まだ咳が止まらなくなることがあるものの、早退してきた金曜日に比べたらだいぶ体調はマシになってきました。咳を何とかしないと明日の小学校勤務も覚束なくなってしまうので、服薬を続けて何とかしたいところです。
それで、ただボンヤリしているのも時間が勿体ないので、真面目に練習してみることにしました。今回練習したのは
バッハの《ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第6番ト長調 BWV1019》です。
この曲は一連のソナタの最後を飾る曲ですが、いろいろとかわった点があります。
先ず他のソナタが4楽章なのに対して、この曲だけ5楽章からなっているということです。しかも何度か改作が重ねられていて、その異版の楽譜も残されています。
この前のソナタ第4番がハ短調、第5番がヘ短調というなかなか鎮痛な調性で書かれていますが、これはバッハの最初の妻アンナを亡くした悲しみからきているといわれています。しかし、この第6番でバッハは再びバッハらしい明朗さを取り戻していて、そこに妻の死を克服した姿を見るという人もいます。
次にかわっている点が、最終稿となった版の第3楽章です。実はこの楽章、なんとヴァイオリンは一切沈黙するチェンバロ独奏の楽章なのです。
ヴァイオリンとチェンバロのソナタだと言っているのに何でまた…と思われるかも知れませんが、実際に聴いてみるとこのチェンバロ独奏楽章を挟んで前半と後半がシンメトリーな構図になります。そうした点からみると、この改変も納得することができるのです。
そんなわけで、先ずは最終稿となった《ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第6番 ト長調 BWV1019》をお聴きいただきたいと思います。佐藤俊介氏のバロックヴァイオリンとディエゴ・アレスのチェンバロによる演奏で、途中でヴァイオリニストが休憩するという斬新なソナタをお楽しみください。
さて、ここからは異版のご紹介です。先ずは初稿とされるタイプaから。
この異版はなんと6楽章もあり、そして第3楽章がチェンバロ独奏であることは同じなのですが、全くメロディの違うものが採用されています。緩徐楽章も最終稿とは違っていて、第5楽章はト短調のガヴォットになっているところから、最後は第1楽章が回帰されて終わります。
それではそのタイプaの異版を、全く同じ演奏者による演奏でお楽しみください。
どうでしたか?最終稿とはかなり違った姿をしていることが分かっていただけましたでしょうか。
更に異版は続き、今度はタイプbです。この版では第3楽章がチェンバロ独奏ではなくヴァイオリンも演奏するカンタービレとなっていて、最後はガヴォットを挟まず第1楽章が回帰して終わります。
それでは、タイプbをお聴きいただきたいと思います。
これはこれで、如何にもヴァイオリン・ソナタだな…といった雰囲気を感じることができるのではないでしょうか。
そしてタイプcとなるのが、いわゆる最終稿となるわけです。普段はこの稿のもの以外の版が演奏されることはほとんどありませんが、今回の動画では同じ奏者が全ての異版を演奏してくれていることが貴重で、大変ありがたいものでした。
そんなわけで、最終稿となったタイプcを改めてお聴きいただきたいと思います。上までスクロールして戻らなくても大丈夫なようにしてみました(笑)ので、お時間が許せば再生してみてください。