれですし、他人がとやかく言う事は出来ないのですが、エベレストやヒマラヤ山脈に"挑戦"するよりも、久住(くじゅう:大分県)の山々に登って 大自然を満喫するのも、"アリ"ではないかと思います。
勝手な事を書いて、申し訳ありませんでした。バッハとモーツァルトの音楽を愛する、"変人"の 戯れ言 だと思って、目を通していただければ幸いです。」
以上のとおりで、我が浅慮を軽くたしなめられた感じだがむしろ爽快感の方が先に立った。魔笛のスウィトナー盤をお好きとは相当「通」の方であり、これほどの魔笛ファンは初めてで同類に接した喜びに心底うれしくなった。
しかも、モーツァルトとバッハを(高いレベルで)ちゃんと両立させている方がいるんだからやっぱり世間は広い!(笑)
こういう実例を目にするとバッハに再びチャレンジする元気が出てくるから不思議(笑)。たしかに、音楽鑑賞は山登りと一緒で初心者が最初からエベレスト級の山に登ろうなんてどだい無謀な話かもしれない。
さっそく、近場の山に登るつもりでYさん御推奨の「ブランデンブルグ協奏曲」を聴いてみることにした。
そういえば、ずっと昔の「ショパン・コンクール」(1985年)で優勝した「ブーニン」がこの曲を激賞していたのを思い出した。どこかに新聞の切り抜きがあったはずだがと、ガサゴソと探してみるとあった、あった。
昨日(26日)、じっくり聴かせてもらったがマタイ受難曲などに比べると親しみやすくて、これならバッハの森に1~2歩ほど分け入った感じが持てた。
とはいえ、あの天馬空を駆けるような自由奔放なモーツァルトの音楽に比べるとバッハは何と言っていいのか「線香臭い」と言うと、叱られるかなあ~。そういう異質感は拭えそうもなかった。無信心の人間には、まだまだ時間がかかりそう(笑)。
しかし、これは自分に限ってのことかもしれないが、若い頃とは違って段々年齢がいくと、クラシック音楽を聴くときにはいちいち「動機づけ」が必要となるが、こうしていろんな形で外部から曲目を提示してもらうと刺激になって大いに勉強になる。
これにあやかって、次に登場するのが今度は女流ヴァイオリニストのシュタインバッハーが弾く「ヴァイオリン協奏曲3~5番」(モーツァルト)。
前回のブログでご紹介させていただいたKさんのホームページで「2014年のベスト1」と激賞されていた新盤である。
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲のSACD盤とくれば買わざるばなるまいて(笑)。HMVネットでさっそく入手した。
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は1番~5番まであるが、聴きどころは4番と5番の第二楽章にあると思っている。「音楽史上もっとも霊妙な美しさを湛えている」と称えられているが、モーツァルト独特の美しくて儚い旋律には思わず言葉を失う。
これまで世評高いグルミュオーをはじめ、クライスラー、オイストラフ、ハイフェッツ、オークレール、レーピンなどいわゆる一流どころを熱心に聴いてきたが、シュタインバッハーという奏者は初めて聴くので興味津々。
まず横顔をネットから引用して紹介しておこう。
日本名は「アラベラ・美歩・シュタインバッハー」で、父はドイツ人、母は日本人。1981年生まれ(ミュンヘン)だから当年とって34歳、テクニック的には脂の乗り切った年齢である。使用している楽器は日本音楽財団より貸与されている1716年製ストラディヴァリウス「Booth」。
演奏も期待に違わず良かったが録音の秀逸さにも驚いた。我が家のCD在庫の中では「AXIOM80」にもっともふさわしい音楽ソースといっていい。末永く愛聴盤になりそうだ(笑)。
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