共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

まさかのリヒテル&ブリテンによるモーツァルト《2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448》

2024年10月19日 17時20分25秒 | 音楽
今日は何だか、ものすごく暑くなりました。10月だというのに気温が30℃近くまで上昇し、ちょっと動くと汗ばむような陽気でした。

こういう時はヘタに外出せずに、大人しく自宅でデスクワークするに限ります。ということで、いろいろな音楽を聴きながら細々したことをしていました。

こういう時に聴きやすいのは



やはりモーツァルトです。その中から、今日はピアノ2台のソナタをご紹介しようと思います。

《2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448 (375a) 》は、モーツァルトが1781年にウィーンで作曲した作品です。モーツァルトは2台のピアノ用の曲をいくつか書いていますが殆どが断章で、この曲が唯一の完成作となっています。

モーツァルトにはヨーゼファ・バルバラ・アウエルンハンマーという女性の優れたピアノの弟子がいましたが、この曲は2人で弾くために作曲され、1781年に彼女の家で開かれたコンサートで初演されました。モーツァルトは弟子の中でもアウエルンハンマーの才能をとりわけ高く評価していて、貴重な時間を毎日2時間彼女のレッスンに割き、何度も共演したり曲を書いたりしています。

しかしその一方でモーツァルトは、自身に好意を寄せる彼女の厚かましい言動に閉口していて、

「もし画家が悪魔をありのままに描こうと思ったら、彼女の顔を頼りにするにちがいありません。……彼女は田舎娘のようにデブで、汗っかきで、吐き気を催すほどです」
(1781年8月22日付)

と手紙に彼女の容姿を書いているほどでした。そのため、この曲が連弾ではなく2台のピアノを用いていることに、彼女の才能と容姿に対するモーツァルトの評価を関連させて見る向きもあるようです。

この曲が日本で一躍有名になっるきっかけとなったのは、間違いなく



クラシック音楽をテーマとした二ノ宮知子の漫画作品『のだめカンタービレ』でしょう。この漫画の第一巻で千秋真一と野田恵(のだめ)が初共演する曲としてこの《2台のピアノのためのソナタニ長調》が登場し、一気に知名度が上がることとなりました。

我が家で聴いていたのは別の奏者のもののですが、YouTube上にとんでもない組み合わせのピアニストの演奏がありました。それが、



20世紀を代表するウクライナ出身のピアニストのスヴィヤトスラフ・リヒテル(1915〜1997)と、



作曲家でもあるベンジャミン・ブリテン(1913〜1976)の共演、しかもライブ録音という、何とも濃い〜い演奏です。

そんなわけで、今日はモーツァルトの《2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448》をお聴きいただきたいと思います。20世紀の巨匠2人の共演で、華やか、かつ濃い〜いモーツァルトをお楽しみください。



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