なんだかんだしている間に、気づけば今日から8月になりました。2022年下半期も早くも1か月が経ったわけですが、連日の酷暑のせいか、そんな実感は全く感じていません…。
ところで、今日8月1日は『花火の日』なのだそうです。これは1948年の今日、終戦以来許可されていなかった打ち上げ花火が戦後初めて解禁になったことに由来するということです。
今までコロナ禍で中止を余儀なくされていた花火大会が今年はあちこちで開催されることになっていて、いくつかの会場では実際に打ち上げられたようです。厚木市の鮎まつりの花火大会も今度の土曜日に開催されるはずでしたが、残念ながらここ最近の新規罹患者数の爆発的増加に鑑みて延期となってしまいました。
あくまでも中止ではなく延期なので、今年中の何処かの時点で開催されることになるのではないかと思います。鮎まつりが延期になるのは、私が覚えている範囲では2011年の東日本大震災後の自粛ムード以来2度目です。
そんな残念なお知らせがあったばかりですが、折角の『花火の日』なので花火に因んだ音楽をお届けしたいと思います。それは言わずと知れた
ヘンデルの《王宮の花火の音楽》です。
《王宮の花火の音楽》は、1748年にオーストリア継承戦争終結のために開かれたアーヘンの和議を祝う祝典のための花火大会の音楽として作曲されました。初演では当時のイギリス国王ジョージ2世の意向によって軍楽隊の勇壮な響きが求められ、オーボエ24本、ファゴット12本、コントラファゴット1本、ホルン9本、トランペット9本、ティンパニ3対という管楽器と打楽器のみが使われる超巨大構成での演奏でした。
1749年4月21日にロンドンのヴォクソール・ガーデンズで公開リハーサルが行われましたが、未曾有の1万2000人の観客を集めたことでロンドン橋で交通渋滞を引き起こしてしまったといいます。本番は1週間後の4月28日にロンドンのグリーン・パークで催されましたが、花火がうまく点火しなかったりパビリオンのひとつが飛び火による火災で焼け落ちてしまったりして、企画としては失敗に終わってしまったようです。
ヘンデルは更に1か月後の5月27日の孤児養育院での慈善演奏会でも『王宮の花火の音楽』を上演しました。国王は管打楽器編成での演奏を好みましたがヘンデル自身は弦楽器を使うことを強く主張していたので、この時はヘンデルが意図していた弦楽を含む管弦楽版で上演されました。
《王宮の花火の音楽》は
序曲(Ouverture)
ブーレー(Bourée)
平和(La paix)
歓喜(La réjouissance)
メヌエットI - メヌエットII(Minuet)
の5つの楽曲で構成されていて、それぞれにフランス語のタイトルがつけられています。序曲は祝典曲にふさわしく華麗で、その後に軽快な「ブーレー」と暖かな響きの「平和」、トランペットやホルン、打楽器が賑やかな「歓喜」、ゆったりした「メヌエット I&II」が配置されており、花火が無くても楽曲の変化が楽しめるようになっています。
そんなわけで『花火の日』である今日は《王宮の花火の音楽》を、初演当初に近い編成の管楽器奏者数+弦楽器群での大編成オーケストラでお聴きいただきたいと思います。2012年のイギリス・ロイヤル・アルバート・ホールで行われたプロムスでの、コンセール・スピリチュエルによる迫力満点の演奏でお楽しみください。