新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ

全国紙の元記者・中村仁がジャーナリストの経験を生かしたブログ
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短篇=親も親、子も子、中1殺害

2015年08月26日 | メディア論

  

メディアは腰が引けた報道

2015年8月26日

 

  異常な事件です。変質者による事件です。親の放置が生んだ事件です。真夜中に街を歩き回った中学生が自ら招いた事件です。過酷な言い方でしょうか。


 あくまで報道された情報から判断すると、事件を考える視点はいくつかあります。推測、想像を交えていうなら、最も悪いのは当然、殺害者とみられる45歳の男です。それはもう、分りきった話なのです。そのことを前提に申しあげれば、殺害された中学生男女の行動に相当な甘さがあったのです。そのことをなぜかメディアは指摘していませんね。


悲劇を招いた幼すぎる行動


 大阪府寝屋川市の中学生男女、12歳と13歳が異様な殺され方をしました。8月13日午前1時13分、寝屋川市内の商店街の防犯カメラに映っていた男女の姿を見て息をのんだ人は多いでしょう。夏休みとはいえ、なぜこんな時間に、未成年というより子供に等しい中学生男女が・・・。その何時間後に殺害に遭遇したとすると、あまりにも無防備で安易な自らの行動が悲劇を招いたことになりませんか。


 変質者とおぼしき中年男に、どこかで目をつけられ、声をかけられ、恐らく「車に乗せてあげるよ」とでも言われ、悲劇に至ったのは運が悪かったのかもしれません。事件を起こす直前に東京で職務質問にあい、警察に連れて行かれた。それも事件の伏線のひとつになったのかもしれません。それにしても、この中学生の行動をもっと問題視しようという報道にお目にかかりません。


メディアの習性を懸念する


 メディアにはある習性があります。事件の解明が終わるまで、不用意な憶測は言わない。未成年のことになると、なおさら報道は慎重になる。今回の場合、親がまだ表にでてこない。複雑な家庭の背景があるのかもしれない。なおさら報道には腰が引けるということでしょうか。


 2人の親の行動も不可解です。行く方不明者の届出を出したのは、14日の夜8時半だそうです。中学生が家から出かけて丸2日、殺害の推定時刻から丸1日も経っていた計算になります。深夜外出はこれまでもよくあったのか、あまり心配していなかったのか、届出を迷っていたのか。それは分りません。分らないなりに、メディアは問題提起することはできたはずです。


 新聞、テレビの大々的な報道ぶりに対して、読者や視聴者が抱く素朴で、かつ本質的な疑問がほとんど取り上げられていません。夏休みの最中の事件でした。「子供は単独で深夜の外出をするな」と、即座に発言すべきでした。社会部長あたりが署名入り原稿かなんかで訴えるべきでした。子供は何度、注意しても分らないから、回りがもっと叱りつけるべきなのです。少なくと、わたしの周辺の多くの人たちはそう思っています。


 警察の調べなどによると、未成年や子供の深夜外出、深夜の徘徊が増え、社会問題になっています。なぜこのような未成年や子供を、親や社会が、もっと叱らないのか。放置している親の責任をもっと追及しないのか。テロ事件が多発している中東など海外では、こんな行動は自らを死にさらすことにつながります。国家の安全保障にまして、国内における人の安全について考えることが事件の教訓です。






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