今日は本来ならば勤務先とは別の小学校の放課後子ども教室のある日でしたが、夏休み前の教室は先週が最後だったため、今日はお休みでした。なので、このチャンスに今年も町田市にある小山田神社に行ってみることにしました。
小田急線で町田へ向かい、小山田行きのバスに揺られること20分ほどで小山田神社に到着しました。ここの境内には大賀ハスの畑があるのですが、来てみると
蓮葉のあちこちから薄紅色の蓮の花が顔をのぞかせていて、芥川龍之介の《蜘蛛の糸》の一節
「そのまん中にある金色の蕊(ずい)からは、何とも云えない好い匂いが、絶間なくあたりへ溢れて居ります。」
のように、蓮田独特の甘く香ばしい香りが辺りに満ちていました。
こちらの大賀ハスは、この蓮の種を千葉県検見川の縄文遺跡で発掘して蘇生栽培に成功した大賀一郎博士の菩提寺が近くにあることで譲り受けたものだとのことです。そして蓮を鑑賞するだけでなく、ここから少し離れたところにある就労継続支援B型施設『町田市大賀藕絲館』で、茎から採った繊維で蓮糸(藕絲・ぐうし)を撚って織物を作ったり、蓮の実をとってお菓子に加工したりして販売もしています。
時折薄雲に太陽が隠れるタイミングを狙って写真を撮ると、目の覚めるような緑色の蓮葉と、そこかしこから顔をのぞかせる蓮の花が風にそよぎ、実に美しいものです。蓮の花は日中に開き夜になると閉じることを2〜3回繰り返しますが、見渡してみると
まだ固く閉じた未生蓮華や
恐らく今朝方開き始めたのであろうものから
開きたてのもの、
花蕊が見え始めたものから
すっかり開ききったものまで、いろいろな段階の蓮の花を観ることができました。
今日は朝からかなり暑くなりましたが、それでも
吹き渡る風にそよぐ蓮を観ていると、ひと時暑さが和らぐように感じることができました。ここに見えている範囲だけでもサッカーコートの4分の3くらいはありそうな面積に、びっしりと蓮が植えられている様は圧巻です。
本来ならば、この蓮田はもっと広いものでした。ところが、私が昨年観に来た後から来年6月を目処に新たにオープンする公園としての整備工事が始まっていて、かつて広大な蓮田だったところは重機が入り
見る影もない有り様となってしまっていました。かつて
一面に大賀ハスが揺れていた神社の裏手は、昨年観に来た時には
雑草が生い茂っていて、今日は
蓮田だったのかどうかすら分からない工事現場となっていました。
ここには、来年6月に
このような公園が開設されることになっているようで、完成予想図では神社裏手の蓮田が植えられたところに八ツ橋が架けられ、遊具やベンチも新設されるそうです。それはそれでいいのでしょうが、それでも蓮田が元の面積の4分の1ほどになってしまったことは残念でなりません。
幸いなるかな、拙ブログには何年か前から小山田神社の蓮田の写真を毎年載せていましたので、それを見ればかつての広大な蓮田の様子を振り返ることができます。来年どんな公園が出来ているのかを待ちながら、かつての蓮田の様子に思いを馳せてみたりしたのでした。