アメリカ大リーグ(MLB)の話だが、日本人選手の落ち着き先も岡島投手のレッドソックス残留を最後に概ね決まった。
イチローはもちろん不動のマリナーズだが、焦点だった松井秀樹は周知のとおり「アスレティックス」に決定。
つい最近のネット情報によると、故障がちの膝の状況が例年になく良いそうで、高校時代の恩師山下監督にも「調子はいい。見ていてください」と強気発言をしたとのこと。
あまり大口を叩かない松井がそれほどまでに言うのならと、今年の活躍が愉しみ~。
松井は昨シーズン中、ソーシア監督から”代打の代打”を送られたりして嫌がらせ(?)をされていたので、まず「エンゼルスの残留はなし」と早くから踏んでいたので予想どおり。
松井がどの球団に行くのか、もしかすると重量級のバッターが不足するマリナーズに決まれば「イチロー」と「松井」の共演が見られ、日本のテレビ局もMLB中継が随分楽になるがと興味深く見守っていたが、やっぱりというかマリナーズが最後まで手を挙げることはなかった。
この球団どうやらイチローと心中することに決めているらしい。
何しろイチローは馬が合わない監督を更迭に追い込むほどの看板選手。監督の代わりはいても、イチローの代わりはいないというわけで、球団は彼の活躍できる環境づくりに余念がない。
取り分け、同じ日本人選手を獲得する場合なんかはイチローの気持ちを忖度(そんたく)して動いていることは間違いなし。
そこに起こった今回の松井の移籍話。
イチローはボールにバットを当てることがうまい天才的な短距離バッター、松井はボールを遠くに飛ばすのがうまい長距離バッターと両極端のタイプだが、野球に対する考え方も性格のほうも正反対ともいえるほど違う。
何もかもが対照的なこの二人の間柄は表面的には「大人の対応」をしているものの、本当はどうなってるんだろうと、これまでずっと興味を抱いてきたが今回の動きを通して透けて見えるものがあるように思った。
まず松井の側から。
昨年12月17日付けのネットの記事にこうあった。
<仰天契約発覚!松井秀トレード拒否権>
アスレチックスと1年契約を結んだ松井秀喜外野手(36)が、契約条項にマリナーズやオリオールズなど6球団へのトレード拒否権を盛り込んでいることが16日、分かった。
マリナーズ、オリオールズ、ブルージェイズ、ロイヤルズ、インディアンス、ツインズ。松井がシーズン中の移籍を拒んだ相手は、ツインズ以外はいずれも近年、厳しい戦いを強いられ、各地区の下位に低迷しているチームばかりだ。
エンゼルスからFAになった今オフも「出場機会」と「プレーオフの可能性」を求めて移籍先を模索した。アスレチックスとの契約条項に、6球団へのトレード拒否権を盛り込んだのは、松井らしい選択でもある。
トレード拒否権は松井本人の意思で破棄できるとはいえ、“日本人コンビ”の実現は難しそうだ。
以上のような記事だが、〔松井が)マリナーズなどへのトレード拒否権を〔契約書に)盛り込んだ理由として「下位に低迷しているチーム」となっているが、果たしてこの理由を額面どおりに受け取っていいものかどうか。
勝手な憶測だが「イチローが居るマリナーズには行きたくない」という松井の本心が見え隠れするといえば”うがち過ぎ”だろうか。
次にイチローの側から。
10年連続200安打達成という前人未到の大記録を携えて、今や「野球殿堂」入りが確実になり、MLBの球史に残る大選手になったイチロー。
年始早々の元旦のNHKーBS1で特集番組があった。
「イチロー 遥かなる旅路~大リーグ10年目の現在地~」と銘打って、19時から20時50分までイチローと糸井重里、住吉美紀アナ(ネットによると今年の3月末でNHKを退職してフリーの予定)によるフリートーキング。
番組を観た感想だが、イチローは野球に対する姿勢が随分とストイックでその努力には大いに敬服したものの、個人的な印象を率直に言わせてもらうと、あまり深いお付き合いをしたくないタイプ。
イチロー独自の”こだわりの美学”が自分にはどうもついていけないし、肌にも合わない。もちろん好き嫌いの範疇に属するので細かい理由は述べない。
ひとつ言わせてもらうと、こういうタイプは他人と共同作業で何事かを成し遂げるのが難しいように思う。したがって松井のポリシーとも当然合わない。
マリナーズに入団して10年にもなり、チームリーダーとして他の選手を引っ張り、毎年優勝争いに参画してもおかしくないのに、チームの成績がずっと低迷しているのがその証明。
とはいえ、野球はそもそも個人記録優先か、チームの勝利が優先かという価値観が別れるスポーツだから良くも悪くも、この二つを体現しているのがイチローと松井。
今シーズンはこの二人が持ち味を発揮して、イチローが11年連続200安打達成、松井のアスレティックスがワールドシリーズ優勝ともなると万々歳だが、果たしてその行方は~。