健康維持のため、いつも朝食後に散歩するようにしているが12月の初旬頃から「上り坂」にさしかかると胸が圧迫されて息苦しくなるような自覚症状が出る。
あまり身体が丈夫なほうではないので日頃用心しているのだが、どうもおかしい。
急に寒くなって血管が収縮し、血のめぐりが悪くなっているというのが素人なりの判断だが、まあ、そのうち寒さに慣れてくればどうってことはないだろうと高を括っていたものの、どうやら症状が治まる気配がない。
これは「どうもただ事ではなさそう」と大事をとって病院で診てもらうことにした。たぶん心臓か肺のどちらかに原因がありそう。
ちなみに94歳になる母は69歳のときに心筋梗塞を患って大騒ぎした記憶がある。我が家系は心臓が弱い、同様に気も弱い(?)ようだ。
こういう重篤な病気につながる場合は、病院選びは慎重にというわけで県下の医療事情に詳しい友人に相談したところ、「心臓なら最新のCTシステムが整備してあって医者もそろってるO病院がいいよ」とのお墨付き。
片道クルマで1時間ほどの不便なところだが、早速、メールで病院とやりとりの末、年明けの5日(水)に初診決定。
早朝から血液、肺機能などいろんな検査をやったが最後に「心臓エコー」を撮ってもらった。これは通常の人間ドックにはない検査。心臓の弁などの動きを診るそうでこれで異常が分かればありがたいことだが。
散々待たされた挙句、ようやく12時過ぎに検査結果をもとに医師による診察開始。
「どのくらいの坂道で息が切れるの?」なんて話をしながら、結局「動脈硬化で冠動脈が細くなって心臓機能が衰えている可能性がありますので造影CT検査をお勧めします。しかし問題はお金がちょっとかかるんですよねえ・・・。4万円前後ですが」と遠慮がちにおっしゃる。
「この際ハッキリさせておいたほうがいいので、受けましょう」と心にもなく快諾。早いほうがいいと勧められるままに検査日を7日〔金〕に決定。
当日は6時間ほどかけて二つの検査を実施するそうで、まず午前中に「RI(心筋シンチ)検査」によって冠動脈から心筋への血流や心筋の機能状態を調べる。
午後は「造影CT検査」で造影剤を静脈から投与して最新のCTシステムによる128枚のマルチスライスで心臓の断層撮影を行うというもの。
おお、怖(こわ)!
ずっと点滴をしたままの状態なので昼食用のオニギリを2~3個準備しておくように言われた。
当日は流れ作業みたいに順調に検査が終了して思ったほど痛くも苦しくもなかったが、午後に受診した巨大なCTシステムの正面上部に堂々と誇らしげに「SIEMENS」(シーメンス)と銘打ってあったのが何となく印象に残った。
「マザー機械は今でもドイツだよ」と機械系を履修した甥っ子が言ってたのを思い出した。改めてドイツの底力を垣間見る思いがしたが、真空管中心の弱小メーカーだと思ってたシーメンスだが見当違いも甚だしい。
その日の夜になって、独身を謳歌している娘から電話があった。
「お父さん、検査の結果はどうだった?」
「今日は検査だけで、結果は後日、家族同伴の上で説明すると言ってるよ。検査費用がたいへんでねえ、お父さんはもう破産しそうだよ。お金を貸してくれないかなあ。いずれ返すからさあ。」
「病院にかかるお金なんて大したことないでしょ。足りなかったらいくらでも貸してあげる。命がかかってるんだから、そういうお金はプライスレス(priceless)よ。ただし、オーディオに使うのなら貸してあげないからねッ!」
ウーム、さすがは我が娘、オヤジの手練手管をすっかり見抜いていると感心した。
やれやれ、マークレヴィンソンのプリアンプ「No.26SL」の財源をどう捻出しようかなあ~。とほほ・・。