マークレヴィンソンのプリアンプ(「NO.26SL」)のことでオーディオ仲間のMさんと相談していたところ、耳寄りな情報が入った。
「オークションにアキシオム80が出品されているの知ってる?」
「エッ、それはたいへん。値段はいくらになってましたか?」
「8万円だよ。しかし、入札者が何と70名だ!」
「思ったより安いですね。しかし、落札間際になると競り合いが凄いでしょうねえ」
早速ネットオークションを開いて検索。
すぐに見つけ出した。何と出品者は最低価格を設けずに千円でスタートという気前よさ。
もしスペアを持っていなければ是が非でも入札に参加するところだが、あいにく千葉県のSさんから一昨年の6月に1ペアを譲ってもらっているので今回はあっさり見送ることにした。
こんなSPユニットをスペア以外に余分に死蔵するのは罪悪に近い。たとえて言えば滅多にカギを開けない倉庫の中で名画を保管するようなもの。
それにしてもこのユニットがオークションに出品されるなんてまったく想像できなかった。要らん世話だが出品者はどういう理由で手放されるのだろうか。
「音質に飽きがきた」「低域に不満がある」「高域が鋭すぎる」「故障がち」あるいはストレートに「換金したい」など。
もし音質に不満があるのなら、いかようにも工夫が出来るSPユニットなので是非思いとどまるようにとお節介をやきたいところだが「換金」目的だと仕方がない。
それだと業者に出すよりもオークションの方が値段が上がって大穴が出る可能性があるので分かる気もするが。
とりあえず以前から熱心に欲しがっていた福岡のKさんに連絡してみた。Kさんは我が家に試聴にお見えになったとき、すっかり「アキシオム80」にノックアウトされた方。
ちなみにこの出品者はこれまでの取引が400件以上なのに悪い評価がひとつも無いというのもKさんに連絡した理由のひとつ。
もし落札できたとしても、でたらめの出品者にでも当たれば、Kさんから恨まれるのは当方なのでこういう連絡は慎重にならざるをえない。
「やあ、お久しぶり~。あれからアキシオム80は見つかった?」
「教えていただいた東京の○○オーディオに連絡したところペアで35万円と言われました。拡大写真を見せてもらいましたが程度がイマイチでしたので購入しませんでした」
「35万円とはいくらなんでも法外だな~。まあコーン紙が違う初期のユニットかもしれないけどね。それは別としてオークションにアキシオム80が出品されてるよ。よかったら覗いてご覧。今のところ8万円だけど入札者が70人!」
「そりゃあ、相当競り上がるでしょうねえ。しかし、落札できたとしてもボイスコイルとか大丈夫ですかね。ちょっと程度が心配ですね。」
「もし悪かったときは、岡山の専門業者に修理してもらえばいいよ。僕は既に2件修繕してもらったけど、うまく直してもらったよ。」
「そうですか、早速ネットを見てみます。」
たしかにKさんのように不安が先に立つのも分かる。出品者の顔の見えないオークションとはそういうものだが「虎穴に入らずんば虎児を得ず」なのでこの辺は難しいところ。もうほとんど運試しのようなものだろう。
ちなみに、このオークションの写真と紹介記事を掲載させてもらおう。
写真を見ていただければ分かる通り、かなりの美品になると思います。
「エッジも紙?」という表現から、この方は「アキシオム80」のことを知らない方だと分かる。おそらく身内の方にご不幸などの事情があって売りに出されたもので、これは名器が世に出る典型的なパターンかなあ~。
さて、改めての個人的な話だが、この「アキシオム80」の魅力についてはいまだに語りつくせない思いがある。
このユニットを愛用している方のうち、どなたかのブログに「人生を誤らせるスピーカー」という表現があったが、ほんとうにその通り。
中域から高域にかけての繊細で”えもいわれぬ音色”にひとたび魅了されると、もうだめ~。ほかのスピーカーを認めたくないようになる。少なくとも自分はそうだった。
ただし、故障がしやすい上に鳴らせ方が難しい極めて神経質なユニットなのでいつも気苦労が絶えない。
まるで毎日ご機嫌を取り結びながら聴いているようなもの。子供は手がかかるほど可愛いというが・・・。
このユニットをうまく使うためのノウハウを目的とした「同好クラブ」を以前、ブログで呼びかけたところ、わずかに3~4名の方からメールをいただいたくらいでガックリ。
しかし、今回のオークションで潜在的かつ根強い人気があるのが分かってまずはひと安心。
このユニットの素晴らしさをもっともっと広めていくのが自分に与えられた使命だと勝手に思っているが、このユニットには自然とそうさせるものがあるのが不思議~。