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首相も農相も言動の軽さよ

2015年02月25日 | 政治

  任命責任、説明責任を乱用するな      

                     2015年2月25日

 

  西川農相が政治献金問題で辞任し、安倍首相は「任命責任はわたしにあり、国民におわびしたい」と語りました。西川氏に説明責任を求める声もしきりです。多くの国民は「またか」と思っています。閣僚辞任が「またか」ではありません。任命責任とか説明責任という空疎な言葉を聞かされるのが「またか」という思いなのです。

 

 メディアもまた報道責任を果たしているのでしょうか。「首相、周到に交代準備、早期決着へ即決」(24日、読売新聞)という大きな記事を載せました。自ら任命のミスを認める発言をしている首相に対し、決断の早さをほめる視点はずれていませんか。朝日新聞は「電光石火」(閣僚経験者の発言)の首相の処理と持ち上げています。日経は「辞任は当然である」(社説)と書きました。辞めた後に「当然」と書いてもね。辞める前に、そう書くべきだったですね。

 

   すりかえた任命責任

 

 民間企業で副社長あたりが不祥事で引責辞任して、社長自ら「わたしに任命責任がある」といったら、少なくとも減俸ものです。役員人事は形式的には株主総会の決定であっても、実質的には経営トップの決定だからです。経済界に比べ政界は甘い世界です。安倍首相は「しっかり政策を前に進めることで責任を果たしていきたい」とも述べました。いつのまにか任命責任が姿を消し、次元の違う責任にすりかえています。

 

 小渕経産相、松島法務相の辞任の時も、首相は自分の「任命責任」を口にしました。政治家は「任命責任」」という便利な言葉が大好きですね。「責任はわたしにある。おわびする」と謝まればお終いなのですから軽い言葉です。閣僚を解任することで任命責任を果たすという奇妙な解説をする人がいます。本人の意思で辞めてしまった人をどうやって解任するのか、任命した人の責任は不問にしてしまうのか。西川氏は辞任後、自民党の農政に関する重要戦略部会の部会長に就任するそうですから、責任を問うつもりなどもともとないのでしょう。

 

 首相が責任を感じるなら、政治資金規制法の抜け穴を封じることをすべきでしょう。西川氏は砂糖業界団体「精糖工業会」から直接ではなく、「精糖工業会館」から献金を受けていました。法に触れないように迂回献金をしたのでしょう。子供だましの手口ですね。また、規正法には「・・という制限違反を知りながら献金を受けてはならない」という規定などもあります。「本人が知らなかった献金なら違法にならない」のです。「知っていた」ことを立証するのは難しいので、「知っていたか、いないかを問わず違法」とすべきでしょう。

 

   ザルのままにしてある規正法

 

 政治資金規正法は改善すべき点が多いザル法なのですね。初めからザルのままにしてあるから、後から後から疑惑が持ち上がってくるのです。法に不備があったというのではなく、不備、つまり抜け道を初めから用意してあるのです。首相には法改正に取り組むつもりはないでしょうね。

 

 西川氏は、言われている疑惑ついて、「法には違反していない。いくら説明しても分らない人は分らない」と言い張りました。問題のある献金でも、法に触れないように法が作ってあるので、「違反していない」は本当でしょう。これで説明責任を果たしたと、今後も言い張るでしょう。首相も「法律上は問題ない」との発言です。主語と述語が反対ですね。正解は「問題のある法律だ」でしょうよ。

 

   違法でなくても辞任の軽さよ

 

 追及する側は「規制法の趣旨には、国民の疑惑を招くことがないように、と記されており、それに違反している」という思いです。法の趣旨には違反、条文には違反していない。こんなすれ違いが何度、繰り返されてきたことでしょうか。バカバカしい限りです。政治家は「わたしは知らなかった」も口癖です。必ずしもウソではないでしょう。「ばれた時、困るので、秘書任せ、妻任せにしてある。自分は知らないことになっているし、実際に知らないようにしてある」が真相でしょう。

 

 違法性がないのに閣僚を辞任というのは、安倍政権になって3人目です。閣僚の身分も軽くなりました。よくある話だから、重大な事態には至らない、が政界の見方でしょう。政界を意味する平河町に住まない住民は「閣僚ポストも軽くなった。首相が空疎な任命責任を口にする。野党は任命責任を追及するといいながら、具体的に何を追及するのか言わない。メディアもそのことを不思議に思わない」と、思っていることでしょう。そんな軽い連中が日本の政治を動かしています。こうした体質こそが本当の核心なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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